幼少期の痛みを共有できるか?
みなさんこんにちは、Colorbathの吉川です。
未来の実践者の方々に向けて、海外でのソーシャルビジネスの経験を共有しています。
さて今回は、『”人を変える”のではなく、”大切な経験を分かち合う”こと』というテーマで書きたいと思います。
指導と育成
リーダーを担ったり、経営者になったりすると、人を育てたりアサインして任せたりするします。その際に、自分よりもスキルや経験がないメンバーを育てる必要があります。
また、フィールドワークプログラムや研修、仕事のお客さんや関係者においても、「もっとこういう考え方をしてほしい」といった形で、相手に変化を求める、変化を期待するシーンがあると思います。
相手の成長を願うほどに、
相手に期待するほどに、
思いや熱量が高まるほどに、
期待したとおりに変化してくれない
思ったように成長、行動してくれない
そんな「できていない部分」が強く見えてくるときがあります。また同時に、気持ちも疲れたり、がっかりしたりするときもあります。
一生懸命指導にあたり、その人の変化を期待し、導こうとしているという点では、すごく良いことです。
「覚えればできるようになるタスクや作業」といった、スキル的な部分は、指導して経験してもらえれば、一時的に身につくことは多いと思います。作業ベースの仕事であれば、そのアプローチでもうまくいくかもしれません。
一方で、
物事の考え方やマインドセット
コミュニケーションのスタンス
目標達成へのコミット
挑戦する気持ち
失敗を恐れず、失敗から学ぶ
このようなことは、一度教えたからといってすぐに身につくものではありません。多くのものは、「人間関係への不安」「他者からどう見られるかの不安」が関わってきます。
幼少期の経験と痛み
人のマインドセットや考え方は、大人になるとそうそう大きくは変わらないです。何か大きなショッキングなできごとがあれば変わる可能性があります。
ですが、そういった出来事がなければ、変わることは大きな傷みを伴うものであり、人間は基本的に痛みを避ける本能が搭載されているので、変わりたくない、が深層心理としては働きます。
じゃあできることがないのか?ということなんですが、自分の経験としては、「その人の考え方を形成した、幼少期の痛みを共有する」ということによって、変えられるものがあると感じています。
由佐さんのメンタルモデルに基づく考え方ですが、幼少期に、特に親との関係で生み出された痛みが誰しもあって、その痛みを回避するための行動、マインドセットがそれぞれの人に搭載されています。
つまり、挑戦しないことや、過度に不安になったりしてしまうことには、幼少期の家庭環境が影響しているケースが非常に多いです。
それは、すぐに変えられるものではありません。
できることとしては、そのときの話をじっくりと聴いたり、深掘って質問したり、ともに感じること、なんだと思います。
その人にとっては、その痛みはとっても重要で、言葉にして話すことも基本的にはありません。その話を聴いてくれて、受け入れてくれて、同じように感じてくれる存在は、とっても愛に溢れて優しい存在になります。
その人自身も、それを話して受け入れてもらえることによって、自分の中だけに閉じ込めるのではなく、少しずつ客観的に気がつけるようになるんだと思います。
できることは、たぶんこれだけなんだと思います。
これをすることで、「相手が変わる」ということもないんだと思います。変わることを期待するかもしれませんが、「相手を変える」ためにやる行為ではありません。
何が変わるかというと、「その人と自分との関係性」が変化するんだと思います。心の中や痛みを出せる関係性であること、その歴史を共有したことで、その前と比べると安心感や信頼感が増すんだと思います。
そこに、おそれが少なくなります。
相手を変えるのではなく、関係性を変える。
これによって、コミュニケーションが変わり、少しずつ行動が変わるんだと思います。
対話、そして実践
これらの過去の深い話は、やっぱりオンラインだとしにくい部分があります。対面で、移動しながらとか、お茶しながらとか、何かの時間をともにしているとき、ふとしたときに深まっていくものなんだと思います。
その対話を通して、互いを許し合っていく、互いを認めあっていく、そんなプロセスが、メンバーとの信頼関係の構築においては大切です。
そして、その深まったマインドセットをもとに、実践につなげていくことで少しずつ形になっていきます。これが、ただ話すだけで実践が伴わない場合、いつまでも変化は見えにくいと思います。
対話と実践。
対話するだけで変わるものではないので、じっくりと時間をかけて、ともに実践していくことで、人は少しずつ大きな自分、新たな自分になっていけるんだと思います。
自己を開示すること
逆の立場から考えると、「自分の過去の話、家庭環境の話」をすることで、相手との関係性を良い方向に変えることができる、とも言えると思います。
そういった話をしないと、信頼関係が気づきにくかったり、深まりきらないことがあります。
自分からすることで、相手もその話をしやすくなるかもしれません。
自分がどうとか、自分を変えるとかそういう視点ではなく、人との関係性をより高めていくための開示。
人を変えようと躍起になるのではなく、大切な経験を、大切な仲間と分かち合うことで、より良いチームを作っていけると思います。
じわじわと、一緒に少しずつ。
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