見出し画像

【屋久島空港問題 ♯2】 1,500m、1,800mでもジェット機が飛ぶなら、2,000m滑走路の必要性はない

前回は、ジェット機就航のために2,000mに滑走路延伸する本計画に対して、札幌市の丘珠空港では1,500 m滑走路で現にジェット機が就航してるんだけど…という話をしました。


今回はその就航状況をさらに詳しく調べながら、
本計画における2,000m滑走路の必要性の有無を検証したいと思います。


丘珠空港の資料:滑走路の長さと離着陸可能な航空機


図1 札幌丘珠利活用検討委員会参考資料3
図2 札幌丘珠利活用検討委員会参考資料3


これらは丘珠空港の延伸計画の検討段階で公表された資料の一部で、図1、2の各2段目(赤線枠内)「ERJ170/175」という機種が、1500m滑走路で現在就航中のジェット機です。

このジェット機については次のような記事もあります。

「技術の進歩により、騒音レベルは当時より軽減され、1,500メートルでも離着陸可能なリージョナルナルジェットが開発され、2016年から夏季限定でリージョナルジェット機による定期便運航が開始されています。」

丘珠空港利活用検討委員会、滑走路をまずは1800mに延伸提案」(Fly team  ,2020.6.24)

また5段目(青線枠内)の「A320‐200」という機種は、パンフの想定機種A320とほぼ同じで、1,800 m滑走路で夏季のみ就航可能となっています。

夏季のみというのは札幌市では冬季積雪の問題があるからで、屋久島ならば当然通年就航可能になります。


動画:【丘珠を狙う会社があと2つ!?】札幌に近く利用者増加!新規就航続々…丘珠空港! 

北海道ニュース  23年6月9日


丘珠空港の運行航路 北海道ニュース  23年6月9日 (上記動画 9:20~)

上記動画では丘珠空港の就航9路線(内ジェット機3路線)を紹介し、
1,800 mに延伸後は、伊丹・羽田直行便の構想があることも述べています。(17:40~)。

これらを基に丘珠空港での運行/構想区間と、屋久島空港の構想区間の直線距離を調べて、就航機種、滑走路長さとの関係を一覧表にしてみました。

なお札幌‐東京間と札幌‐大阪間は構想段階のため使用機種が不明ですが、「ERJ170/175」なら1,800 mで通年就航可能、「A320‐200」なら1,800 mで夏季のみ就航可能となります。


就航機種・就航距離・滑走路の長さの関係


図3 丘珠空港における就航機種、就航距離と滑走路長さ
図4 屋久島空港における就航機種、就航距離と滑走路長さ


図の3と4では、約1,000 ㎞の就航区間で、1,500m滑走路と1,800m滑走路のジェット機就航可能性に関する判定が、真逆になっています。

もっと正確にいうと丘珠空港の実績及び就航可能という判定に対して、屋久島空港の方は不可能と明示したわけではなく、ただただ黙殺を決め込んで2,000mだけを推進しているのです。これはまさに為にするものではないでしょうか。


「直線距離約1,000 ㎞の屋久島‐羽田間にジェット機直行便を就航する」  という目的に対して、2,000m滑走路は明らかに過大設備であり、必要性がありません。

これが今回の検証結果になります。

実は屋久島においても町長が、丘珠空港と全く同様の見解を示していた時期があったので、次回はそのことについて説明をします。


活気付く丘珠空港  動画の聞き取りメモ


今回は参考までに、丘珠空港に関する先ほどの動画の聞き取りメモを付して終わりにしたいと思います。

6:30からの動画をご覧になれば、熱気あふれる現地の盛り上がりや市民に広く公開された情報と自由な意見交換、延伸による可能性の広がりや就航会社の意気込み等々、彼我の違いがリアルに感じられると思いますが、お時間がない方はメモで代用ください。(太字筆者)

