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「短歌人」2024年5月号掲載作品

春の日

ミュシャの絵を見れば思ほゆ棺桶に寝てゐたといふサラ・ベルナール

絵の前にたたずむ人も絵になりて常設展のモネの「睡蓮」

歌ひながらショパンを弾けるピアニスト「猫のワルツ」を幸せさうに

制服のスカートすこし寒かりし春の日ジョルジュ・サンドを読みき

公園に夕暮れは来て遊具らはめいめいの影曳きて静まる

樹木へと歩みを進めゆくときの気後れに似たためらひひとつ

暮し分かちあはざる逢ひは美しき記憶となりて吾を苦しめる


同人2欄、冨樫由美子

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