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カナダは安全だから行かない

 本屋でナンパで思い出した。銀座の本屋で立ち読みしていて急に話しかけてきたカナダ人のアミール君。本屋なので、大して警戒もせずに話してみて、今までに訪れた国の話になった。「カナダは安全な国だから行くなら順番的には最後だわ」と私が言うと、驚いた顔をした。「安全な国はおばあちゃんになってからでも行けるから。」と補足すると、「じゃぁ危険なあんな国やこんな国、ハンガリーとか行ったことある?」と聞かれた。

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 ハンガリーならある。でも危険だったかしら?
 たしかに、貧しい国のようではあった。かつては繁栄していたことを示す豪華な劇場や世界一美しいマクドナルドなどもあったが、首都のブダペストでも華やかな空気はあまり無かった。

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 ハンガリーにはスロバキアから列車で入国した。ブダペスト中央駅にはチェス盤があり、地元の方がプレーしていた。その横をカートをひいたおばさんが歩いている。カートに乗っていたのはレトロな柄の布地。あまりに好みの柄だったので追いかけてどこで手に入れたか訊きたかったが、如何せんハンガリー語が喋れないので泣く泣く諦めた。

 中央駅からホテルへ地下鉄で移動する。駅から出ると、目の前の広場にはかなりの数の人が。みんな立ち食いしており、一様に小汚い格好。ワゴン車の後ろに長い列。配給のように見える。入国早々、治安には期待できないところに出くわした。やっぱり治安、悪かったかも。

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 ブダペスト郊外には大きな常設のマーケットがあるのだが、私が訪れた時は冬場だったからか、閉まっている店も多かった。そこで見つけたこのイヤリング。値引いてもらって入手したが、可愛すぎて落としたら大変、とあまり出番が無い。とても好みなので眺めるたびにときめいている。

 旅では、こんな小さな戦利品も含めお土産を大量に購入するので帰りのトランクにスペースを作るため、元々要らない服を旅行に着ていき、現地で捨てて帰る。ハンガリーでも残る旅程が僅かとなったので、駅へ向かう道すがら道端の口の小さなごみ箱に不要な服やごみを詰めた袋を押し込もうとしていると、後ろから来たおばさんが何やらぶつぶつ言いながらそのごみ袋を持ち去ってしまった。当時の私はのんきに(捨てる場所を間違えたのかしら?)程度に考えていたが、今思い返すとおそらくどこかに売るつもりだったのだろう。

 治安の悪さと貧しさは直結している。

magazine "foreign bijou" vol.8

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