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ポーカーは複利なのか~A君の苦悩とポーカー出口戦略

はじめに

こんにちはyumeです。
久しぶりの記事になります。
最近は色んな戦略の記事などが出てきて、ポーカー座学に困ることはあまりないですよね。

逆に言うと戦略記事に溢れてしまっているように感じるので、趣向を変えて趣味のポーカー収支の皮算用と昨年始めた投資をミックスしたような出口戦略記事にしたいと思います。

あ、それと、この話は賭けポーカーが合法な架空の国でのお話です。


ポーカー収支のシミュレーション

この記事を見ているほとんどの人は、ポーカーの実力を上げている成長過程にあり、上に行けるまで行くことを楽しみにしているケースが多いのではないでしょうか。

自分は皮算用が結構好きなのですが、勝てる人がどのようにステークスを駆け上がっていくのか、仮に最近2NLからスタートしたA君で収支のシミュレーションをしてみたいと思います。
※すべてのシミュレーションは分散を排除した期待値のみの話になります

A君はPokerStarsのZOOMしか打てない呪いにかかっているので他サイトや超ハイレートは打てないものとして下さい
またA君、実はポーカーを3年勉強していたので「強くてニューゲーム」状態ではじめることができます。
2NL2面打ちでそれぞれ5bb/100の成績を叩き出すことができますが、ステークスアップすれば周りの人間も当然強くなりますので、ステークス上昇のたびにwirateが1bb/100ずつ落ちると仮定してシミュレーションしてみます。

40$持ちでスタートし、細かい設定はこんな感じです。

横軸は時間数、縦軸は$になります。
200NLから時給が伸び悩み500NLではレキバ含めても収支がトントンになってしまいました。
この場合の時給は下表のようになります。

ステークスアップと連動して時給が倍々に上がっていきますが、途中で上がり方が鈍化して100NLで頭打ちになるのがわかります。
500NLまで行ったA君ですが、残念ながらステークスを下げるか成長しない限り一生5万$に到達することはありません。

このような現象、ポーカーを長くやっている方は一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
ではここにA君の成長を含めるとどうなるでしょうか。
成績に座学効果を追加してみます。

A君は100NL以降座学を始めました。
1時間稼働ごとに座学を1時間するものとし、座学効果は毎回+0.01bb/100あると仮定します。
なお、座学効果マックスは10bb/100とします。
その場合のシミュレーションはこうなります。

5万$まで稼働だけでも2037時間かかってしまいましたが、実力は最終的に2bb/100となりレキバ含めると時給50$になりました。
なかなか強reg風味の現実的なグラフになったのではないでしょうか。

しかし実はA君、最初のうちは楽しくプレイできておりSNSなんかでもイキり倒していたのですが、マックスレートの500NLを稼働しているうちにしんどくなってきてしまいました。
最初のうちはウキウキだったのに、なぜ途中からしんどくなるのでしょうか。
これには一体どういう意味があるのでしょうか。
一旦別の話題を挟んで、ここを掘り下げてみたいと思います。

余談~複利の話

急に話は変わって、複利の話になります。
複利とは何かというと

複利とは、元金(がんきん)によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利子にも次期の利子がつく。したがって、利子が次第に増加していき、雪だるま式に利子が増えていくことになる

wikipediaより

というもので、お金がお金を生むシステムになります。
銀行預金をイメージしてもらえれば身近に感じることができると思います。
なんで急に複利の話になったかというと、ポーカーのステークスアップって複利のようなものなのでは?という気がしたからです。

銀行預金は複利であることが有名ですが、日本のような低金利だと複利効果がよくわからないですよね。
そこでわかりやすく金利を高めに設定することで、複利効果もシミュレーションしてみたいと思います。

元金を100万円とし、年利8%で運用(と言っても放置)した場合の資産グラフはこのようになります。

横軸は年数、縦軸は資産(万円)です。
10年で倍の200万円、30年で10倍の1000万円となっています。
100万円を年利8%で放置するだけでこんなことになるなんて、すごいですね!
お金がお金を生んでいるのが見た目でよくわかると思います。
でもなんだかこのグラフ、ちょっとポーカー収支グラフと似ていますよね
もしかしてポーカーって複利なんでしょうか。

ポーカーは複利なのか

ポーカーが複利であるか考えるにあたって、複利の公式を紹介したいと思います。一般的な複利の公式はこのように表現されます。

各変数の定義は
b:n年後の資産
a:元金
r:年利
n:年数
となります。

(1+r)のn乗のところなどは、なんとなく雪だるま式に利子が増えていくような感じがしますよね。
さきほどの資産シミュレーションもこの公式を使っただけのシミュレーションになります。

さてポーカーが複利と仮定した場合、この公式はどこの部分に適用できるでしょうか。
複利はお金がお金を生むシステムということを考えると、この公式はステークスアップのときに適用できそうな気がします。
ステークスアップのときに何が変化したかというと、そう時給です。
ポーカーにおいては時給が複利効果があると言えそうです。

ではポーカー時給を公式に置き換えてみましょう。
簡易にするためにステークスアップは倍々になるものとするとポーカー時給はこのようになります。

各変数の定義は
b:n回ステークスアップしたときの時給
a:最初の時給
n:ステークスアップした回数
となります。
ステークスアップするたびに時給も倍々になるのがわかると思います。
しかし、現実には時給は色々な要素が加わって決まりますので変数を増やしてみます。

