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会社員兼Football Traveler。アウトプットをサッカー(W杯、CL、EUR…

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会社員兼Football Traveler。アウトプットをサッカー(W杯、CL、EURO、海外各国リーグ等を現地観戦)、食、旅、本で回していく雑文。 著書 『宴の記憶 ―眼の前にあったワールドカップ―』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0881WHNRC

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書評 #19|一人称単数

 村上春樹の『一人称単数』は話者によって紡がれた短編集。思考のあくのようなものをすくい取り、煮詰めるとこういう文章になるだろう。  著者の作品には「表裏」が存在…

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3年前
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書評 #97|戦術リストランテVII 「デジタル化」したサッカーの未来

 サッカーの試合において「成功」と定義されるプレーの再現性を高めるべく、ポジショナルプレーに代表される戦術の自動化が流布されて久しい。本書の作者である西部謙司は…

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3日前
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プレミアリーグ 2023-24
アーセナル 3-0 ボーンマス
・相手の想定を超え続けるウーデゴール、チームとしての意志に昇華された有機的な連鎖
・幸運でもあり、巧みでもあるハフェルツのPK獲得
・シュート精度、ゴール前での冷静さ、ゴールを呼び込む位置取り=トロサールの決定力

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5日前
4

UCL 2023-24
ドルトムント 1-0 PSG
・自由なサンチョ、P陣内で随所に作るタメが攻撃に貢献
・アデイェミのスピードが攻守に有効
・フュルクルクのゴールは冷静そのもの、効果的なポストプレーも光る
・Pは好機も多かったが、最後まで生かせず

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8日前
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書評 #96|森保ストラテジー サッカー最強国撃破への長き物語

 日本代表を率いる森保一監督の手腕をつぶさに見つめる。サンフレッチェ広島の監督を務めた時代から遡り、強みと弱みを指摘。連続して使用される専門用語を追いかけるのは…

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13日前
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プレミアリーグ 2023-24
トッテナム 2-3 アーセナル
・Tのプレス、Aのカウンター
・セットプレーも生かし、Aの現実的アプローチが奏功
・ハフェルツとサカによる圧巻のロングカウンター
・失点したが、Aは最後まで崩れず

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2週間前
5

プレミアリーグ 2023-24
エヴァートン 2-0 リヴァプール
・Eは町田を彷彿とさせるロングボール戦術
・ローリスクかつ高確度なリターン
・Eの鉄壁守備
・Lは引かれるとディアスの突破か単調なクロスしか活路がない

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2週間前
4

プレミアリーグ 2023-24
アーセナル 5-0 チェルシー
・相手陣内のサイドでのタメから階段を下りるような横スライドの展開がAの特徴
・コンディションも回復
・動きならボールを受けるAの選手たち、美しい
・カウンターから活路を見出そうとするC
・ウーデゴールの超絶アシスト

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2週間前
4

書評 #95|スタジアムの神と悪魔 サッカー外伝 増補改訂版

 サッカーの歴史を駆け抜けた気がする。そして、そこには感情がほとばしる。喜怒哀楽。縦横無尽に感情を湛えることができるサッカー。勝利と敗北の幅の中に極めて重厚な感…

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2週間前
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プレミアリーグ 2023-24
フラム 1-3 リヴァプール
・Lの不安や焦燥を振り払う、アレクサンダー=アーノルドのFK弾
・フラーフェンベルフのタメや他選手にない独特なリズムなドリブルがボールを前進させる
・得点も見事、値千金

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3週間前
4

UEL 2023-24
アタランタ 0-1 リヴァプール
・ダイレクトさ(少ない手数、前進する意識)と強度の高さを取り戻したL
・即時奪回の守備にも連動
・アレクサンダー=アーノルドの復帰も大きい
・しかし、チャンスの割に得点が奪えない
・出し手を抑えるAの守備を最後まで崩せず

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3週間前
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書評 #94|もえるバトレニ モドリッチと仲間たちの夢のカタール大冒険譚

 クロアチアという国と紅白のユニフォームを身にまとう選手たちをより身近に感じさせてくれる。延長戦やPK戦も含めた異常なまでの勝負強さに象徴される「粘り」を連想する…

