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  • 生きづらさ当事者研究所

    生きづらさの当事者/経験者が、その生きづらさを言語化して、研究する民間シンクタンクです。ひきこもりの「当事者研究」の記事を中心に発表しています。 事務局:YURUMI

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    不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO、「家庭教師のYURUMI」 編集部が運営するブログです。スタッフの不登校経験を掘り下げたり、普段のYURUMIの活動をお伝えしたり、みなさんの生活に少し役立つようなTIPSをお届けしたり…ぜひご覧ください!

最近の記事

結論ありきにならないことの大切さ|「訂正可能性の哲学」(東浩紀)

哲学書なのに新書並みにさくさく読めてとても面白かったです。「結論ありき」にならないことの大切さを、ウィトゲンシュタインやルソーなどの過去の哲学者をわかりやすく紐解きながら語っていて、哲学者全部盛り感もあります。異分子があらわれたときに、「異常」なものを排除したり説教したりして、自分たちを「正しい」側に置き続けるのはラクなんですけど、袋小路なんですよね。また、不登校という異分子と出会ってしまった親御さんにとってもヒント(訂正可能性に開かれた対話)がいっぱいある哲学書でした。

    • ひきこもりは実存的な問いなのか|「「ひきこもり」の30年を振り返る」(石川・林・斎藤)

      ひきこもり当事者(経験者)として気になったので読んでみました。研究者、当事者、精神科医がそれぞれの切り口で語っているのですが、その中で特に興味深かったのは、「ひきこもりは実存的な問いであり、生きることについての苦しさ」であるという当事者の主張です。 たしかに、「ひきこもり」は、生活困窮、発達障害、精神障害といった様々な困りごととセットで語られることが多いですが、そのようにクリアに定義できる問題は、そちらでカバーしてもらうとして、それらを切り出した後に残る、純粋にひきこもり単

      • 「学級会」をやめられない大人たちが「こどもかいぎ」から学べる2つのこと

        悩みの100%は人間関係、という言葉もあるとおり、生きているだけで他者との衝突や利害調整は避けられないわけですが、最近は、いい大人がまるで小学校の学級会みたい私刑(リンチ)をしていて、悲しくなります。 "加害者"が「ごめんね」と謝罪し、"被害者"が「いいよ」と許して、とりあえず和解したことにする茶番が学級会だったとするのならば、もはや茶番以下です。むしろ、SNSでは一度謝罪したら最後、自ら非を認めたのだからと「叩いても安心な存在」として余計にボコボコにされます。端的に言って

        • なぜ加害者の被災者性に着目することが社会復帰に効くのか──「プリズン・サークル」

          正直、私はいじめ被害者としての過去もあるので、犯罪加害者のことなんてまったく同情できないな、うんうん、などと思って見始めたのですが、鼻水が出るほど面白かったです。 (1)被災者としての加害者プリズン・サークルという映画は、島根県にある男子刑務所で実施されている Therapeutic Community (TC)についてのドキュメンタリーです。TCでは、40名ほどの希望者が、「改善指導」(現場では教育と呼ばれる)の対話的・ピアサポート的なプログラムに参加し、過去を振り返り、

        結論ありきにならないことの大切さ|「訂正可能性の哲学」(東浩紀)

        • ひきこもりは実存的な問いなのか|「「ひきこもり」の30年を振り返る」(石川・林・斎藤)

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          不登校19万人時代に、元不登校が思うこと② ─ 本当に困っていることは何か

          元不登校が、不登校自身が本当に困っていることをゼロベースで言語化してみると、どうなるのか? という記事を前回書きました。 不登校の困りごととして、よく言われるのは、①学校への不安、②働くことへの不安、③居場所への不安、です。でも、これらは表層的な心配で、実はその全てに通底している本当の困りごとがあります。 結論から言えば、不登校状態では、一人で生きていくことができないから困る、ということに尽きます。具体的に言うと、社会関係資本と人的資本が不足しており、自立が難しいというの

          不登校19万人時代に、元不登校が思うこと② ─ 本当に困っていることは何か

          不登校19万人時代に、元不登校が思うこと

          文科省の統計によると、2020年度に不登校だった小中学生は19万6127人でした。8年連続で増加し、過去最多となりました。少子化で子どもの数自体は減り続けているので、不登校の割合がどんどん増え続けていることになります。 コロナ禍による休校で、学校がもともとイヤだったけどなんとか惰性で行き続けてた人が、緊張の糸が切れてしまい、登校できなくなってしまうケースもよく聞きます。しかし、コロナ禍になる前から一貫して不登校は増え続けているわけで、そこには日本社会が抱える構造的な要因があ

          不登校19万人時代に、元不登校が思うこと

          「ただ話す」こと、「ただ聞く」こと【公認心理師インタビュー】

          みなさんこんにちは! 不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 この度、YURUMIでは、久保田健司先生を専任公認心理師としてお招きし、保護者向けオンラインサロン「保護者のためのゆるみ」を始めます。 こちらは、リアルの「親の会」のように、保護者同士が悩みや愚痴をはきだせる居場所であり、かつ、どんな支援や専門機関にかかるのがそもそも適切なのか、公認心理師に相談できるオンラインサロンです。 そこで、今回は久保田さんにインタビューを行いま

          「ただ話す」こと、「ただ聞く」こと【公認心理師インタビュー】

          【講師インタビュー④】「ずれること」が、ずっと怖かった〜高田麻里さんの場合〜

          こんにちは! 不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 今回は、講師の高田麻里さん(仮名)にお話を伺いました! 麻里さんはずっと、人目を気にして怯えていました。そんな麻里さんの得た気づき、そして、今後への決意は──。自己肯定感の低さに苦しむ人へのメッセージも、あわせてお送りします。 高田麻里(たかだ・まり) 中央大学 指導科目:中学国語・数学・英語、高校国語 1. 人目を気にしていた高校生時代──麻里さんの生きづらさの原因は、人