【丘珠を狙う会社があと2つ!?】札幌に近く利用者増加!新規就航続々…丘珠空港!滑走路やアクセスに課題も。。。 

北海道ニュース  23年6月9日

【08:10】 22年度丘珠空港旅客者数32万700人 13年ぶり30万人越え

【09:08】 道内と青森に6路線 長野(松本)静岡 名古屋(小牧)3路線にジェット機就航中(小牧は今年3月から) 近年就航路線が増加傾向

【10:55】 小牧路線が多くの乗客を集めたことで、道外からのアプローチが増えるだろう。新航空機を使った新規就航路線を開拓中の航空会社2社が、丘珠に熱い視線を送っている。丘珠のポテンシャルは非常に高い

【17:15】 新千歳空港との差別化 LCCを新千歳に任せ丘珠は東京、大阪への直行便を。

【17:40】(1800mへの延伸後には)伊丹・羽田直行便の構想がある。丘珠-羽田便は実際かつて存在した。その他の希望路線をチャットで教えて。

【26:38】 新潟を拠点に新規参入をする航空会社「丘珠ー新潟便」トキエア6月の就航予定を8月に延期の発表

【29:20】 トキエア社長インタビュー:初就航先に丘珠を選んだ理由は駅近、都市型の立地条件とプロペラ機の離着陸にちょうどよい滑走路長さ。就航予定延期の理由は、就航時想定訓練をさらに完璧に行うため。

【32:32】 プロペラ機は環境に優しく空港使用料も安い。トキエア社長はそこに目をつけた、丘珠空港にはジェットだけではないうまみがある。

【33:50】 トキエアは貨物室を設けて貨物でも収益をあげたい、空港で産地直送フェアも実施したい。FDA(静岡、松本、小牧便就航会社)の社長は実証実験前から地元に来て挨拶周り等々で期待感を盛り上げていた。

【35:30】 新潟県庁も新潟経済界もトキエアに期待している。

【39:30】 新潟県がトキエアに約19億円の出資、経済界や個人も多額の出資をしており、官民あげてトキエア就航を絶対に成功させようとしている。

【43:50】 丘珠空港がモデルとするロンドンのシティ空港は、1500m滑走路で年間300万人以上の利用者を捌き、周辺にも配慮したユニークな運用をしている。丘珠も地元に愛される空港を目指してほしい。シティ空港はニューヨーク便なども就航しているので、同規模の丘珠にも国際拠点となる可能性がある。

【46:25】 1,800 mへの延伸については既に国交省にお願いをしている。

【48:40】 1,800 mに延伸すると1日72便、1日の利用者112万人に対応できると予測。 



記事まとめ


【屋久島空港問題 ♯0】 「屋久島空港の滑走路延伸計画」は2,000 m滑走路の必要性を捏造している ~その首謀者と目的は?~

【屋久島空港問題 ♯1】 2,000 m滑走路の目的は、屋久島‐羽田間のジェット機就航。1,500m滑走路でジェット機就航中の空港もあるのに。

【屋久島空港問題♯2】 1,500m、1,800mでもジェット機が飛ぶなら、2,000m滑走路の必要性はない(←現在の記事)

【屋久島空港問題♯3】 鹿児島県の態度急変と同期する2,000m滑走路。因果関係があるのでは?

【屋久島空港問題 ♯4】 情報隠しとウソとごまかしのパンフ

【屋久島空港問題 ♯5】 「新規事業採択時評価」と評価の基準

【屋久島空港問題 ♯6】 需要予測なんかしないで出した “偽りの需要予測” 14万人

【屋久島空港問題 ♯7】 14万人よりかけ離れて少ない実績値(関東からの鹿児島便乗降客数)

【屋久島空港問題 ♯8】 羽田直行便就航後は軒並み採算ライン割れ それでも就航する航空会社は?

【屋久島空港問題 ♯9】 関東方面からの旅費低減と時間短縮で、223億5千万円の経済効果?!

【屋久島空港問題 ♯10】 屋久島町の急激な人口減少

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?