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No.8 GTO Wizard Blogの解釈記事【Range Morphology】

本記事はGTO Wizard Blogを私なりに解釈し、友人に説明するならどのように書くかな?と再まとめしたものとなります。
今回の記事は「Range Morphology」になります。


今回の記事は今まで、「レンジ」と書いてきたことについて、整理をしていく。トッププロは「レンジで考える」ということをやっている。正直、「???」になることが多いと思うが、君がまたポーカーのレベルを一段上げるためにこの記事を使ってほしい。

先程も書いたように、初心者と上級プレイヤーの思考プロセスの違いは、レンジで考える能力である。これは難しいようにも思えるが、1,326通りのハンド全てをイメージしようとせず、構造として考えるようになれば、現実的に処理ができるようになる。

題名にもある「Morphology(モルフォロジー)」は、形や構造の研究をする学問である。おそらく「リニア」、「ポーラライズド」、「マージド」、「コンデンスド」、「キャップされた」、「キャップされていない」といった用語を聞いたことがあるかもしれない。本記事を読めば、これらの単語が何を意味しているのか分かるようになるだろう。


■ キャップされた/されていないとは?

「キャップされた」(capped)と「キャップされていない」(uncapped)を聞いたことはあるだろうか?

「キャップされた」という用語は、そのレンジに強いハンド郡が含まれていないことを指す。例えば、BBのコールレンジには通常QQ+、AKのようなプレミアムハンドが含まれていないことがある(これらのハンドは通常、プリフロップでレイズされるため)。これにより、レンジの強さに「キャップ」がかかっているのである。

逆に、「キャップされていない」とは、レンジに強いハンドを含んでいることを指す。標準のオープンレンジには、強いハンドも含まれているため、それは「キャップされていない」レンジである。

※この画像の表内の数字は含まれている割合で、表の上に行けば行くほど強いハンドとなる。

注意すべき点は、レンジが「キャップされている」か「キャップされていないか」をその時に判断したとしても、その情報が次のアクションに必ず利用できるわけではないことである。A♠A♦は7♣8♣9♣のフロップでは良いハンドとは言えないし、適切なボードでは、キャップされていたレンジがキャップされていない状態になることもある(その逆もあり得る)。

(筆:情報は常にアップデートし、「今のボードだとどうだろう?」等、自分に問い掛け続けると良いと思います。)


■ 各種レンジの形態について

これから新しい用語について、説明しよう。

新用語:ポーラライズド(polarized)、リニア(linear)、コンデンスド/デポーラライズド(condensed/depolarized)、マージド(merged)


■ リニアについて

リニアレンジは、最強のハンドからミドルハンドが属しているレンジのことを指す。理論的には、選択できるアクションが 1 つだけの場合(フォールドを除く)は常にリニアレンジとなる。例えば、オープンレンジは、レイズまたはフォールドとなる。EP(アーリーポジション)の3betレンジも、レイズまたはフォールドとなる。そして、AIに対しては、コールまたはフォールドしかできない。従って、次に続くためのアクションが1つしかない場合、最も強いハンドでアクションを継続し、他のハンドをフォールドすることが論理的なアクションとなる。これらのスポットは定義上リニアとなる。

リニアなレンジはポストフロップでも見ることができる。典型的な例は、大きなベットに直面していて、大きなベットに対し、君が行えるレイズのレンジがほとんどない場合ある。
例えば、下記図に示すAK6rボード(BTN vs BB SRP)では、BTNはフロップにおいて、ポット125%のオーバーベットをする。BBディフェンスレンジにはほとんどチェックレイズできるレンジがなく、BBは最強のハンドから順にリニアにコールをすることになる。この場合、2番目や3番目のペアはほぼ同じ価値(インディファレント)となる。ただし、ブロッカー効果により、6 ♣ 3 ♣ のようなハンドはKQoのようなハンドよりも、わずかだが価値が高くなる。


■ ポーラライズについて

「ポーラー」という言葉は、対立する(反する)グループに分けることを意味する。ポーカーでは、ポーラライズされたレンジは非常に強いハンドと非常に弱いハンド、つまりナッツ/ブラフで構成されるレンジのことを指す。

