仄映ゆら

ほのえ ゆら です。 短編小説とか、短歌を書いたり詠んだり。猫と鳥が好き。

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【文学フリマ大阪12】 レポート

はじめての出店でしたが、無事に1日が終わりました! お疲れさま! ってことで、唐揚げとレモンハイでお祝い。 なにも勝手が分からず11時ごろ会場に行くと、既に準備に取り掛かられている方が多数で、会場の熱気に圧倒されつつ 荷解き。荷解き……。 セッティング完了して、一般入場の方々が入ってこられたときは、どきどきして、 でも、それまでの緊張がなかったみたいに、晴れ晴れした気持ちになっていました。わたしだけじゃなくて、会場全体の雰囲気もふわっと明るくゆるんだ感じがしましたね。

    • 9月8日(日)文学フリマ 大阪 出店します

      「夏かげ」 夏の面影を感じられる六つの物語を集めた短編集です。 「とぷとザピロ」 砂の上で出会った二つの生命体。名前や、姿の美しさや醜さは誰が決めたもの? 力をぬいて考えたらわかるかも、たぶん。いや、わからないかも。 「こがっぱとアイスキャンデー」 夏の日、こがっぱは泣いているおかっぱ頭の少女に出会った。あの夏のアイスキャンデーはどこ行ってしまったんやろ。 「ぷらりひょん」 突然窓からやってきた、「ぷらりひょん」とかいうちっちゃなじいさん。口も態度も悪いのに、「俺」はな

      • とまとあたま

         トマトを噛んだ。わたしの頭は破裂した。  痛いなんてことはないのよ。大丈夫。大丈夫。むしろ爽快。  だって、これで、終わりだもの。これ以上、つらいことなんて、ないんだもの。

        • 【短編小説】「床の間の女」

           彼女は私を見ていないが、私を愛している。  私は彼女が視えていても、愛に触れられない。  燃える茶室の中で、私は彼女に身をまかせ、常夏の夜咄に耽った。  雨のしとどに降る庭に、小走りで駆け込む。お天道様が汗ばんでいるような居心地の悪い空気である。青々と苔むした地面。飛び石の傍で、しきりに揺れるシダや熊笹の露を弾きながら、漸く玄関にたどり着く。 「すみません、遅くなりました」  網戸を開け、声を張り上げる。ふぅと息を吐いていると、家の奥から袴の捌ける音とともに 「えらい雨や

        【文学フリマ大阪12】 レポート

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        記事

          【超短編小説】「表と裏」

           なになになに、知ってますよ、わかってる、出てこないで。  と、裏の自分に言ってる、夜。  今日、国語の授業でなんで手を挙げちゃったんだろう。とか、ルミちゃんと別れたとき、「バイバイ」のトーン低かったかな。とかいう考えが、キノコの倍速成長のように、むくむくと、湧き上がってくる。  そういう、裏の自分を、どれだけ罵倒しても、絶対、倒れないのが不思議だ。  そんな強いメンタルあるなら表に出てこい。

          【超短編小説】「表と裏」

          【超短編小説】「春のあけぼの」

           花の匂い。メルヘンな空。はじめましての仲間たち。春って、わくわくする。 なんていう人とは仲良くできない。  春は、憂鬱。なにが、なんて考えるのにも、胸がつっかえて、吐き気がする。春なんて、春なんて。ほら、なんにもでてこない。  春はあけぼの。なんていった人とはとうてい気が合わないだろうけれど、まあでも、春はあけぼの、とするなら、あけぼのだったら、こんな気持ちになっていても、誰にも咎められないからいいよね、と思う。だんだん意識がはっきりしてくるにつれて、だあるくなるから

          【超短編小説】「春のあけぼの」

          【短歌】玉結び

          玉結びもろくにできないぶきっちょも 愛嬌あれば許してもらえる 庭のしだれ梅のつぼみが、何回も何回も玉結び失敗したみたいな糸に見えて。 梅みたいに可愛けりゃなぁ…と。

          【短歌】玉結び

          【超短編小説】「ひとりぼっちのナイトショー」

           バスルームから見えるパチンコ屋はキレイ。磨りガラス越しに見える、黄色、青、白のライトは、水中から見る花火みたいにボンヤリと、眩しい。  あ……赤も交じった。さあて。  片手にシャワーヘッドをもって、泡の数だけリズムを刻む。ワンツースリー。  私は歌う。午前0時。ひとりぼっちのナイトショー。

          【超短編小説】「ひとりぼっちのナイトショー」

          【超短編小説】「へえへえわかってます」

           当たり前、ってなに。世間的に、常識的に、ってなに。その枠から外れている人を爪弾きにするくせに、それに従っている人もまた、平凡でつまらないと、非難する、その世間って、なに。  わかってますよ。こんなこと、考えない人が、素敵な人間様だってことくらい。私だって、わかってます。  わかってるからこそまた、悩むんです。

          【超短編小説】「へえへえわかってます」

          【超短編小説】「夜はまだ酔いながら」

           お酒を呑んだ帰り道。ざらついていた心が、今はのほほんと潤って、ブランコ漕いでる。 けれど、家が近づいてくると、一歩、また一歩、歩くたびアルコールが、肌の表面から泡になって、空気の中へ抜けていく。重いカタマリになって、背中にのしかかる。 ああいやだ、覚めてしまう。 まだ、夜なのに……。

          【超短編小説】「夜はまだ酔いながら」

          【超短編小説】「ジャスミンの抱擁」

           互いの口から洩れ出る、ジャスミンティーの優美な香り。旅先のホテルで感じた、あなたの温もり。友だちのままでいるための抱擁は、ふわりと軽い、眠気をさそう。  あの時、終わりにするはずだった。はずなのに、今また、ジャスミンティーを飲みながら、あなたのことを想ってる。

          【超短編小説】「ジャスミンの抱擁」

          【短歌】春の夕

          気分が優れないでいると、母が公園に誘ってくれました。

          【短歌】春の夕

          【超短編小説】「嬉しい、悲しい」

           さっきまで、ずんと悲しかったのに、なんだか今は、ぽかぽか心が温かい。なぜかしら? 考えてみても、わからない。心って、単純。  覚えていられないほど、ささやかなことで、落ち込んだり、嬉しくなったり、するんだから。繊細なのか、ぼんやりしてるのか、わからない。

          【超短編小説】「嬉しい、悲しい」

          【短歌】タルトタタン

          12月、京都岡崎にタルトタタンを食べに行ったときの歌。 タルトタタン、って言葉の響きが好き。口に出してみると、なんだか、懐かしい気持ちになる。押し入れの隅から宝箱の缶を見つけると、昔好きだった絵本とか玩具が詰まってて、胸がキュッと温かくなる、感じ。 食べてもそう。煮詰まった林檎の甘みを噛み締めるたびに、じわじわ懐かしさが込み上げてくる。 淡い冬の光がなおさら、そんな気持ちにさせたのかもしれない。

          【短歌】タルトタタン

          【超短編小説】「今日はゴミの日」

           ふわふわと寝ぼけ眼で外に出る。冬の朝はまだ暗い。庭の片隅に、一匹の黒猫が座っていた。縮こまってて寒そう。猫を驚かさないように、そっと近寄って、手を伸ばす。「ひやっ」と、それはつるりと冷たくて、プンと、生ごみの匂いがした。 黒いゴミ袋と猫はよく間違える……。話しかけてアッと気づいた瞬間の虚しさよ。

          【超短編小説】「今日はゴミの日」