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3週間前
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プレミアリーグ 2023-24
アーセナル 0-2 アストン・ヴィラ
・ショートパスをつなぐ体系立てたArのカウンター
・群を抜くウーデゴールのボールキープ力
・Arのつなぐ力、運ぶ力は目を見張る
・撒き餌のようなAsの前半、要所を締めて少ない好機を生かして得た勝利

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3週間前
5

書評 #93|オシムの遺産(レガシー)彼らに授けたもうひとつの言葉

 深い洞察による本質を見抜く力。イビチャ・オシムを一言で表現することはおこがましい。その視点と思考力は宇宙のような無限の広がりを帯びる。しかし、周囲の人々の言葉…

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1か月前
11

書評 #92|ドイツサッカー文化論

 ドイツのサッカーを大局から細部まで見つめた一冊。ドイツ人のメンタリティについて繰り返し言及される。それは「大きな責任を自ら背負いたい」という願い。徹底した勝利…

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1か月前
16

プレミアリーグ 2023-24
リヴァプール 0-1 クリスタル・パレス
・全体的に重さを感じさせるL
・Cの分厚い中盤
・柔軟なポジションチェンジによる強固な守備でLにスペースと時間を与えない
・Lは薄氷を踏むような戦い
・不調を引きずり、得点する自信も失っている

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1か月前
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書評 #19|一人称単数

 村上春樹の『一人称単数』は話者によって紡がれた短編集。思考のあくのようなものをすくい取り、煮詰めるとこういう文章になるだろう。  著者の作品には「表裏」が存在する。文体は軽やかでありながら、感情表現は起伏に富む。人間の言葉を話す猿など、極端な展開を設定しながら、日常の趣がそこにある。起承転結をそのまま受け止めても、物語として充分に成立する。  しかし、自分自身の過去や現在、果ては未来につながり、感情を呼び起こす力も持つ。ノスタルジー。後悔。感動。期待。それはまるで、読者

書評 #97|戦術リストランテVII 「デジタル化」したサッカーの未来

 サッカーの試合において「成功」と定義されるプレーの再現性を高めるべく、ポジショナルプレーに代表される戦術の自動化が流布されて久しい。本書の作者である西部謙司はサッカーの「デジタル化」「カーナビ化」「マニュアル化」という言葉に置き換え、消化された分かりやすい言葉を通じて概念を読者へと届ける。  デジタル化がサッカーにおける最先端であり、正解のような印象を受ける。守備から攻撃への円滑な移行を促し、その逆も同様だ。しかし、サッカーの要所であるゴール前に眼を向け、ゴールや決定機を

プレミアリーグ 2023-24 アーセナル 3-0 ボーンマス ・相手の想定を超え続けるウーデゴール、チームとしての意志に昇華された有機的な連鎖 ・幸運でもあり、巧みでもあるハフェルツのPK獲得 ・シュート精度、ゴール前での冷静さ、ゴールを呼び込む位置取り=トロサールの決定力

UCL 2023-24 ドルトムント 1-0 PSG ・自由なサンチョ、P陣内で随所に作るタメが攻撃に貢献 ・アデイェミのスピードが攻守に有効 ・フュルクルクのゴールは冷静そのもの、効果的なポストプレーも光る ・Pは好機も多かったが、最後まで生かせず

書評 #96|森保ストラテジー サッカー最強国撃破への長き物語

 日本代表を率いる森保一監督の手腕をつぶさに見つめる。サンフレッチェ広島の監督を務めた時代から遡り、強みと弱みを指摘。連続して使用される専門用語を追いかけるのは簡単ではない。しかし、明瞭な言語化はそれ自体に価値を感じる。「相手の戦術の裏返し」「戦略的ラッシュ」「主導的チーム戦術の欠如」などの表現は印象に残った。  特に「委任戦術」に対する評価には共感した。戦術は研究され、それを見越して先を読む力が求められる。言い換えれば奇跡は続かない。個人の成長など、得ている利益は皆無では

プレミアリーグ 2023-24 トッテナム 2-3 アーセナル ・Tのプレス、Aのカウンター ・セットプレーも生かし、Aの現実的アプローチが奏功 ・ハフェルツとサカによる圧巻のロングカウンター ・失点したが、Aは最後まで崩れず

プレミアリーグ 2023-24 エヴァートン 2-0 リヴァプール ・Eは町田を彷彿とさせるロングボール戦術 ・ローリスクかつ高確度なリターン ・Eの鉄壁守備 ・Lは引かれるとディアスの突破か単調なクロスしか活路がない