(筆:大げさに書くとナッツ/ブラフになりますね。ナッツとブラフだけでポーラライズするわけではないことに注意してください。理論的にはナッツとEVが0のハンドでブラフすることが利益の最大化に繋がりますがそんなことは殆ど起こりません。シンプルに強いハンドと弱いハンドでレンジを構成するだけでポーラライズドなレンジになります。)

ポーラライズされたレンジが最も一般的に見られるのは、ポジションを有する場合のリバーである。これはポーカーで唯一、チェックバックレンジの構築を心配する必要がないため、単にバリューハンドとブラフハンドをベットし、レンジのミドルハンドをチェックバックすることができる。

例えば、このBlind vs Blind A ♠ A ♥ A ♦ 2 ♣ 3 ♦ のボードでは、BBはポーラライズされたレンジを持っている。

この場面でのEQ分布をみてみよう。ベットするレンジは、「強いハンド(75%以上のEQ)」と「トラッシュハンド(33%未満のEQ)」で構成されている。この強い/弱いの分布がポーラライズの定義となるのである。

初期のストリートにおいては「ブラフ」と「バリュー」の定義が難しい。後のストリートになるにつれて、EQが明確になり、レンジはよりポーラライズされる(傾向がある)。ポーラライズされたプリフロップレンジの最も一般的な例は、BB 3bet vs SB オープンレンジである。これは、プリフロップとポストフロップの両方でポジションが取れ、かつアクションが最後となる珍しいタイプの1つである。

未経験者にとっては、これらのハンドのうち、どれが「バリュー」で、どれが「ブラフ」であるかの判断は難しいだろう。これを解決するためにレンジのEVを視覚化することでより理解が進むだろう。

(筆:これに加えて、前回の記事で話したEV/potで表すことをお薦めします。下記の図で設定可能です。)


■ なぜポーラライズが存在するの?リニアでベットすればよくない?

これは単純な問いに思えるかもしれないが、戦略を理解する上で非常に重要な内容となる。多くの初心者プレイヤーはリニアでベットすることに慣れている(筆:ブラフ入れずに強いハンドでベットするだけなので簡単ですもんね)。しかし、このリニアにベットするという戦略は相手がコーリングステーションである場合を除いて、EQを効果的に利用する方法ではない。

(筆:ここではリニアにベットベットベット!とするだけでは、効率よく利益を得ることはできない。ただ、コールコールコール!としてくれるプレーヤーにはこの戦略は刺さるけどね★と言っていますね。)

例えば、リバーでリニアにAIするとしよう。リニアなレンジのため、君はブラフハンドをレンジ内に有しておらず、強いハンドといくつかのミドルハンドで、AIすることになる。もし、相手がオーバーコールをしてくれる場合、バリューにペイオフしてくれるため、この戦略はうまくいくだろう。しかし、オーバーフォールされると、途端に利益がでなくなる(オーバーフォールドで簡単にエクスプロイトできるのである)。

加えて、レンジ内に残った弱いチェックバックレンジはショーダウンではほとんど勝つことはできないゴミハンドのレンジとなる。更に、ミドルハンドはより弱いハンドをフォールドさせ、より強いハンドにコールされるかもしれない。極めつけは、ナッツハンドが必ずコールされるとは限らない。実はこの戦略は穴だらけの戦略であり、エクスプロイトが簡単にできてしまう。

上記に説明したリニア戦略は、EQを上手く活用できていない、非効率な方法となっている。このようにリニアなレンジはバリューハンドを最大限に活かせていない。バリューハンドを活かすためにはブラフ(リバーにおいて最も効率的なブラフハンドはチェックで勝てないハンド)が必要なのである。これがレンジがポーラライズになる理由だ。

今まで説明してきた課題点は、ポーラライズされたレンジを使用することで解決できる。これにより、相手は君のブラフで利益を出され続けることを避けようと、より広くコールするようになるだろう。さらに、ナッツハンドでより多くのバリューを生み出すこともできるし、マージナルなハンドはチェックバックに回るため、変にベットして、バリューを失わないようにすることができる。

