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キッチンの異邦モノ

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海外から連れ帰ったキッチン回りの物たちが朽ちる前に、写真を残して、その旅について書き記していきたいと思います。コロナ禍でしばらく海外には行けそうにない今、ここで少しでも海外を感じ… もっと読む
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どう見てもアジア系の顔なのに地元民に間違われることがある

 アメリカならまだしも、バルト3国の一国ラトビアで間違われた。  2月のラトビア。一週間前にはマイナス20℃を記録していたので、最強の防寒具で訪れると、川が凍っていた。ラトビアが気になったきっかけは、神戸の老舗ナガサワ文具店でラトビアの食器を扱っていてとても素敵だったから。同じような食器が見つかるかと期待しつつ民芸品を扱っていそうな屋外ミュージアムを目指した。  街からバスに乗り数十分。ラトビア語は読めないがmuseumっぽい綴りのバス停表示に(ここかな?)とバスを降り勘

人生で最も品の無かった人

 キッチンばさみとして使っているこのはさみ。家族が仕事を休めない私を置いてドイツに遊びに行ったときのお土産だ。家族が旅行で訪れたブレーメンは私も昔訪れた街。その街を思い出して綴ろうと思う。  ブレーメンは学生の時のインターン中のイベントで訪れた。東ドイツの片田舎で一人寂しくインターンをしていた私にインターン仲介団体からブレーメンで週末にイベントがあるから来ないかとお誘いの声が掛かった。世界中からドイツにインターンに来ている学生が集まるらしい。二つ返事で参加を決めた。  ブ

添乗員さんが泣いてしまった

 家族旅行で訪れたベルギー。叔父夫婦が忙しくてなかなか旅行に連れて行ってもらえないから、と従弟兄弟と祖母も参加して大人数での旅行だった。いわゆるパッケージツアーではなく、私達家族だけのツアーで添乗員さんが付き、小さなマイクロバスで移動しながらのツアーだった。ブリュッセルで定番のワッフルを食べ、甘すぎるとびっくりし、世界3大がっかり遺産の小便小僧は小さすぎてうっかり気付かずに通り過ぎて、見つからないねぇ、と元の道を戻っていて人だかりでようやく気付き、実物にがっかりした。ツアーの

お土産はもらうより、あげる方が幸せだと思う

 小憩。今まで自分の旅について書いてきたが、キッチンの異邦モノシリーズで貰い物についても書きたくなった。  今まで友人知人とどれほどお土産のやり取りをしたかしれない。だが、貰ったもののうち、いくつ覚えていて、いくつ残っているだろう…。受け取る方には(行っていないんだから当然)その旅の思い出は無い。海外の食べ物だと日本のものよりも好き嫌いが分かれるし消耗品でもなければ捨てるに捨てられない。難しい。  だから真面目な人、誠実な人ほど何をあげようか悩みに悩むと思う。ただ、その時

帰国便に乗り遅れた

 カンボジア、シェムリアップ。アンコール・ワットを見たくて、無理やり有給を取って飛んだ。航空券をとってから色々調べていると、カンボジアは胡椒で有名だということが分かった。折角なら粒の黒胡椒を買って帰ろうと、到着の翌日に少し良いスーパーに寄って手に入れた。これで満足だったのだが、夕食を食べに繁華街に行ったときにマーケット内のお土産屋でこの胡椒挽きを見つけた。ちょうど良いサイズにお手頃価格。連れて帰ることにした。   この旅は色々ありつつも当たりの旅だった。コロニアル風のホテル

本物の狩人を見た

 母と訪れた2度目のラトビア、リガ。ちょうど手工芸市をやっている時期で街の中心から2~30分程度バスに乗り、のぞきに行った。母とは事前の計画で午前中に行ってみて、面白そうなら午後もそこに残って楽しもうか、と話していたが、結局終日居座った上、次の日も行くことになった。母曰く、「止める人が居ないから、それいけ!という感じね。」  その言葉通り、両日とも両手いっぱいに買い物することに。そこで出会った鳥の柄が可愛らしい器。手作りだからか、同じデザインのものも同じ色合いのものもなく、

旅慣れると、写真を撮らなくなる

 海外旅行にまだ慣れていなかった頃は、空港にもホテルにも一々感動して写真を撮っていたが、いつからかどこの空港にもホテルにもそれほど強い印象を受けず、写真を撮らなくなっていた。  そんな今でも強く印象に残っているホテルがある。スロヴァキアの首都ブラチスラバにのホテルだ。とても女性向きなそのホテルはwelcomeチョコレートがバラの形で、部屋に置かれた綺麗な曲線を描く布張りの椅子はシックなピンク色。ベッドカバーも落ち着いた色合いの花柄。廊下には小さなシャンデリアが揺れ、絨毯の模

兄妹で眼の色が違う

 同じ両親から産まれたのに。スウェーデンの友人エリアスを訪ねてストックホルムを訪れた。妹のエレナを紹介されたが、金髪青い目のエリアスに対し茶髪に茶色い目のエレナ。遠慮しつつも、同じ親よね?と訊くと、そうだよ、と。たとえ両親が金髪でなくても2人共が金髪の遺伝子を持っていれば子供で金髪が発現したり、組み合わせによって兄弟で目や髪の色が違うことはあるそうで。昔習った生物でそんな感じの遺伝の仕組みの説明があった気がするが、不真面目学生だったので、ちゃんと理解していなかった。  その

トランクに人が入っていると疑われた

 大学生で訪れた2度目のパリは買い物天国で、フランス留学経験のある友人に呆れられながら可愛いものを片っ端から買い漁っていた。この器たちも。元は黄緑色と合わせて5つあったのだが、ヒビが入ってしまって今は4つのみ。  当時はAirbnbなんて便利なものは無かったが、短期で貸してくれるアパートを友人が見つけて安く滞在できることになった。着いてみると階段下で天井が斜めになっている、1階なのにまるで屋根裏部屋のような質素な部屋。ツインベッドではあるものの部屋が狭いので2つのベッドはぴ

太陽に殺されるかと思った

 真夏のトルコ、エフェソス。エフェスの遺跡を見に行ったが、雲一つ無いクリアな空から強烈な太陽光線が矢のように皮膚に突き刺さり、痛かった。それでも帽子やアームカバーで肌を覆っていた私はまだマシで、欧米からの観光客はキャミソール1枚で、これでもかと肌を露出していたので熱中症寸前の状態だった。  中東で戦争が多い理由が少し分かった気がした。こんな暑さでは、性格も攻撃的になる。  それでも広大な遺跡自体は圧巻で、思わず帰りに絵葉書セットを購入してしまった。(クオリティの低い写真な