ヒーロ

映画、演劇、小説、アートっぽいものが好き。基本、いつも疲れています。カフェや居酒屋、バ…

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映画、演劇、小説、アートっぽいものが好き。基本、いつも疲れています。カフェや居酒屋、バーに行くのも好き。

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  • 創作ノート

    小説を書いているときのお悩み集。

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最近の記事

育てた好きがいつかの自分を救う

好きって感情は宝物みたいなものなんだと思う。宝物は大切にしないといけない。だから何かを好きって思ったら、その気持ちは大切にした方がいい。 僕は多分好きなものが多い方だと思う。好きな小説家がいて好きなミュージシャンがいて、好きな映画監督もいる。好きなカフェがあって、好きなビールがあって、好きな街がある。生きれば生きるほどに好きなものが増えていく。だから年を重ねるほどに生きるのは楽になる。ちょっと辛いことがあっても好きなものにアクセスすれば自分を取り戻すことができる。例えば仕

    • お昼はポンコツ珈琲

       朝起きたときの調子が悪いからって、夜眠りにつくとき最高の気分なら、その日1日は最高の1日だってことだ。でも最高の気分だからって夜に長居し過ぎてはいけない。それは翌朝の気分を最悪にしてしまう。でもそんな風にうまく過ごすのは難しい。だから今日もあんまりいい目覚めじゃなかった。それに外は雨だ。雨ってだけで今日を生きる喜びが半減してしまう。いやそんなことはないだろう、雨の日には雨の日の喜びがあるはずだ、と思ってむくりと起き上がる。  休みの日に起きる理由は明白で、それはランチを食

      • ハンバーガーの話

         今日はブックナードに行こうと決めていた。ブックナードは盛岡にあるセンス抜群のセレクト書店。本の販売はもちろん、空いているスペースを利用してよく個展みたいなこともやっている。今日までハンバーガーに関する展示をやっているらしい。観に行かなきゃ。  店内に入ると、壁にどーんとハンバーガーのイラスト。肉の部分が真っ黒。ポップだけどその黒が闇のようにも見えて、独特の存在感を漂わせているハンバーガー。ちょうど作者の人が近くにいて、黒はスプレーで描いているのだと教えてくれる。絵のことはよ

        • だってゴールデンウィーク

           ゴールデンウィークという言葉ですべてが許されてしまう気がする。僕は接客業で、シフト制で、ゴールデンウィークなんて本来関係ない。それでもやっぱりゴールデンウィークは特別なものだ。街に人が溢れている。皆ゴールデンウィークだって顔で歩いている。人の数がいつもと全然違う。祝祭感がある。  僕は人混みの中を歩くのが嫌いではない。大勢の人と接触したり会話をするのは全く好きではないが、人混みにおける人とは全員モブであり、鑑賞物にすぎない。彼らは単に街の風景である。動く街の風景。そこにはた

        育てた好きがいつかの自分を救う

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          2本
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          5本

        記事

          街で見かけたくどうれいん

             今日は映画でも観ようと思っていたのだが、スタバで文章を書こうとしたり本を読もうとしてもどうにも調子があがらない。朝早く起きすぎてしまったせいで、頭の調子が悪かった。睡眠は大事。でも一回起きた後また布団の中でグズグズ寝たはずなんだけどな。  外が暑いせいもある。4月の後半だというのに季節外れの暑さが続いている。途端に暑くなったりすると身体がついていけない。寒暖差にはとにかく弱いのである。  せっかく天気が良いので、街をぶらつくことにした。頭の調子が悪いときは変に頭を使おう

          街で見かけたくどうれいん

          ちゃんと息を吐くこと

          春はいつだって疲れている。冬は寒いから嫌いだけれど、そのくせ冬が続いている間は割と元気なことが多い。春が近づき、突然暖かくなったり寒くなったりを繰り返すと、体調は目に見えて悪くなる。眠れなくなったり、朝起きても身体に力が入らなくなったり、日中眠気に襲われたりする。毎年のことのはずなのに、慣れない。対処法がわからない。  ふとテレビをつけたらさんまのテレビ番組で何かの先生が呼吸法について話しているのを目にする。現代人はちゃんと息を吐ききらないから、ちゃんと息を吸えていない、

          ちゃんと息を吐くこと

          雪降る夜の燗酒

           最悪だ。店の外に出て降りしきる雪を見て思う。一歩足を踏み出す。長靴が雪の中に沈む。空気が冷たい。冷たいというか痛い。ダウンジャケットのフードを被り、傘を差す。顔面を雪が叩く。眼鏡が濡れる。傘は一刻毎に雪で重みを増す。  最悪だ。雪に足を沈ませながら何度も思う。会社を呪った。こんな時期にこんな辺境の地に異動させやがって。  12月に千葉から青森県十和田市の店舗に異動になった。全国展開しているドラッグストアで、全国転勤可のナショナル社員として働いているのだから文句は言えない。で

          雪降る夜の燗酒

          太陽の塔にのぼった話

           ずっと行きたかった場所に行くのがいいのだと思う。行きたかった場所に行って、思っていたのと違った、と幻滅することがあまりない。行きたかった場所には、ずっと行きたかったという思いが乗っかっている。たとえそれが思っていたのと違ったとしても、もうそこに行くまでに感動する準備が整っている。だからそれを見るだけで感動してしまう。  大阪に行った。1番のお目当ては太陽の塔だった。大学時代、特に就職活動をしている頃、鞄にはいつも岡本太郎の『自分の中に毒を持て』が入っていた。岡本太郎の言葉