IPにおいて、最適なリバーベットのほとんどがポーラライズされている。これはマージナルなハンドで確実にショーダウンができる選択肢のある唯一のスポットだからである。

(筆:マージナルなハンドはチェックできるから、強いハンドと弱いハンドだけでベットしていることとなり、それはポーラライズされたレンジになっているよね。ってことですね)


■ 完璧なポーラライズとベットサイジング

ポーラライズされたレンジは通常、大きなベットサイズが使用される。しかし、なぜそうなるのだろうか?これはバリューレンジにナッツが含まれていると、スタックを全てポットに入れ込みたいからである。

レンジが「完全にポーラライズされている」とは、全てのバリューハンドが相手のレンジに対して100%のエクイティを持ち(必ず勝つ)、全てのブラフハンドが相手のレンジに対して0%のエクイティを持つ(必ず負ける)状態を指すが、実際このような状況はめったに起こらない。

また、完全にポーラライズされたレンジでは「幾何学的ベットサイズ(ジオメトリックベットサイズ)」を使用したほうが良いとされている。これは各ストリートで同じポット%をベットして、リバーまで全てのチップをポットに投入できるベットのことである。

(筆:これは後に記事化されます。)


■ コンデンスド/デポーラライズドについて

コンデンスド(別称、デポーラライズドされた)レンジとは、ナッツ級のハンドや弱いハンドが少なく、多くのマージナルなハンドで構成されたレンジを指す。

代表的な例はポケットペア/スーテッドAxハンド/Hi-Middleブロードウェイがレンジの多くを占めるSBのコールレンジである。この種類のレンジは、キャップされているにもかかわらず、多くのボードでかなり強力である場合がある。このレンジはエアーが無いため、本レンジに対するプレイは通常とは異なることに注意が必要だ。

再度お伝えするが、このレンジには強いハンドや弱いハンドがあまりなく、「コンデンスされた」レンジとなる。レンジはマージナルなハンドにコンデンス(凝縮)されているのである。例えば、オリジナルレイザーのHJ ポストフロップ戦略は、メイドハンドをバリューターゲットにし、エアーでベットする割合を減らすようにプレイする必要がある。その結果、より慎重なプレイとなるのである。


■ マージドについて

マージドレンジは、ポーラーとリニアレンジの中間に存在するレンジである。マージドレンジはブラフハンド、ナッツハンド、そしてインプライドオッズを持ついくつかのミドルハンドで構成されている。

以下は、992r BTN vs BB(マージドレンジ)の例である。BTNが1/3ポットでc-betし、BBのアクションである。BBはマージドレンジでチェックレイズを頻繁に行い、チェックレイズレンジにはナッツハンド、ミドルハンド、トラッシュハンドが混在している。

EQの分布をみてみよう。レイズレンジには、ミドルハンドの「弱い」ハンドや「良い」ハンド(33%〜75%のエクイティ)が含まれている。例えば、ミドルポケットペアなどである。これとポーラライズされたEQ分布を比較してみてほしい(違いがわかるはず)。


■ なぜマージドを使うの?

ポーカーの複雑さによる自然な結果として、マージドレンジが生まれる。完全にポーラライズされたレンジはエクスプロイトされやすく、複数のストリートではそれほど効果的、ロバスト(複数ストリートでベットされたり、ベットしたりに耐えられる指標みたいなもの)ではないのである。

例えば、BBが単純にトリップスをチェックレイズし、トラッシュハンドでもレイズをしたとする。この極端なポーラライズ戦略の問題点は、2/9/Aのターンカードによってブロッカーの弱点が目立つことだけでなく、ターンカードによる改善が十分な頻度でしないため、ターン、リバーにおいてより多くの頻度で諦めなければならない(またはオーバーブラフを始める)ことである。

(筆:ブラフはエアーではない限り、相手を捲りうるハンドでしたいですよね。ツーペアに昇格可能性のあるボトムヒットなど…。992のボードではドローのブラフもできない、ボトムヒットのブラフも良いツーペアになる可能性もない…。などブラフがオーバーブラフ寄りになってしまいます)

