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麻酔科のお医者さんだけど,ママや赤ちゃんの役に立ちたい

普段,周産期医療にかかわる麻酔科医として仕事をしています。
無痛分娩,帝王切開を通して妊産婦の方の笑顔を増やせるように,
そのお手伝いをしたいと思っています。

子育て中のママの視点と,医者としての視点で
どうしたら妊娠⇒出産⇒育児を経験するママのお手伝いができるのか,
考えたことを書きます。

無痛分娩をすべての方の選択肢の一つに
産む施設は厳しい目で安全第一に

ママとして思うこと

妊娠,出産,育児は本当に人生の一大事。
人一人産み育てるのだから当たり前なのでしょうが,
精神的にも肉体的にもこれほど追い詰められ,
試された出来事は大学受験以来です(当社比)

友人や患者さん(妊産婦さん)と話していて思うことは,
妊娠,出産,育児を通じて言われたりされたりした経験は
深く刻まれてその後の人生のふとしたタイミングで
ズキンと存在感をアピールしてきます。
「あの時病院のスタッフに●●と言われた」
「あの時死ぬほど痛かった」
時に形を変えて現れます。
「なんであの時そばにいてくれなかったのだろう」
「あれだけ辛い思いをしてお腹を痛めて産んだのだから・・・」
恨みや押し付けに似た感情もわくかもしれません。
育児はずーっと続いていきます。
子供と接した拍子に、また次のお子さんができたときなどに
その「ズキン」が顔を出す。
出産経験って、結構後を引いています。

できるだけ負担を取り除いて,
たくさん産後ケアを受けても
大変さはゼロにはならないと思うのです。
出産の痛みを最低限にしたところで,
「楽した人」にはなりません。
でももしその分ズキンとする傷を減らせて,
笑顔の時間を少しでも増やせたら,
ママにも赤ちゃんにもその時間分のプレゼントができると思うし
負の文脈を減らせるのではないかと思うのです。

そんな風にして少しでも妊娠から育児のお役に立つために
無痛分娩を選択肢の一つにしてほしいな,と思っています。

私は少なくとも,2020年4月,最初の緊急事態宣言中に
立ち合い出産のできない中に無痛分娩を選択して
誰にも負の感情を持たずに
つるんと出産ができて最高だったなと思っています。

麻酔科医として思うこと

麻酔科医という仕事の中では,
周産期医療は個性を発揮しながら貢献ができる比較的貴重な仕事です。
しかも命が誕生するという本当に尊い瞬間に立ち会えるうえに
時に残念ながら救急医療の要素もあります。

妊婦さんにとってなかなか実感を持てないことがあります。
妊娠出産はうまくいって当然と思われているのですが,
出血,塞栓など,
もともとほとんどリスクがないと考えられる妊産婦さんでも
合併症をおこしうる,

そして上記のように救急の修羅場となりうる状況です。
無痛分娩も高度な管理が必要とされています。

だから,安全が第一なのです。
生きていればこその産後ケアだし,育児なのです。
素敵でおしゃれなお部屋で,お祝いディナーコースを楽しめることを
売りにしているマタニティクリニックさんもあります。
でも輸血は?どれだけ準備がある?
もしもの時どこの高次施設に行くの?
最低限の救命処置ができるスタッフがいるの?
赤ちゃんの蘇生はできるの?

調べてもわからないかもしれません。
なぜならそれを書くことが宣伝にならないから。

少子化が加速する中,周産期医療の質は厳しい目で選ばれるべきです。
酷なようですが,
医療を選択する力がひとりひとりに求められていると思います。

いろいろな価値観を持った方が
制限を受けずに選択ができ、少しでも笑顔を増やすには
どうしたらいいのだろう。
なにかつなげるためのサービスが作れないものか。
最近の私の夢です。
なにかアイディアをお持ちの方、コメントお待ちしています。

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