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からだの中の御局様

今日の夕方の一コマ。
テレビを見ながら。
娘「なぁ。なんでこの子泣いてるん?」
私「○○がいなくなって悲しいから。あんたもお母さんおらんようになったら悲しいやろ?」
娘「え〜?おとうさんおるから大丈夫〜。」
私「え………。」

……………………………………。

……………………………………!!

カオナシの顔みたいな表情になった。
(「カオナシの顔」ってなんだか変な表現だな。)
そして、カオナシみたいな「え。」を発してしまった。

娘はまだ5歳。
まだまだ「おかあさん大好き!!」なお年頃。のはず。
私の「悲しいやろ?」のあと、私は「イヤや!!」という返事があると信じて疑わなかった。
100%信じていた。
私の心に穴が空いた。
まだ貫通していなかったから、かろうじて普通を装えたけれど。

夕飯時。
娘はなぜか、お箸を使わず手で食べることがある。
今日もそれをしたので「ちゃんとお箸使って!」と注意した。
「うるさいな。」と、返ってきた。
娘はまだ5歳。(2回目)
14歳とか、思春期真っ盛り、反抗期真っ盛り、なら、まだ納得ができたのだけれど。

私の心にぽっかり穴が空いた。
貫通。
トイレットペーパーの芯を覗き込んだときのように、向こう側が見える。
イメージは、「葬送のフリーレン」で、黄金郷のマハトがデンケンに決定打を喰らったあとの状態。
(一部の人にしか分からない表現をしなさんな。) 
それからは、それこそカオナシの顔のように、微動だにしない無表情で、もう普通は装えなくなった。

察した娘が、やたら「ごめんね。」と繰り返してくる。
いや、許す、許さない、の問題ではないのよ。
悲しくて、寂しくて、心がぽっかり空いて、埋まらないのよ。
今の私に「ごめんね。」は響かないのだよ。

大人らしく許したフリでもして、普通を装えば良いのだろうけれど、それができない。
「許す、許さないの問題ではない」と話したところで、娘はまだ理解できないだろうし、「ごめん」を繰り返すことしか術は知らない。

あぁ、なんてダメな母親……。
子供に自分の機嫌をぶつけるなんて……。
だから「おとうさんおるから大丈夫」なんて言われるのだよ。
落ち込む落ち込む落ち込む……。
沈む沈む……。yura yura〜。



さて、しかし。

普段なら、ここまで子供に対して普通を装えない落ち込み方はしないはずなのである。
カタチだけでも許せたはず。

理由は分かっている。
「女性ホルモン」だ。
結局何かのせいにしたいだけでしょ?と言われそうだけれど。

1ヶ月の半分を体調不良で埋め尽くされる人もいるぐらい、女性ホルモンの影響は大きいのである。
実際に、私はそのような状態までには至ったことがないのだけれど。 

ただ、数年前に子宮内膜症と診断され、ホルモン剤の副作用に苦しみながら、病状が少し落ち着いた頃に妊娠したかと思えば、2ヶ月半で体重が8kgも落ちるほどのつわりを経験した身としては、女性ホルモンの威力は侮れないのである。
今も、月のモノが来る前に落ち込みが激しくなる、ということが、2~3ヶ月に一度のペースで起きる。

以前、体内のホルモンすべてなのか、女性ホルモンのみなのかは分からないのだけれど、「一生のうち分泌されるホルモン量はティースプーン1杯分」と聞いたことがある。
そんな微量の物質に、私の大きなからだが振りまわされているのだ。

子宮内膜症から激しいつわりを経て、私は彼女(「女性ホルモン」だから女設定)に、「体内の御局様」という別名をつけた。
ちゃんとゴマすりをしておかないと、あとでエラい目に遭うからである。
具体的なゴマすりとしては、
・腹八分目
・栄養バランスのとれた食事
・お酒を飲みすぎない
・適度な運動
・十分かつ質の良い睡眠
・からだを冷やさない
などなど。
特に「からだを冷やさない」ことについては、私の御局様にとっては重要項目のようである。
「からだを冷やさない」「お酒を飲みすぎない」ということは意識しているつもりだれど、ほかは壊滅的…。

腹?10分目いくまで止められない。
栄養バランス?考える余裕ない。
適度な運動?事務仕事なのでできていない。
質の良い睡眠?3時頃にトイレに起きる。

「からだを冷やさない」も、ときどき油断してしまって、あとからそれはそれは痛い目に遭う。
春先の目眩とか。(結構深刻なの出てきた。)
一時期、目眩で酔うので、車酔い防止のお薬を飲みながら仕事に行っていた。
本当にこれに懲りて、「からだを冷やさない」だけは、私も重点項目にしているけれど。


だから、娘よ。
今日の私の八つ当たりは、半分は御局様のせいなのだよ……。

……と言ったところで、自分で読み返してみても、結局言い訳にしか見えないのだけれど。
そもそも、娘はまだ5歳。(3回目)
説明したところで、分かるはずもない。

あぁ、でもここで吐き出したことで、少しだけ、貫通した心の穴が埋まった気がするなぁ。
とりあえず今夜はぐっすり眠って、明日、娘にきちんと「ごめん」を言って、めちゃくちゃヨシヨシしよう。
(めちゃくちゃイヤがられたりして……。)



あとがき。

記事に出した「葬送のフリーレン」、めちゃくちゃ良いです。
人と人との関わりや、登場人物の心の動きや、その心の動きから生まれる行動が、丁寧に描かれています。
戦うシーンもたくさん出てくるけれど、綺麗な物語だと思います。
そして、「黄金郷のマハト」編は、何度も読み返すくらい、お気に入りです。

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