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ウズベキスタンdiary4「ヒヴァへのドライブ」

カラカルパクスタン共和国の首都ヌクスからヒヴァまでは、宿の人に手配してもらった個人タクシーで向かう事にした。だいたいここから3時間くらいで着くらしい。40ドル。

私達が泊まった宿「Jipek Joli Inn」のオーナーは、金髪に青い瞳が美しいお兄さんで、とても気が効く優しい人だった。これから日本の観光客を増やしていきたいから、何か改善点があれば教えて欲しい、と帰りの精算時に聞かれた。

去年日本はウズベキスタンへのビザが実質廃止されたから、これから観光に行く人はどんどん増えていくだろう。そういえば朝食を給仕してくれた男の子も、大学で日本語を勉強しているんです、と片言の日本語で話しかけてくれた。

この宿には海外の宿には珍しくバスタブがついていた。昨日の夜は、ここまでの長旅でめちゃくちゃ疲れていたし、空気が乾燥しているから、やった!お風呂に入れる!と喜んだら、肝心の栓がついていなかった。結局夫が色々と工夫をしてくれて、お湯に浸かる事が出来たけど(ありがとう!)

もし可能なら、お湯をはれるようになると日本人はとっても喜ぶと思います、そういう宿は少ないし・・・と伝えると「あぁ〜なるほどね」というように笑ってうなづいてくれた。

タクシーの後部座席に二人で乗り込む。古いセダンのタクシーだった。
宿からヌクスの街を抜け、暫く走るとタクシーは砂漠地帯を走る高速のようなものに乗った。

高速と言っても、標識も無ければガードレールも無い。コンクリートがだーっと敷かれて、真ん中に白線がひいてあるだけ。

そして運転手さんが物凄く飛ばす!右に左にクネクネとハンドルを切る。道が悪いから大きな凹みが沢山あって、それを避けて走らなくてはならないらしい。

前方にいる車も同じようにクネクネと走っている。そして、対向車も。
交通ルールは、あってないようなものだ。


夫が「見て!」と右の窓を指差した。

遠くに、黒煙を出しながら走る機関車が見える。機関車を絵に描くならこういう風に描くよね、というような、丸い黒煙をぽっぽっぽっと出しながら、ゆっくりと進む機関車を車はあっという間に追い越した。

「この光景は忘れられないだろうなぁ」と夫が呟く。

砂漠を抜け、少し民家のある場所を通る。赤茶色の畑が続く。

どうやら、この赤茶色は綿らしい。そうそう、ウズベキスタンでは綿花栽培が主要産業の1つだったな・・・と思い出す。ウズベキスタンは世界で5番目に大きな綿花生産国だそうだ。

よく見ると、もう綿の部分が弾けて丸い綿が白く弾けている。今が丁度収穫時期なんだ。畑によっては女性達が腰を屈めて綿を手摘みをしているところが見えた。

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綿をパンパンに詰めたビニール袋に腰掛けて、輪になって談笑している女性達。大きなメロンのようなものを道端で売っている男の子。その横をタクシーは猛スピードで駆け抜けていく。なんだかタイムスリップしたような、郷愁を誘う風景だった。

この綿花収穫は、ウズベキスタンの人にとって大きな収入源らしい。ついこの間まで、強制労働や児童労働がとても深刻な問題だったそうだ。

でも、2019年のILO(国際労働機関)の調査では、現在政府による強制労働や児童労働は無かったと報告されている。加えて、綿花収穫の賃金は上昇傾向にあるそうだ。

これは、そんなにおかしな事ではないだろうな、と思う。滞在中、この国の物価が物凄い勢いで上がっているのを何度も感じたし、実際に私が買った、今年出たばかりのガイドブックに載っている情報よりも、タクシーやバスの運賃は何倍にも上がっている事がよくあった。今、大きく動いている国なんだ。

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砂漠の街を車はぐんぐん進む。

Google mapで確認すると、ウルゲンチに入ったようだ。ヒヴァまでは後、1時間くらいか。 
突然、道路脇にあるケバブ屋さんの前に停車した。店先にはプラスチックで出来たカラフルな机と椅子が置いてあり、人々がケバブを挟んだサンドイッチのようなものを食べている。

ドライバーさんが車を降りると、車のトランクから何十枚も重なった、ピザ生地のようなものをケバブ屋さんに運びだした。トランクにそんなものが入っていたとは……多分ヒヴァに行くタクシー業務のついでの商売だろう。お店の人と暫くやり取りをした後、車はまた出発した。

ちなみにトランクには、ピザ生地の他に大きなタンクが入っていて驚いた。ウズベキスタンでは、メタンガス自動車が多いらしい。高速から「METAN」と大きく書かれたガソリンスタンドのようなものを何度か見かけて、不思議に思っていたけどその為か。給油ではなく、メタンガスを補充するのだ。

車は更に1時間ほど走り、夕方15時頃ヒヴァの茶色い城壁が見えてきた。


ヒヴァに、着いた!

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このヌクス→ヒヴァまでのドライヴも、観光客があまり使わないルートだと思う。私達もフライトの予約が取れていたら使わなかったルートだ。でも、砂漠の道を走ったり、綿花畑や小さな街の様子はとても旅情があって良いものだったので、ウズベキスタンをどう回るか考え中の人には、悪くないルートだと思います。

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