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随筆

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日常の出来事や、戯言、不平不満など。
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カウントダウンはまだ早い

カウントダウンはまだ早い

帰国まで3か月となった。

愛し愛されたニャムガリを離れるのはあまりにも寂しく、帰りたくない思いでいっぱいだ。

...なんて言ったら、嘘になる。ごめん。

正直、もう私の気持ちは9割方日本にある。
ルワンダにあるのはせいぜい足の指先ぐらい。

帰りの飛行機に乗るのは、92日後。約2,200時間後だから、サザエさん4,400回分である。

幼いころ私は、テーマパークでのアトラクション待ち時間を、な

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欲しいのは、金メダル

欲しいのは、金メダル

先日JICAから、進路希望調査と、任地ニャムガリを離れる日のお知らせが送られてきた。

それもそのはず。あと4か月もしないうちに、私は焼き鳥を片手にへべれけになっている予定なのだから。そしてカラオケで新宿に豪雨を降らせている。

進路。

今年30歳になるのに、進路希望調査を書くだなんて、おもしろい。

中3くらいから定期的に行われてきたイベントが、この年まで続くとは思わなかった。

だがしかし、

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旅をして、もっと好きになる

旅をして、もっと好きになる

私は、友情にアツいほうだ。

友だちとの付き合い方として、たまにランチして世間話に花を咲かせるというよりは、一晩中飲んで熱い話をして泣きながら抱き合ったり、会いたくなったら無理してでも飛んでいったり、お互いの好きなところを褒め合って愛を深めていくタイプ。

まあ結局類友なので、親友たちは結構みんなアツい。ルーキーズ系。

ルワンダに戻る前夜にわざわざ新幹線で会いに来るヤツとか、4,000字以上使っ

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私のヤバさ

私のヤバさ

他人が私のことを評価する時に、「しっかりしてるよね〜」という評価をいただくことが、よくある。

これは、半分正解で、半分間違っている。

確かに私は礼儀作法や常識はわきまえているし、幹事とかもよくやるし、ある程度他人に頼らず生きていけるし、ラーメン屋も一人で入れる。

自分の意見を伝えられるし、人生の分岐点ではちゃんと決断ができるし、国家斉唱とかもちゃんと歌う。

しかし、だ。

その残りの半分が

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ひとり暮らし、キライ。

ひとり暮らし、キライ。

アラームはかけない。大体同じくらいの時間に目が覚めるから。

何に起こされるわけでもなく目を覚まし、片目でカーテンを見つめる。

まだ暗かったらもう一度目を瞑り、ぼんやりと明るかったらスマホで時間を確認する。

明るかった場合は大体、7時から8時の間。

どこに行くにしても、その時間に起きれば間に合う。

眠い目をこすりながら、SNSをさらっと徘徊する。

「おはよう」と言う相手はいないので、もう

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おなかぴーぴーと大のろけ

おなかぴーぴーと大のろけ

新年あけまして…なんて記事を書こうと思って少々ボーっとしてたら、明日で1月が終わることに気が付いた。

時の過ぎゆく速さに驚きを隠せない。

1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」なんて言われているのは、日本の忙しない生活の中での話かと思っていたが、そうとも限らないらしい。

いや、ただ単に今月が私にとって楽しすぎたからだろうか。

そう、今月、恋人がついにルワンダにやって来たのだ。

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バカ高いかまぼこが見たい

バカ高いかまぼこが見たい

壁掛け時計を見て、カレンダーを見て、スマホのロック画面を見て、SNSを見て、ゾッとする。

12月30日…

年末ってこと…?

