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心と体の調整

自分のために綴るnote。
ここ2週間、私の人生が大きく変化する(であろう)出来事がいくつも起こっていたyumiigoです。

色んなことが起こったけど、今回は入院と手術の記録。

そこから、私の心と体の調整の話。

感動のいちご大福

卵巣嚢腫の摘出のため腹腔鏡手術を受けた。
初めての全身麻酔。
初めての約1週間の入院。

手術前は決めたことに対して考えることは何も無いので頭の中はクリアでめずらしく暇だった。
いつも頭の中は雑念とくだらない悩みにモヤモヤしているくせに、入院&手術を前にはそんな雑念にも意識が向かなくなるみたい。

痛いのヤダなーとか、
全身麻酔こわいなーとか。
手術の前はそんな程度のことしか頭に浮かばなかった。

術後は想像していた通り、全身麻酔から醒めた途端、お腹の痛みと違和感の現実。

やっぱり痛いー…予想通りすぎて逆に怖い。
でも1つだけ予想外の感覚があった。
それは手足がめっちゃくちゃ冷えて寒くて死にそうって感じたことだった。

口から入れられていた管は意識が戻ってすぐに抜かれたのが分かったものの、喉の違和感がひどく、声が掠れて言葉にならなかった。

それでも体調を何度も聞かれるので、痛いと寒いを繰り返し伝えた私に、看護師さんが電気毛布をかけてくれた。
その3時間後には、今度は熱が上がってきたことを感じて暑くて重くて苦しいと訴え始めたけど。

手術の後は割とみんなそうなるらしい。
でも看護師さんは動じない。
手術前と何ら変わらない調子で声をかけてくれるので安心を覚える。
そういう指導をされているのだろうか。

私はと言えば手術前とは打って変わって余裕が無くなっている。
丸1日飲み物も食べ物もとれない。
ベッドで3時間は寝返りも禁止。
枕もだめと言われてすこぶる寝心地が悪い。

病院のベッドで天井だけを見つめているしかない。背中に熱がこもって汗ばむのに動けない苦痛に時間が全然過ぎてくれない気がした。

眠くもならない。
麻酔科の先生は、目覚めてもすぐまた眠くなって寝る方が多いって言ってたのに全然眠くならないじゃん、嘘つきだ…なんて頭の中で毒づいていた。

やっと眠気が来たかな…と思うタイミングで看護師さんが検温、血圧チェック。
また意識が覚醒してしまう。

私の両足のふくらはぎにはマッサージの機械がずっと足の血流を促してくれているが、拘束されてる感覚で私には不快だった。

鼻から送られる酸素のせいで鼻の奥も痛い。
でも自分の鼻と口からの呼吸は、体が痛くて十分に息を吸うことが出来ない。
鼻からちょっとずつ浅く息を吸うようにしてと看護師さんが教えてくれた。

午前9時から手術を受けて目覚めたのが2時間半後だったそうだ。
手術自体は結果的に1時間で終わったのに私がなかなか目覚めないので家族に心配されていたと後から聞いた。

私はこの日時計が確認できたのは、日が暮れてきた夕方5時過ぎくらいだったと思う。
だからそれまでの苦痛の時間は途方もなく永遠の中にいるような感覚だったんだ。

そこから翌日の朝まで、人生で一番長く感じた24時間だった気がする。
もう一度麻酔で眠らせてくれないかと思うほどだった。

とはいえ人間の回復力には驚かされた。
日に日に回復していくのが自分でも分かった。
お腹の痛みも体の痛みも、発熱やらの体の症状も。
だんだん呼吸しても体の痛みもなくなった。

周りに目が向けられるようになってきて意識がはっきりしてくると、手術室に置いてきた靴は戻っているのかという些細なことが気になった所で起き上がることもできないほど、体の管が思ったより色んなところに付いていたことに気づいた。

寝返りの許可はもらったけど痛くて寝返りなどできない。
結果動くこともできないままであることは変わらなかった。

そして定期的に様子を見に来てくれる看護師さんの仕事って偉大だなあとしみじみ思い始めた。

なんでだろうね。
私は自分の仕事を恥ずかしい気持ちになっていた。
自分のやってる仕事があまりにくだらないように思えてしまったんだ。
気づくと仕事ってもののことを考えてしまうのは私の癖かもしれない。

私の仕事なんて人の役に立ってるのかさえ疑問に思えてきてしまった。
自分にとって積み重ねの経験が活きるような価値のある仕事とは言えない。
ちょっと教えれば誰にでもできるような作業しかしてない。

そんな日々雑務しかやっていない私は、フリーター時代の自分と、何ら今やっている仕事に変わりなんかないような気持ちになってしまったんだ。

私の手術のために担当してくれた先生達も、看護師さん達も、みんなちゃんと学生時代に勉強して今仕事としてこの社会に貢献している。
私には出来ないことを当たり前のようにこなして人を助けている。

私なんて人生の迷子ばかりでロクに勉強もせず、努力もせずに、ここまでのらりくらり生きてきちゃったんだなあ。。
だから私程度の人間に任される仕事はこんなものなのだ。
なんだか自分が情けなくて仕方なくなった。
体が弱ると心も弱るんだろうか。

そんな落ち込む思考回路から逃れるために、友達がお見舞いにくれた1冊の本を読み始めた。
少し古い推理小説だった。

学生時代からその友人は推理小説が好きだと言っていたことを思い出す。
そして私も昔はジャンル問わずフィクションものの小説を読み漁っていたなあと思い返していた。

社会人になってからは、なんとなく仕事に関わる本や自己啓発本、経済、心理学…と自分の現実に助けを求めるような興味に偏った本ばかり読むようになってたので、非現実世界に意識が持っていかれるのは久しぶりの新鮮さがあった。

物語の世界に没頭できるフィクションものは入院中の私には一番心地好い時間潰しだった。

小説の世界に没頭していれば、自分のネガティブ思考から一時的にでも離れられる。

そして私の現実逃避の入院生活は、日に日に快適になっていった。

定期的に私の体調管理として看護師さんが検診に来てくれる。
食事も定時に持ってきてくれる。
みんな優しく声をかけてくれる。

私は自分の身体を回復させるためだけに意識を向けられるのだ。
ストレスを感じることもない。
天国みたいに思えてきた。

これからのこと、自分のこと、
入院中は体も心も整えようと思っていたけど、なんとなく思考の整理的な考えることは、あんまり意識的には出来なかった。

でも考えない思考の余白があったから、自分の身体の声を聞く方に意識が向けられたのかもしれない。
無意識に体も心も回復していっていたのだと思う。

今回お世話になった沢山の人に本当に感謝の気持ちでいっぱいになりつつ退院の手続きをした。
(あまりそれを言葉や態度には出来なかったけど)

初めての手術だったのでしんどかったけど、私なんて腹腔鏡手術だったし、もっと大変な手術をしている人なんて沢山いるし、これが出産した人なんて退院したら子育てしながら自分の回復も、、と想像するだけで途方も無い。
私なんて甘いよなーと思った。

でもそう言ったら、人と比較するようなことじゃないんだって友達に言われて、私の思考癖をまた反省。

でもこれからの自分について、頑張りすぎずにでもやれることを頑張ろうと思い始めた。

良い経験をしたと思った。

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