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リプレイすればいつでもまた会えるさ

週末、友人たちが帰った後、庭で家庭菜園を始めようと土をいじっていた。

すると、我が家の警備員、ジャンクロード(21歳男性、あだ名はクロちゃん)が、「ゆり、今日時間あるの?」と控えめに聞いてきた。

クロちゃんは、史上初めて英語が少々話せる優秀なボーイである。

何を頼まれるのだろう。

「家にいるなら帰ってもいい?」だろうか。

「よかったら僕とデートしない?」だろうか。

ドキドキしながら「時間、あるけど…」と答えると、「木曜の夜8時くらいに、家の中で歌ってた歌を歌ってほしい」と言う。

急に木曜の8時と言われても思い出せず、必死に記憶をたどっていたら、「♪~」とうろ覚えのメロディーを鼻歌にしてくれた。

ハンブレッダーズの、”ファイナルボーイフレンド”だ。

「ああ!わかった!♪今夜もし夢で会えたら~でしょ?」

「そう!それ!それを聞いたとき、なんて美しい曲なんだ!と思って、すごく良い気分になったんだ。よかったらここで歌ってくれない?」

正直、驚いた。

私はこの曲がとても大好きだが、ルワンダ人にウケるとは。

ルワンダで流行る曲は、大体ヒップホップか、ファルセットを用いたゆるりとした楽曲のどちらかだ。

ロックを聴いている人を見たことがない。

そして、ハンブレッダーズの楽曲の良さは、半分くらい、歌詞にあると私は思っている。

だから、意外だった。けれど同時にすごくうれしかった。

少々恥ずかしかったが、「いいよ」と言って家の中にウクレレを取りに行く。

クロちゃん一人に向けた、超プチワンマンライブの開催だ。

「♪僕がジジイ、君がババアになっても~物陰に隠れてキスをしよう~」

ウクレレ片手にラブソングを歌う私、対面に座って目を閉じ、うっとりと体を揺らすルワンダ人。

「あれ、私今クロちゃんに告白してる?(笑)」と思いつつ、1サビまで歌い切った。

照れる私、拍手喝采のクロちゃん。

「この曲、本当に素晴らしい。すごく大好きになった。もう一回歌って」と子どものような目でお願いしてくるので、今度は音源を聞かせてみた。

すると、私の歌よりも気に入ったらしく、大興奮していた。

「この曲欲しい。Bluetoothで送って」とねだられたが、彼の携帯はガラケー、私が音楽を聞くのはSpotify。

「音声レコーダーで録ったら?」と提案し、約5分ほどの楽曲を、携帯に録音してあげた。

「ありがとう。仕事中も聴くし、帰り道も聴く。家でも聴く。」と、大変うれしそうにした。

「大袈裟な奴め」なんて思っていたのだが、その後私は四六時中かすかな”ファイナルボーイフレンド”を聞かされるはめになる。

とはいえやはり嬉しいので、1サビまでの歌詞をローマ字表記にして渡してやった。

今朝、6時半に「♪ボクガズィズィ~チミガァ~ババァニナーテーモ~」の声で起こされることになるとは思わず。

この調子でいくと数日後には完全に歌えるようになっているはずなので、そしたらインスタにでもアップしよう。

ちなみに私が一番好きな楽曲は「再生」で、理由はその歌詞の良さ。

歌詞読んでるだけでも何だか泣きそうになるんだよな。

この記事のタイトルはその「再生」から引用しました。おわり

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