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意識では違う世界の人

夫と別居して10年ほどになります。
今では一緒に買い物をしたり、遊びに出かけたり、都合よく付き合っています。
時折ハーゲンダッツを全種類2個ずつ買ってきて、冷凍室を満たしてくれます。
家に来たら、隅々まで掃除をしてくれて、ピカピカにしてくれます。
はい、とても良い人です。

先日、二人でコーヒーを飲みながらぼんやりとしていました。
市場で買い物をした後だったので、そんな話が出たのだと思いますが、うっすらとすべてのものが値上がりをしていて、大変だと言います。
円安だし、日本は食料自給率が低いので、仕方ないよね、と返しました。
いろんなものが便乗値上げをしているんじゃないかと、夫は言います。
すべての業界は繋がっているので、便乗というよりは、そうせざるを得ないのではないかと返しました。
介護保険は取られるのに、(取られる!)年金は上がらないし、仕事を辞めたら好きなことをして暮らせると思ってもそうならないと、夫は言います。
今の少子化では、仕方のないことだよね、と返しました。
60歳まで頑張って働いたのに、65歳まで、70歳まで、ずっと働けと言われてもね、と夫は言います。
働くことで、健康も保てるし、社会の役に立つのっていいと思う、と返しました。
若い頃と違って、身体は思うように動かないし、力も出ないし、衰えるばかりだ、と夫は言います。
私はむしろ若い頃よりも元気だよ、と返しました。
人生の終わりは好きなことをして暮らしたいと、夫は言います。
人生の終わりだから、好きな仕事ができるんだと思うよ、と返しました。

夫はテレビが大好きで、テレビが友達で、一日中テレビと一緒にいます。
番組を選ぶならそれでもいいと思うのですが、つけっぱなしのテレビから流れてくる情報に、いつしか洗脳されてしまったような気がします。
夫の口から出てくる言葉は、どこかで聞いたような、テンプレみたいなことばかりで、本気でそんなこと思っているの?と突っ込みたくなります。

夫の世間話には、ただ「そうだね」と返せばいいのでしょうけれど、私としてはまったく共感できないので、いちいち反論してしまうわけです。

世界は希望や悦びに満ちていて、時折訪れる試練は、私をもっと高みに運んでくれると思っているので、夫が持つ世界観には、1ミリも共感できないのです。
いつか、私が住んでいる世界に来られたら、楽だろうねとは思うけれど、無理強いするのもアレなので、時折噛み合わない世間話をしながら、気づきを促してもいるのだけれど、あーいえばこーゆー女だと思われているんだろうな。



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