さらに、極端にポーラライズされたレンジは小さいプローブベットやミンクリックに攻撃されやすい欠点がある。これらの攻撃は、あなたのレンジにコールできるハンドがある限り問題ではないが、あまりにもポーラライズされすぎるとディフェンスができなくなるのである。

(筆:ポーラライズされすぎると、ブラフハンドと強いバリューの2つにレンジが分割されてしまいます。通常は相手のベットにコールするマージナルなハンドレンジがあるのに、ポーラライズされすぎると、マージナルレンジがなくなってしまうのです。だから、ディフェンスができない。と記載されているのですね)

最後に、マージングはポーラライズされたレンジと比較して相手のEQを悪化させるため、より多くのバレルを行うことができ、彼らは幅広くコールすることができない。適切な状況下ではより効率的なレンジ構築方法であり、より広範なレンジでレイズすることができる。要するに、マージングはポーラライズされたレンジとリニアレンジの良いところを取り入れているのである。

では、BTNがチェックレイズに対してどのように抵抗するか見てみよう。

BTN はオーバーカード、Ax、ダブルバックドアのハンドなど、中程度の強さのハンドに対して、勝つ見込みのあるハンドでフロートする必要がある。

BBはBTNのレンジEVを上回り、後のストリートでブラフを続け、相手のエクイティの大部分(ナッツハンド以外をアウトドローできるハンド)をナッツハンド無しでフォールドさせることができる。


■ プリフロップレンジによるリニア/ポーラライズド間の視覚化

マージドレンジは、リニアな戦略とポーラライズされた戦略の中間と考えることができる。BB vs BTNの3betレンジのパターンを見ることで、この変化を確認していこう。

通常、小さい3betサイズと低いレーキ構造は、よりリニアに近い戦略をもたらす。一方で大きな3betサイズと高いレーキ構造はよりポーラライズされた戦略を行うようになる。

これは、BTNが我々の3betに対して、4betする割合が関係しているのである。

もしBTNがより多くコールし、レイズする回数が少ないと仮定すると、我々はBTNのコールをアウトドローできるよりリニアなレンジを使用したいと考えるであろう。これは、レーキが少ない場合やより小さい3betサイズを使用する場合に起こることである。

逆に、BTNが頻繁にレイズするが、あまりコールしない場合は、我々はコールのEVが高い中強度のハンドを(リレイズされるのを防ぐために)コールに留め、レイズorスナップフォールドで対応できるレンジを使用する方が良いだろう。

「バリュー」または「ブラフ」レイズを構成するものについては人によって主観的な考えが異なるため、ここでは単純に 3 betレンジのEVに注目する。

Merged-Linear 3betting range: (11BB raise @ 500NL rake)

Merged 3betting range: (11BB raise @ 50NL rake)

Merged-polar 3betting range (13BB raise @ 50z rake)

これらの3つのレンジはすべて "マージ "されているが、変数を変えることでリニアにもポラライズドにも傾くことが見て取れる。


■ 総括

まとめると、以下のようになる。

  • Capped - レンジ内にベストハンドがない。
    (例:BBのプリフロップコールレンジにはAAが含まれていない)

  • Uncapped - レンジ内にベストハンドがある。
    (例:BTNのオープンレンジにはAAが含まれている)

  • Linear - 上位からミドルハンドで構成されている。

  • Polarized - 強いハンドと弱いハンドで構成されている。
    (ナッツまたはナッシング、大きなベットサイズが使用される)。

  • Condensed - ミドルハンドが多く、弱いハンドやナッツハンドが少ないレンジ
    (例:EPオープンに対するBTNのフロートレンジ)。

  • Merged - 強いハンド、弱いハンド、そしてミドルハンドが含まれる
    (よりロバストでエクスプロイトされにくく、小さなベット/レイズで使用される)。

  • Linearityとpolarityはスペクトラム上に存在する。

このような用語は、ポーカーを学ぶ際のレンジ分析において重要である。レンジを構造として考えることで、異なるプレイの強み、弱み、およびインセンティブを特定することができる。

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