118回医師国家試験の振り返り(ポイント解説トライアル):F問題

F問題(5月くらいまでの期間まで公開して、そこから先は諸事情によりお蔵入りさせようと思っています。)

Fー3:どの体位がいいのかわからないけど、とにかく側臥位はない…ということで。後は他の選択肢に間違いがないことを慎重に確認して除外する。骨盤外傷があれば骨折で下肢の長さが左右違うことはありえる。尿道損傷もやっぱり注意が必要

Fー4:医療計画はよく出やすいから、なるべく項目を整理して列挙できるようにしたい。今回は労働災害は産業医の領域であり、分野が違う気がするということで除外することができる。

Fー5:健やか親子21も公衆衛生の頻出事項。かすりもしなかったので解説は略。10年毎策定で前回は2015年なので、次々年はトピックになるかもしれない。

Fー6:赤芽球癆と言えば胸腺腫だが、セットで覚える病態に、重症筋無力症、低ガンマグロブリン血症がある。T細胞系に作用する免疫抑制薬であるシクロスポリンは赤芽球癆に効果がある。重症筋無力症に使うこともあり、胸腺腫に伴うT細胞の異常に効果があると考えるのはありだと思う。

Fー7:実習から離れるほど解きにくくなる手袋の脱用の問題。よく写真もしくは選択肢の文章を見比べて答える。脱用時に素手で手袋の表面をつかむのがダメ。

Fー10:予備校の解答が割れて話題になった問題。2005年のwikiを見ると、日本では京都議定書、愛知万博、福知山線脱線事故、日本と中韓の間の外交問題など。世界ではスマトラ島沖地震、爆弾テロの多発、アメリカのハリケーン、鳥インフルエンザなど。日本も世界も激動の時代でした。これと直接関係するとは言わないですが、世界的な激動の時代には社会不安みたいなもので人口に何らかの影響があるのかもしれない。。と個人的に思うところです。

Fー13:心臓の循環生理の問題。心臓の収縮をイメージしながら解く。前負荷が減少すれば血液を前に送り出す際の抵抗力は小さくなるため、もちろん(分時)心拍出量は上がる。

Fー15:選択肢を作業環境管理、作業管理、健康管理の3つに分ける。有害物質の使用工程を密閉化すれば、例えば気体の有害物質であれば、飛散して作業員が吸引するみたいな事態を防ぐことはできる。

Fー17:巨大脾腫といえばCMLと骨髄線維症が上がる。(後はマラリアも上がる。他ブロックの問題で今年も問われている。)よく出る知識なので暗記するのが早い。

Fー18:悩むとしたら、後方後頭位と前方前頭位。前方前頭位は直近は116回の過去問しかないので、過去問をしっかりと解き込んでいる人ほど悩むかもしれない。結局今回は大泉門が書いてあるので、児の後頭部よりは前頭部が見えているということになる。ということで前方前頭位が答えと考えられる。

Fー20:超音波で腫瘍の場所を特定して、その場所に向けて針を刺し焼灼する。

Fー22:血液が体内を出て、機械の中を循環しないものを選べば良い。ペースメーカーはリードを少し埋め込むだけであり、特に血液が体外を流れるものではない。

Fー23:t検定は2群間の平均を比較することができるし、1群の平均から検定を行うこともできる。カイ二乗検定は二つの変数に対する独立性を検定する手法だが、2×2分割表を使うことで有名なので、2×2分割表を思い出せれば良い。

