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オレ・メドゥニュツィア(OUN代表):ウクライナと日本は、ロシアに領土を占領された国のグループを率いるべきだ

以下は6/26/2023にABN Correspondenceに掲載された記事の翻訳です。

ロシアの大規模なウクライナ侵攻(2022年2月24日)は、世界の地政学を変えた。この侵攻は全世界の何十億という人々の生活に影響を与えた。世界的な安全保障の危機が始まり、世界戦争や核紛争に発展する可能性がある。

ロシアが引き起こした危機は、人為的で作為的なものであり、侵略の理由は率直に言って捏造されたものである。従って、ロシアのこの戦争の最大の目的は、ウクライナの国家と民族の消滅であることを、ほとんどの国は十分に理解している。
ロシアと国境を接している国々は、特にロシアの行動から緊張を感じている。ロシアと国境を接するほぼ全ての国には、戦争や紛争、領土の主張、占領の歴史がある。ロシアはフィンランド、エストニア、ドイツ、モルドバ、ジョージア、ウクライナ、そして日本から領土を奪った。最後に挙げた国のケースが、この記事の焦点である。
実際、ロシアはベラルーシを占領し、その政権はロシアの「銃剣」と支援の上に成り立っている。唯一の友好関係は中国とのもので、モスクワはこれを率直に恐れている。更に言えば、二国間協定によれば、ロシアは国境地帯を中国に移譲している。現在の国境線であるアムール川の流れがロシアに不利に変化するという特殊性があるからだ。ロシアはまた、北極海の暗礁(海域)をめぐってノルウェー、カナダ、米国と紛争を抱えている。
話を日本に戻そう。
日本は、GDP水準と輸出量で世界第3位の経済大国である。自動車輸出、ロボット工学の発展、原子力発電所の数では世界をリードしている。日本はまた、主要国際機関、特にG7諸国、IMF、OECD(経済協力開発機構)の影響力のあるメンバーでもある。また、日本は世界貿易の重要な参加国であり、主要な国際投資国でもある。
国際舞台における日本の影響力にもかかわらず、ロシアは日本の北方領土占領問題を頑なに無視している。
日本の北方領土をめぐる争いの起源は、19世紀に両国が下田条約に調印し、国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島、南樺太を日本領、千島列島と北樺太をロシア領と認めたことにさかのぼる。両国の国境はアルプ島と択捉島の間にあった。
その後、状況は万華鏡のようなスピードで変化した。

  • 1875年 - サンクトペテルブルク交換協定の調印。日本は、南樺太をロシアに譲渡する代わりに、千島列島すべてを受け取った。

  • 1905年 - 日露戦争の結果を受けたポーツマス条約調印。日本は南樺太の領土を獲得。

  • 1945年 - ソ連が南樺太と全千島列島を占領。

  • 1946年 - 国後、エトロフ、色丹、歯舞群島、南樺太を一方的にソ連に編入し、日本人を北海道に強制送還。

  • 1956年 - 日ソ宣言調印。ソ連は平和条約調印後、南クリル諸島の色丹島と歯舞諸島を日本に返還すると約束したが、条約は調印されなかった。

占領を正当化するために、ロシアは科学的概念や地理的名称をすり替えてまで、日本の北方領土をクリル海嶺の島々や南クリル諸島と宣言した。しかし実際には、占領地は北海道の北方領土の地質学的な(地)続きなのである。

なぜウクライナにとって日本が重要なのか?私の考えでは、ウクライナが、ロシア連邦に領土を占領されている国々のグループの中で推進者になるべきであることは明らかである。更に、これらの国々からなる国際的な組織を創設する発案者にもなるかもしれない。これらの国々をまとめる主な目的は、領土を返還し、補償金を支払い、モスクワの侵略を受けた国々の主権と領土保全を回復することである。そうすることで、占領地返還の問題に力と国際的な重みが加わる。日本のような国があれば、そのような共同体はより強力な地位を得るだろう。

ウクライナと日本の交流の歴史的側面についても考察する価値がある。1930年代の初め、ウクライナ解放運動の指導者エヴェン・コノヴァレツの言葉を引用したい。「ウクライナの問題を解決するために、極東で起こった出来事に特に注目した。そこで彼は、ウクライナの正規軍を創設するという“軍団”構想を具体化する機会を見出した。ワルシャワでは、UNR(ウクライナ人民共和国)の元軍務大臣ヴォロディミル・サルスキー少将とパリの雑誌『トライズブ』編集者イラリオン・コーセンコのおかげで、日本人との接触が築かれた。また、イスタンブールでは、オレクサンドル・シュルギンがヴォロディミル・ムルスキーイと共に、原中佐を通じて駐在官となった。極東とシベリアにおけるウクライナ問題に関するアピールがT.オレズヌクによって作成され、柳田大佐経由で送られた。エフヘン・コノヴァレツ大佐は、極東問題解決の文脈でウクライナが政治戦略的・経済的に格別の意義を持つことを日本参謀本部に説得することに成功した。ウクライナの民族主義指導者達は、日本とイタリアを通じて、東欧問題に関してドイツの政治に影響を与えようとした。」
OUNと日本政府要人との接触についての詳細は、こちらのリンクを参照されたい:
https://ukranationalism.com/history/3096-formuvania-zovnishnoi-polityky-oun-1929-1939.htm

日本は、ウクライナにおけるロシアの侵略を世界で最初に非難した国のひとつである。2022年2月28日、外務省の宇山秀樹局長はこう述べた: 「北方領土は占領されており、これはウクライナにおけるロシア軍の攻撃と同様、国際法に反していると考える。」
ウクライナのヴェルホヴナ議会は2022年2月7日の決議で、北方領土に関する日本の立場を支持することを表明した。ウクライナは、これらの領土が依然としてロシア連邦の占領下にあることを認め、国際社会に対し、日本の北方領土の地位の契約上および法的登録のためにあらゆる可能な措置をとり続けるよう求める。
日本とウクライナは、自国の領土の占領解除という共通の利益を有しているため、自然な同盟国である。だからこそ、ウクライナの外交官や当局者の任務は、このプロセスに有機的な特徴を持たせ、国際機関創設のレベルまで様々な度合いで形式化することなのである。ロシア帝国の活動によって損失を被った国々のこのような連合は、世界的な国際政治における強力な発言力となり、ロシアを平和を愛する非武装国に分割するための説得力のある論拠となるだろう。

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