          太陽の塔にのぼった話

           久しぶりにスナックに行った話

           スナックに行ってきた。スナックには今まで何度か行ったことはあるのだが、いつもどこかアウェーである。中に入ってしまえばホームのよう、それがスナックの良さではあるが、入るまでは非常にアウェーである。外からでは中の様子がよく分からない。ガラス張りなら外から中の様子を窺うことができるけれど、大抵のスナックはビルの中にあったりして、ドアで閉ざされている。  久しぶりにスナックに行こうと思ったのは、その日の気分が良かったせいもある。昼間に買わなければと思っていたテレビをようやく買って

           久しぶりにスナックに行った話

          佳作の女

           そうだ喜多屋旅館に行こう。それまでは思い出すこともなかったのに、そう決めた途端、心が浮き立った。  三年ぶりの喜多屋旅館は、あのときと何も変わっていなかった。思い出の中で美化され過ぎてこんなものかと落胆するかと思ったのに、そんなことはなかった。たくさんの照明に輝くエントランスは、むしろ三年前よりも輝きを増して見えた。  大きすぎるふかふかのベッドで微睡んだあと、温泉で旅の疲れを癒やす。夕食の時間まではまだ少しあるので、本がたくさん並んでいるロビーに腰を下ろした途端、記憶が蘇

          佳作の女

          見覚えのある人

           盛岡生活も5ヶ月目を迎え、見覚えのある顔の人とすれ違ったり見かけることが多くなった。  飲み会で一緒になった人だったり、イベントで近くの席に座っていた人だったり、行きつけのスタバの店長だったり、落ち着いた個人経営のカフェの店員さんだったり。  僕は食べて歩いてばかりの人間なので、見かけるのも飲食店の人が多い。  今日は行きつけのスタバで、3日前に行ったカフェの店員さんを見かけた。仄暗い空間に静かな音楽が流れる、カメラのシャッター音も憚れるようなカフェで働くその女性の店員

          見覚えのある人

          パエリアの夜

           人と話すことがあまり好きではないし、得意でもない。  僕は本当のところ、ずっと黙っていていいのなら、ずっと黙っていたい人間だ。  それなのに、最近は人と話す機会、人に会う機会を積極的に作るようにしている。  昨日はパエリア会なるものに参加した。  美味しいものを食べるのは好きだけれど、パエリアをひとりで食べるのは難しい。  だから皆で一緒に食べましょうという会。  パエリア会の参加者は全部で7人。会場はスペイン料理屋のスパニッシュライツ。  この会の主催者であるKさんとそ

          パエリアの夜

          不毛な会話

           最近人と話すことが増えた。それも見知らぬ人と。今日は子供が一人いるアラサーの主婦と話した。話しながらランチをした。広い公園を壁一面の大きな窓から見渡すことができるサニーズカフェというお洒落カフェで、僕はラグーパスタを、彼女は大人のナポリタンを食べながら話した。大人のナポリタンにはタコさんウインナーがのっていて、どこが大人なのかはよく分からないと彼女は言って笑った。  盛岡という場所はやはりそれなりに都会であるから、話し相手を求めようと思えば割と簡単に手に入る。ジモティーな

          不毛な会話

          芸術の秋

           最近インプットばかりでアウトプットをしていない。  今日は文化の日で美術館が無料だったので、岩手県立美術館で高畑勲展を見てきた。  手書きのノートに書かれた膨大な量の文章、プロット、そんなものに圧倒された。  作品を作る為には膨大な積み重ねが必要なのだ。そんな当たり前のことを思った。  今日は文化の日なので美術館が無料だった。ありがたい。無料は楽しい。  昨日ぶらりと入った本屋、ブックナードで柴田聡子のダイアリーが並んでいるのを買った。そんな風に買うつもりのないものを偶

          芸術の秋

          8月21日 何だかやる気がわかない日

           何も書きたいことがないのである。というよりも、書く事に集中できていない、書く事から遠ざかりすぎているのか。秋田から盛岡へ。日々を忙しく生きてはいるが、自分自身に集中できていない。自分に集中する為には安定が必要だ。僕はまだ安定していない。毎日発見の連続で、それを記録するのももったいないと感じてしまう。  僕は一体何を書きたいんだろうな。川上未映子の『黄色い家』を何ヶ月かかけて漸く読み終わって、ああ作者はこういうことが書きたかったのかなとは思ったけれど、それは自分が求めている

          8月21日 何だかやる気がわかない日

          秋田ロス

           秋田ロスが凄い。秋田っていい所だなあと住みながらずっと思っていたけれど、5ヶ月で秋田を離れることになって、盛岡に移り住んだ今、秋田ロスに苦しんでいる。  盛岡も良い所に違いないし、これからいろんな好きな場所を発見していくことでどんどん好きになっていくのだろうけれど、今は秋田の幻影がその足を引っ張っている。  秋田は去り際に本当に美しい姿を見せてくれた。その1番はまず竿灯まつりである。秋田を去ったのは8月9日。3日から6日まで行われる竿灯は2回観ることができた。感動した。

          秋田ロス