Fー24:さっぱりわからなかったので解説はパス

Fー28:SDGとは基本的により良い世界を目指すための国際目標であり、遠隔医療の推進のような、そこまで医療の細かいことに焦点を絞ったテーマではないと考える。

Fー29:インスリンは異化に重要なホルモンなので、カロリーの貯蔵でない方の選択肢を選ぶ。

Fー30:特定保健指導つまりメタボ健診である。腹囲とか、喫煙とか、リスクファクターの数に応じて対象者を定めるよねという問題である。

Fー31:新生児マススクリーニングで最も発見される疾患は、何となく覚えておくと良い。クレチン症である。

Fー32:甲状腺眼症では複視をきたすらしい。外眼筋の炎症で動きにくくなるのが原因らしいが、とにかく111回の問題の焼き直しである。

Fー33:わからなかったのでパス

Fー34:低補体血症ーSLEは暗記しておくと良い。肝不全はつまり肝臓の合成能がダメになるから補体が作られない訳である。

Fー36:右側の声帯(内視鏡から見た向きに注意)が動いていない。声帯麻痺である。

Fー37:喘息の問題である。喘息で呼気性喘鳴が聴取されることから考える。

Fー38:問題のテーマとしては肺結核後遺症の急性増悪で、肺結核後遺症の急性増悪はガイドラインで、NPPVの適応Aに入っているらしい。とりあえず解き方としては、肺水腫を伴う呼吸不全であることから、肺の中の水を追い出して空気を肺の中に入れるために陽圧をかけることを考える。排痰可能かなどの適応条件をよく吟味した上でNPPVを選択する。

Fー39:本番ではさっぱり意図がわからなかったが、低出生体重児に特徴的な所見が出る身体の場所を問う問題であった。

F−40:有棘細胞癌にはたくさんの前癌状態、前駆症がある。できれば覚えて臨むと良い。今回は先に皮疹があり、それが日光角化症であったとして、長年の紫外線の暴露を受けて有棘細胞癌に変化したというストーリーを考えることができる。とりあえず、他に明らかな原因が見つからなくて、紫外線が当たりやすい鼻の頭にできたものだから、紫外線が原因と考えてみると良さそう。

Fー42:II音の亢進は強い肺高血圧を反映する。両側肺のwheezeは肺うっ血を示す。肝を右肋骨弓下に3cm触れるのは右心不全による静脈うっ滞を示す。肺高血圧、肺うっ血、右心不全をきたし手術をやるには状態が悪く、Eisenmenger化も心配されるところだと思う。今回の場合肺うっ血をきたしているので、利尿薬を投与して、肺うっ血を取り除く。循環血液量が減ることで肺の水浸しが改善し、心臓への負担も減るようになる。肺水腫なので利尿薬と考えてもいいのかもしれない。

Fー43:乳頭の付近の大きな血管の走行が真っ直ぐではないことから、乳頭の腫脹を考える。乳頭辺縁の境界がくっきりと鮮明に追えないことから、乳頭辺縁の不鮮明化を考える。3ヶ月前から頭痛もあることから、頭蓋内圧亢進によるうっ血乳頭を考える。

Fー44:部屋の改装なので、改装工事で発生しやすいホルムアルデヒドを答える。

Fー46:健康な女性のカリウム摂取量は2600mg/日以上が推奨されているらしい。ただし、この女性の場合糖尿病腎症を発症してカリウムの排泄が障害されている。また、既に高カリウム血症を発症している。さらなる高カリウム血症の発症を防ぐためにカリウムは強く制限すべきである。1500〜2000mg/日以下に制限することが求められることがあるらしい。(引用 https://www.kakizaki-clinic2020.com/kakizaki_blog/2035#:~:text=厚生労働省の「日本人,に戻す必要があります%E3%80%82 )

Fー47:血友病の病歴である。血友病はX連鎖劣性(潜性)遺伝である。男児の血友病の遺伝子は母由来のX染色体にあると考えられる。母のX染色体は母の兄弟で共有する可能性がある。母の弟が答えである。

Fー48:ETCO2だけ途中から無反応になっており、人工呼吸器を通して検出されるはずの二酸化炭素が検出されなくなっている。人工呼吸回路の接続はずれが疑われる。

Fー50:精神保健福祉センターでは事務的な手続きだけでなくグループ支援や精神保健福祉の複雑な相談を受ける仕事もある。僕は知らなかったため答えられなかったが、精神保健福祉センターの役割はよく把握しておく必要がある。

Fー51:積み木を積むのは1歳6ヶ月でできるようになる。言語の発達は1歳6ヶ月では数語言えるくらいである。「ブーブー」と言うくらいだから、見せたものの名前を言い当てるほど発達してなくても問題はないのだろう。

Fー52:気管支拡張症とびまん性汎細気管支炎の違いは僕はよく理解していない。ただし、X線でびまん性粒状影があること、CTでびまん性小葉中心性粒状影があることが書いてある。びまん性の粒状影は基本的に気管支拡張症には見られないと考え、びまん性汎細気管支炎の方を選んだ。