プレミアリーグ 2023-24 アーセナル 5-0 チェルシー ・相手陣内のサイドでのタメから階段を下りるような横スライドの展開がAの特徴 ・コンディションも回復 ・動きならボールを受けるAの選手たち、美しい ・カウンターから活路を見出そうとするC ・ウーデゴールの超絶アシスト

書評 #95|スタジアムの神と悪魔 サッカー外伝 増補改訂版

 サッカーの歴史を駆け抜けた気がする。そして、そこには感情がほとばしる。喜怒哀楽。縦横無尽に感情を湛えることができるサッカー。勝利と敗北の幅の中に極めて重厚な感情の濃淡が存在する。  サッカーは詩的でもある。官能的とも呼べるだろう。ウルグアイのモンテビデオに生まれたエドゥアルド・ガレアーノが紡ぐ言葉の数々は競技が内包する情熱的な美しさの象徴である。 「およそモラルというものについて、私はそのすべてをサッカーから学んだ」 「驚きを生み出す飽くことのない資質」 「サッカーは

プレミアリーグ 2023-24 フラム 1-3 リヴァプール ・Lの不安や焦燥を振り払う、アレクサンダー=アーノルドのFK弾 ・フラーフェンベルフのタメや他選手にない独特なリズムなドリブルがボールを前進させる ・得点も見事、値千金

UEL 2023-24 アタランタ 0-1 リヴァプール ・ダイレクトさ(少ない手数、前進する意識)と強度の高さを取り戻したL ・即時奪回の守備にも連動 ・アレクサンダー=アーノルドの復帰も大きい ・しかし、チャンスの割に得点が奪えない ・出し手を抑えるAの守備を最後まで崩せず

書評 #94|もえるバトレニ モドリッチと仲間たちの夢のカタール大冒険譚

 クロアチアという国と紅白のユニフォームを身にまとう選手たちをより身近に感じさせてくれる。延長戦やPK戦も含めた異常なまでの勝負強さに象徴される「粘り」を連想するが、それは歴史や経験から培われたものと認識させられる。 「クロアチアは小さい国かもしれないが、勇敢で闘争心があり、献身的で全力を尽くす国民なんだ」 数々の戦いを眼にし、クロアチアに抱く印象と合致する言葉に初めて出会った気がした。クロアチアを率いる、ズラトコ・ダリッチの言葉は像の輪郭を濃くする。  名のある選

プレミアリーグ 2023-24 アーセナル 0-2 アストン・ヴィラ ・ショートパスをつなぐ体系立てたArのカウンター ・群を抜くウーデゴールのボールキープ力 ・Arのつなぐ力、運ぶ力は目を見張る ・撒き餌のようなAsの前半、要所を締めて少ない好機を生かして得た勝利

書評 #93|オシムの遺産(レガシー)彼らに授けたもうひとつの言葉

 深い洞察による本質を見抜く力。イビチャ・オシムを一言で表現することはおこがましい。その視点と思考力は宇宙のような無限の広がりを帯びる。しかし、周囲の人々の言葉を通じてオシムに触れ、そんな言葉が頭に反響している。  考えること。その一つ一つに真剣に取り組むこと。サッカーに対して本気で取り組んでいたであろう、ジェフユナイテッドの選手たちはその真意を理解し、全身全霊をかける。論理的な精神論とも言うべきか。その二つが合わさって初めて、個人は本領を発揮できるのかもしれない。  本

書評 #92|ドイツサッカー文化論

 ドイツのサッカーを大局から細部まで見つめた一冊。ドイツ人のメンタリティについて繰り返し言及される。それは「大きな責任を自ら背負いたい」という願い。徹底した勝利へのこだわりが、そのように言語化されていることに納得する。  日本と比べ、ドイツにおけるサッカーの歴史は長い。しかし、その年数だけによって栄光が築かれているわけではない。体系立てられたプロサッカーとアマチュアサッカー。教育システム。主要な国際大会における敗戦を教訓とし、改革を推進する姿に合理性を重んじる国民性が垣間見

プレミアリーグ 2023-24 リヴァプール 0-1 クリスタル・パレス ・全体的に重さを感じさせるL ・Cの分厚い中盤 ・柔軟なポジションチェンジによる強固な守備でLにスペースと時間を与えない ・Lは薄氷を踏むような戦い ・不調を引きずり、得点する自信も失っている