          【講師インタビュー④】「ずれること」が、ずっと怖かった〜高田麻里さんの場合〜

          【精神科医と学ぶ】反抗期の子どもへの接し方

          みなさんこんにちは!不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 台風に次ぐ台風……怖いですね……どうかみなさまがご無事でありますように。 今回は、9/13(日)に開催されたワークショップ、「精神科医に聞く!反抗期の子どもへの接し方」の様子と内容をご紹介します。 講師に”まえまえ先生”こと前田佳宏先生(精神科医・YURUMIアカデミックアドバイザー)をお招きし、ワークショップをオンラインで行いました。 ワークショップでは、参加者の皆様

          【精神科医と学ぶ】反抗期の子どもへの接し方

          【スタッフインタビュー①】当事者であり、支援者でもある私〜山口莉絵さんの場合〜

          こんにちは! 不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 今回は、普段noteの記事やメールマガジンなどを執筆している、弊編集部スタッフの山口莉絵さんにお話を伺いました! 小中高とずっと不登校気味だった莉絵さん。回復の転機は、大学で「不登校になったこと」で──今も当事者として悩む傍ら、支援者として活動し続ける、彼女ならではの覚悟にも迫ります。 山口莉絵(やまぐち・りえ) 東京大学に入学後、2年休学し、その後復学。 現在、東京大学文科三

          【スタッフインタビュー①】当事者であり、支援者でもある私〜山口莉絵さんの場合〜

          【講師インタビュー③】中高という拘束、大学という自由〜永山系さんの場合〜

          今回は、講師の永山系さん(仮名)にお話を伺いました! 「学校にいること」にずっと苦しい思いをされてきた永山さん。大学・大学院を経て、「学問が視点を供給してくれた」と話す永山さんは、その言葉通り、「学校」という場を非常に独特な視点から捉えています。今苦しい思いをしている方の新しい光となるような、そんな話をしてくれました。 永山系(ながやま・けい) 東京大学工学部を卒業、東京大学大学院在学中 指導科目:英語・数学 1.「学校というもの」が、ずっと苦しかった──永山さんは、中高

          【講師インタビュー③】中高という拘束、大学という自由〜永山系さんの場合〜

          うちの子、進学先どうしよう?〜YURUMIスタッフ進学トーク〜

          みなさんこんにちは!不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 梅雨、明けましたね〜! こういうよく晴れた日に、窓のすぐ近くにお布団を敷いて、カーテンを開けて、冷房をつけて……あったかい陽射しを浴びながら涼しい部屋でうたた寝するのが、私にとっての一番の贅沢です。おすすめですよ。 今回は、7/26(日)に開催されたオンライン懇親会イベント、「YURUMI懇親会〜うちの子の進学先どうしよう?〜」の様子と内容をご紹介します。 不登校からの

          うちの子、進学先どうしよう?〜YURUMIスタッフ進学トーク〜

          YURUMIのオープンダイアローグ:新しい対話サポートのかたち

          みなさんこんにちは!不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 今回は、YURUMIが提供している対話サポートのサービス「オープンダイアローグ」を紹介したいと思います! 1.オープンダイアローグって?オープンダイアローグとは、悩みを抱えている方とその関係者(保護者の方など。ただしご本人様が保護者の方の同席を希望されない場合はそれも可能です)、そしてサポートチーム(複数名)が全員で対話を行うという対話スタイルです。 サポートチームを交

          YURUMIのオープンダイアローグ:新しい対話サポートのかたち

          【精神科医と学ぶ】ストレストラウマケア

          みなさんこんにちは!不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 四連休はいかがでしたか? ちなみに、本記事の中の人はレポートに追われている大学生なので、全く連休って感じはしませんでした。これを乗り切れば夏休み………… 今回は、7/18(日)に開催された有料イベント、「精神科医からストレストラウマケアを学ぶワークショップ -生きづらさを抱える人へ」の様子と内容をご紹介します。 講師に”まえまえ先生”こと前田佳宏先生(精神科医・YURU

          【精神科医と学ぶ】ストレストラウマケア

          【講師インタビュー②】高校時代のいじめから、今、踏み出す第一歩

          こんにちは! 不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 今回は、講師のAさんにお話を伺いました! 咲さんは、高校時代にいじめに遭われていました。その経験から感じた教育や社会の問題点、そして、これから自分はどうしていきたいのか──。今苦しんでいる方と、その親御さんへのメッセージもいただきました。 Aさん(仮名) 指導科目:英語、国語 中学生以下は全教科対応OK 1. 高校時代、いじめに遭っていました──「人間関係に不慣れだったこと

          【講師インタビュー②】高校時代のいじめから、今、踏み出す第一歩

          【精神科医と学ぶ】愛着障害とは?

          みなさんこんにちは!不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。 だいぶ暑くなってきましたね。もう一年の半分が終わったなんて……!という気持ちです。 今回は、6/27(土)に開催されたイベント、「人間関係が苦手な方へ -精神科医と愛着障害を学ぶワークショップ-」の様子と内容をご紹介します。 講師に”まえまえ先生”こと前田佳宏先生(精神科医・YURUMIアカデミックアドバイザー)をお招きし、ワークショップをオンラインで行いました。 参

          【精神科医と学ぶ】愛着障害とは?