Fー53:潔癖症である。(馬鹿馬鹿しいことだとわかっていても)やめられない行動のことなので強迫症の分類に入る。

Fー54:往診にて発熱を見た症例である。急性期の誤嚥性肺炎として適切な医療機関にて入院治療が必要である。地域医療支援病院は診療所との連携で入院の手配を受け入れてもらうことが可能である。特定機能病院は高度な医療を提供する医療機関である。

Fー55:症状としては、肺高血圧症、関節の腫脹と圧痛、顔面紅斑、汎血球減少が見られる。顔面の蝶形紅斑と汎血球減少はSLEで見られる症候である。他の症状、検査所見も合致する。

Fー56:声門が直視できないため、経口の気管挿管が困難な症例である。輪状甲状靱帯切開を行い、声門の下から直接空気が通る穴を開ける。この問題、僕は新選択肢、ECMOを見つけて、うわECMOじゃんやった!!って飛びついてしまった。

Fー57:乳児に接種するロタウイルスワクチンは経口ワクチンである。ということで、腸に何らかの異常があったらもしかしたら不適当となるかもしれないと考える。

Fー58:帯状疱疹である。水疱があるのはわかる。紫斑はなく、膿疱もあるのであろう。膿疱がある場合、帯状疱疹ウイルスの他に、別の細菌の感染があると考えて良いのかもしれない。

Fー59:前立腺肥大症と過活動膀胱の選択肢が並んでいるので、どっちがどっちか間違えないようにしっかりと薬の種類を覚えておこう。前立腺肥大に対する抗コリン薬の禁忌に注意。

Fー60:掃除、配膳は手段的日常生活動作(IADL)に入る。

Fー61〜63:関節液からグラム陽性球菌が検出された。関節炎が疑われる。qSOFA2点であり敗血症が疑われる。この時点で血液培養は出しておくべきと考える(61)。グラム染色の結果からブドウ球菌による感染が考えられる。MRSAをカバーするバンコマイシンの投与をまず考える(62)。抗菌薬治療開始後に右膝関節の再手術を行なった。術後の初回歩行で突然の胸痛を訴えており、長期ベッド上安静がリスクとなって発症した肺血栓塞栓症を考える。胸部造影CTをまず行う。

Fー64〜66:臍から下の感覚障害である。第10胸椎を目安として考えれば良い(65)。受傷後3ヶ月で障害が固定してしまった場合、患者が生活を続けていくためには適当な装具・福祉用具を使えるようにする必要がある。臍から上は動くので、標準型車椅子があればある程度不便なく生活できる(66)。

Fー67〜69:67は前立腺肥大を増悪させるような薬剤を選べば良い。抗コリン薬と、風邪薬に含まれるヒスタミンH1受容体拮抗薬である(67)。68はここまでに読む文章が長い…これに心折れた受験生も多かったであろう。薬剤感受性試験の結果から、セファゾリンに感受性があることがわかる。メロペネムは強すぎるため不適。与えられた計算式をもとにクレアチニンクリアランスを計算すると、60であることがわかる。よってDが答えである(68)。69では入院4日目に発熱の持続があり、抗菌薬が効いてない、もしくは尿路感染症は抗菌薬投与後も発熱が持続することが多いため、抗菌薬は効いているが、まだ症状が持続している状態を鑑別する必要がある。また、抗菌薬に対してアレルギーを起こしている可能性も考えられるが、入院4日目でありアレルギーの発症日として少し微妙であり、血圧と呼吸数も安定していることから考えにくい。血液培養と腹部・骨盤部CTを考える(69)。この問題はわからなかった。

Fー70〜72:まず口周囲に吐物と唾液の混ざったものを認め、吐物で誤嚥?し窒息するリスクを避けるために、気管挿管をしておく(70)。空瓶は摂取した毒物の特定のために重要である(71)。コリンエステラーぜが著減しており、瞳孔径、対光反射、発汗などを見ても所見に矛盾はないため、コリン作動性の毒物を摂取したと考える(72)。

Fー73〜75:指導医がいなければ指導医をまず呼ぶ(73)。心原性ショックであり、心拍出量は下がる、肺動脈楔入圧(左房圧)と中心静脈圧(右室圧)は左心室から手前の血流のうっ滞により上がる。心拍出量減少の代償として末梢血管抵抗は上がる(74)。心臓リハビリテーションは退院後も継続することは115回の過去問でも問われている(75)。

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