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2024年01月28日_星の子を見て

※ネタバレあり
※ただの映画の感想。自分なりの感想も織り交ぜて
※基本的に太字がただの感想


【シーン1 ちひろの出生】

未熟児としてうまれる。生まれたばかりから全身の湿疹がひどく、
母の日記にはネガティブな暗い言葉ばかりが羅列されている。
そりゃそうだ。待望の赤ん坊が苦しんでいるのになにも出来ないのだから、
ましてや、十月十日と我が子を身ごもった母ならば尚更だろう。
 
そんな両親は縋る思いで、ある団体の商品
【宇宙エネルギーの水_金星のめぐみ】を購入。
2リットル/6本_3440円※1本約570円…めっちゃ高いよね!
でも我が子が治るなら…という思いだったのだろう。

その例の水を含めたコットンで夫婦そろって丁寧に赤ん坊をふく。
赤ん坊には決して傷つけぬよう、まわりに固着した“呪い”だけ無くなれと両の手で抱きながら拭いている。
そして、例の水で拭く事でみるみるうちに湿疹の症状は治まるのである。
 
それから両親の団体に対しての信仰が増すのである。
指導者が水で濡らしたタオルを頭にのせる。
少し怪訝そうではあるが同じ動作をする父。
推測なんだけども、、宇宙のエネルギーを濡れた頭に置く事で、全身にエネルギーを巡りやすくしているのかな。たとえば、アメリカの処刑である電気椅子みたいな…
一方は生かす行為、そして死なす行為と真逆の行為ではあるけど。

 
母の日記もだんだん明るい内容になる。
家の中には、水を販売している団体の商品(家電等)がたくさん増えていく。
水の購入を検討しているシーンでカタログが移るが、タウンページぐらいあるので品数は結構ありそう。どれも【宇宙のエネルギーを凝縮】とか謳い文句で…
 
今回の治癒の体験が、団体の広報誌に掲載されることになるのだ。【奇跡の体験】という見出しとして。
三人の写真撮影をしている。初めて両親が笑顔となるシーンでもあった。
 
この団体は宇宙のエネルギーを信仰しており、“星”も大切なキーワードとしている。
題名が『星の子』…“新興宗教の信仰しているもの“の子なのだ。
プロローグが終わりそこから題名の【星の子】となる。

 
 
 
シーン2 物語の本筋_中学時代
イケメンの数学教師(岡田将生さん)の挨拶から始まる。
そんなイケメン教師を見つめるちひろ(芦田愛菜さん)が映る。一目惚れのようだった。
数学の授業でちひろは、隠れながらイケメン教師の似顔絵を描いている。
気になったのは、ちひろが描いているのは、母が使っていた日記帳であった。指示されてなのか、自主的なのかこの段階では不明だが、今は自由帳替わりに書いる。
 
イケメン教師「あと半年で卒業だぞ」
ちひろがノートに『あと半年すれば お別れ』
中学三年生のいわゆる心が成長している多感な時期だった。
ちひろは数学の授業中ずっとイケメン教師の絵を描いている。
みんなが黒板を向いているのに、一人だけ黙々とノートをかいている。
エンピツの持ち方も文字を書くではなく、絵を描く持ち方っぽい。
・・・いや、さすがにバレるやろっ!
とも思いつつ、ここで気になったのはイケメン教師の教え方。
「これがこうなって、こうなる。分かるだろ。分かるよな」
と、結構強めの言葉で一方的に話すタイプなのだった。
こういう男は『自分の意見が絶対。他言は許しません。』的なやつだ。知らんけど。
岡田くん。映画【悪人】といい、すごい俳優だよ。

 
回想シーン小学生(たぶん4年生頃)
父から例の団体のメガネもらう。
アラレちゃんみたいな、大きなフレームのメガネだ。
同級生からはいじられる。変なメガネだと。ただちひろにはそれが変という事があまり分からないらしい。そしてなぜ父がメガネを渡したのか?
ちひろはアメリカイケメン俳優のエドワード・ファーロングと他の人を比べると、他の人がブサイクに見えるようになったという。
そして一番ひどいのは自分の顔なのだと。
その考えを正す“心の歪み”を直す為、例の団体のメガネを渡した
同じシーンで姉はつぶやく
「変なメガネ…」
「変じゃないじゃん。」と父
この時の姉は中学三年生ぐらい。周りの家庭と自分の家庭の違いに気づき
反抗心が芽生えてきたのかもしれない。
そもそもこの団体はちひろが生まれた時なので、姉としては信仰心などそもそもなかったのだと思う。