一年中気温20度越えのこの国で迎える年末は、二度目。

しかしながらやはり、半袖で迎える年末というのはどうもしっくりこない。

年末は寒いものだと、体に染みついているのだ。12月生まれだし。

ルワンダにいながらも、誕生日は盛大すぎるくらいに祝ってもらったし、クリスマス

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リプレイすればいつでもまた会えるさ

リプレイすればいつでもまた会えるさ

週末、友人たちが帰った後、庭で家庭菜園を始めようと土をいじっていた。

すると、我が家の警備員、ジャンクロード(21歳男性、あだ名はクロちゃん)が、「ゆり、今日時間あるの?」と控えめに聞いてきた。

クロちゃんは、史上初めて英語が少々話せる優秀なボーイである。

何を頼まれるのだろう。

「家にいるなら帰ってもいい?」だろうか。

「よかったら僕とデートしない?」だろうか。

ドキドキしながら「時

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見習いてえよ、その自己愛

見習いてえよ、その自己愛

一日中降り頻る雨の中、ふと思い立って現在の東京の気温を見てみると、20度だった。

11月の頭、この時期の平均的な気温がいかほどだったか、冬のない暮らしの中で忘れてしまった。

ルワンダ人は頗る寒さに弱い。

私が半袖でちょい寒いかしらと思ってる日に、彼らはフェイクファーのついたダッフルコートを着ている。

彼らを真冬の日本に送り込んだら、きっとこたつに潜り込んで春先まで出てくることはないだろう。

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物事の背景を考えられる人・考えられない人

物事の背景を考えられる人・考えられない人

昨日友人に、「SNSで見た、ゆりちゃんの作ったブックカバーがとても良かった。買わせてほしい。ファンである。」と言われた。

とても嬉しかった。

この言葉を、「普通じゃない?」と思えたあなたは、物事の背景を考えられる人である。

と、いうのも、この世の中には物事の背景を考えられない人がたくさん、そりゃたくさんいるのだ。

イラストレーションを本腰入れてやっていた時、「描いてほしい~!」と言ってくる

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卵雑炊が作れちゃう女

卵雑炊が作れちゃう女

体調を崩した。

ルワンダに来て4ヶ月弱、2度目の発熱。

それまで発熱なんて滅多になかった。

みんながヒイヒイ言っていたコロナワクチンさえ、3度とも何の副反応もなかった。

覚えている限りの日本での最後の発熱は、5年前とかである。

いくら楽しく過ごしてるとはいえ、やはり環境の変化というものは体調に大きく関わるらしい。

ルワンダの子どもたちを見ていると、平気でそこらに落ちてるゴミとか舐めるし

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食べかけのアイスと、常識

食べかけのアイスと、常識

実家の冷凍庫には、食べかけのアイスがたくさんある。みんなアイスが好きなくせに完食することができないため、半分とか、一口分とか、残して再度凍らしておくのである。

実家に帰った時に「アイス食べていいよ」と言われ、厳選したのちにアイスのふたを開けると食べかけだったりして、げんなりすることもしばしばである。

20代前半くらいまではそもそもアイスを残すという行動が信じがたかったが、年を重ねるにつれアイス

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スーパーマーケットでスキップ

スーパーマーケットでスキップ

久しくペンを執っていなかったせいで、頭の中に浮かんでいた書きたい言葉たちがどこかへ飛んで行ってしまった。言葉は水物である。思い浮かんだ時に書き留めておかないと、簡単に消えてしまうし、時間が経ってから書くと何だか面白みに欠けるものだ。

さて、長い旅から帰ってきた。旅と言ってもさほど移動はしていないのだが、この二か月間を振り返ると「旅」という言葉がふさわしいのではないかと思う。

福島の人里離れた場

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言葉フェチ

言葉フェチ

近ごろ、日本人の語彙力の貧困化が非常に気になっている。

何を隠そう私は、「言葉フェチ」である。

「言葉フェチ」なるものが存在するのか定かではないが、私は間違いなく「言葉フェチ」である。「フェチ」を付けると何だかいやらしい香りがするが、決してそういう「言葉フェチ」ではない。

いわゆる、秀逸な表現がたまらなく好きなのである。
日常会話の中でそれを見つけることもあるが、やはり作家や芸人、アーティス

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