 
 中学シーン
 外壁がトタンで出来た。昔の借家のような家が映し出される。
部屋の中は昔ながらの古い内装、しかし部屋の中には明らかにおかしな点がある。
それは部屋にそぐわない立派な仏壇があること。
仏壇には例の団体の紋章があしらわれている。
回想シーンでは、綺麗な一軒家だったのに今では昔の家となっており
恐らく家も売り払いこの団体に費やしてきたのだろう。
姉はいつからか行方不明になっているそうだ。

 
回想シーン
父と姉が喧嘩し家出をしたが、帰宅してきた。
部屋にちひろと姉。

「もとはちーちゃんのせいだよ。病気ばっかりするから。」
ちひろにはこの言葉の意味はまだ分からないだろう。
病気ばかりしたから、うちは変な団体宗教に入ってしまった。
“普通“ではなくなったのだと。優しく攻める。さっきの言葉の意味が分からないと知っているから直接的には言わず。優しい姉なのだ。

そもそも姉妹仲は良さそうで姉もちひろを可愛がっているのは
伝わる。思春期なのだ。本当は怒鳴り、当たり散らかしたいと思うのだか
姉は妹のちひろには優しく接する。
 
ふたりはキッチンで身を隠しながらコーヒーをのむ。
ちひろは苦いと呟くか姉は「その苦みが慣れてくる」という。
そして恋愛の話、結婚の話になった。
ちひろが「結婚式したい?」と姉に問うと
「結婚式かぁ…」と呟き、なにか思いにふけるようになった。
次の日も家にいる事を約束したが、朝になり姉はもう帰らないと残し
行方不明になった。
結婚式を考えた時に、家族を隠したいと思ったのかな。
なにかを信仰している普通じゃない家族を見られたくないと。
私自身も近しい境遇なので、めちゃくちゃ分かるし、家族の見られたくない
所とかは割とある人が多いとおもう。

 
回想シーンは終わり、最後に姉が身に着けていたジャケットに身を包むちひろが映る。
当時の姉の自分の家族に対して思う心に近づいてきたのか?はたまた、身を包み姉になることで姉のいない悲しみを取り繕う行為なのか。
家から見える夜の公園では、両親が緑のジャージに身を包み頭にタオルを乗せ、水を垂らしていた。
昔の父は怪訝そうにしていた行為を、今は空気を吸うように当たり前に行っている。
一見すると異常な儀式に見えるが、祈りのもとは娘の健康なのだろう。
両親にとって娘がなによりも大切であることは間違いない。【愛】なのだ。
疑いもなくまっすぐな【愛】を祈っている。

その様子を姉のジャケットを着たちひろはただ眺めていた。
 
 場面は学校、相も変わらずイケメン教師の似顔絵を描くちひろ。
同級生がやってきて保健室で【金星のめぐみ】を飲んでいた。
この子も入信しているようだ。
その地域なのか、全国的なのか分からないが割と大きな団体なんだろう。
また定期集会があることからもその様子がうかがえる。
小さい頃から入信していれば、同じ学区の誰が内部の人間かはなんとなく分かる。
親の繋がりもあるし、団体が大きければ各支部にも分かれているのだろう。

またまた回想シーン
母の兄が訪問してくる。ちひろの叔父だ。大友康平さんが演じている。
自分の妹が未知の宗教にはまり、認めたくないが上辺だけでも理解している様子だった。
ただ例の【金星のめぐみ】を勧められ様子は変わる。
母からすれば、ちひろを治癒した奇跡の水であることに変わりがない。
母は病気のひとにその水を勧める。
悪意などもちろんなく純粋に良くなってほしいから。
これもめちゃくちゃわかる。
『幸せになってほしいから、あなたも入りな』
とか事あるごとの解決策として、入信をすすめる光景は見てきた。悪意がないからこそやっかいなのだ。そして本人は軽く言っているつもりでも、言われた側からすれば強要されていると感じる事に気づいていない。
すごくナイーブな内容だか、当人たちは軽く進めてくる。
人の心の内側に…“幸せ”の形は人それぞれなのにね。

~②へ~つづく


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