各変数の定義は
b:n回ステークスアップしたときの時給
a:最初の時給
n:ステークスアップした回数
c:時給プラス要素
d:時給マイナス要素

とします。

cの時給プラス要素には
・自分の実力向上
・レクの供給量増加
・レキバ率向上
・フィールドの変更
・バムハントの徹底

などがありますね。
主に内的要因ですが、レクの供給に関しては外的要因で、供給量を確保してくれているポーカーインフルエンサーには感謝しかありませんよね。

dの時給マイナス要素には
・周りの実力向上
・レクの減少
・レキバ率改悪
・ティルト

などがありますね。
ティルト以外は外的要因ですが、ポーカーサイトはこれらが要因となってユーザーが減ったりしますよね。

さてポーカーは複利なのかという問いに対しては、
未来のバンクロール=現在のバンクロール + 時給 x 稼働時間
となりますから、稼働自体は労働だけれども、時給のみステークスアップした時に複利効果がある、と言えそうです。

ポーカーは複利と労働をミックスしたような感じ
時給は複利、収支は労働の結果
ステークスアップしたときに時給に複利効果があると言える

A君はなぜしんどかったのか

話をA君に戻したいと思います。
A君はステークスを駆け上がるにあたって、最初のうちは楽しかったのにマックスレートの500NLを稼働しているうちにしんどくなってきてしまいました。

これは言い換えると、ステークスアップしているときは時給が増えて複利効果を感じることができていたけれど、マックスレートまで行ってしまって時給が増えなくなったとき、労働風味が濃くなってしまったのではないでしょうか。

お金がお金を生む効果がなくなってしまったとき、A君はポーカーを「座学時間を確保しなければならない時給50$の労働」のように感じてしまったのです。

A君に限らず、この問題はポーカープレイヤーにはいつか付きまとう問題だと思います。
さきほどのポーカー時給の公式はこうでした。

これを見ると、ステークスアップによって時給マイナス要素の影響が増え、(1+c-d)の部分が0.5を下回るのであればステークスアップしない方が時給が良いと言えるわけです。

こうなってしまうと何か劇的な変化がないと、あとは労働になります。
さて、ポーカーが労働と化して楽しくなくなってしまったA君、何か策はあるのでしょうか。

A君の打開策

ポーカーが楽しくなくなってしまったA君は昔を思い出し、最初のころは時給が増えていくことが楽しかったことに気づきます。

時給の公式を考えることで、
時給は複利でバンクロールがバンクロールを生んでいた。
ポーカーは時給に対して時間やお金を投資していたんだと気付きました。

しかしステークスアップができない今のままでは、築いてきたバンクロールがただの置物になってしまいます。

使っていないバンクロールにも働いて欲しい。
他に何か、お金がお金を生むシステムはないものかと探したところ、株式投資も複利であることを知りました。

出所:株式投資の未来 ジェレミー・シーゲル

これは株式投資の世界では有名なグラフなのですが、1800年の時点で1$相当だったものが時間が経つとどのように価値が変化していくかを見える化したものです。

一般的に複利効果のあるものは縦軸を対数軸にすることで直線になるという性質がありますが、まさにこのグラフは縦軸が対数軸になっており株式投資の上がり方が直線風味ですよね。
株式投資は長期で見たときに複利効果があるということがわかるかと思います。

お金をお金のまま置いていても価値は目減りしていく
お金は株式投資という形で置いておくことで複利効果で増えていく

A君は株式投資のことはよくわからなかったのですが、投資信託という形でお金を預けておくといい感じに運用してくれることを知りました。

有名で人気のある投資信託商品と言えば、全世界の株式に分散して投資する「オールカントリー」や、アメリカの優秀な企業500社に分散投資する「S&P500」なんてのがあります。

A君はアメリカ推しだったのでS&P500という投資信託商品に毎年ポーカー労働で得たバンクロールを脳死で投資することにしました。

ちなみにS&P500は、過去の大暴落を踏まえても平均すると毎年7~8%程度上昇するとされている優秀な指数です。

仮に年利8%とおいてみましょう。すると複利の話のときに出てきたグラフそのままの運用が可能になります。

A君は元金を1万$とし、毎年年初にポーカー収支から1万$を投資することにしました。するとこのようなグラフになります。

横軸は年数、縦軸は万$、オレンジ線は年利がある場合、青線は単に毎年1万$貯金した年利がない場合になります。

単なる貯金と比べると投資はバンクロールがバンクロールを生んでいて、ポーカーの労働風味が少し減った気がしますよね。
10年後には21万$、30年後には驚くべきことに300万$を突破します。

A君はこの皮算用を将来の目標とすることで、ポーカー労働を頑張れるような気がしてきました。

◇まとめ◇

A君は時給の公式を頭の片隅に置くことでポーカーをドライにとらえることができるようになり、SNSでイキり倒すこともなくなりました。

毎年積立投資をすることで、ポーカー以外のところでお金がお金を生む仕組みを継続させることができました。
また、ポーカー労働にも意味を持たせることができ、ポーカーのモチベも回復しました。

めでたしめでたし~。

労働はしんどいが、価値をスライドさせることで意味を作ることができる

おわりに~ポーカーによる自己実現の弊害

いかがでしたでしょうか。
投資や複利について知っている人からすると、なんてことない記事だったかと思うのですが、あまり詳しくない人からすると複利の増え方に驚かれた方もいるのではないでしょうか。

また、今回のシミュレーションではA君はZOOMしか打てない呪いがあり、すぐにマックスレートまで到達してしまいましたが、多くのプレイヤーはマックスレートまで行かなくとも、どこかの時点で時給が増えなくなる分岐点に比較的早く到達するのではないでしょうか。

そのときに、ポーカーに自己実現を持ち込んでいると、成長を感じられなくなり辛くなってやめる、なんてこともあるかもしれません。
そんなときは是非この式を思い出して下さい。

自分の実力なんていうのは時給を決める変数cの一部でしかありません。
バンクロールを増やすことをドライに考えたいのであれば、バムハントがカッコ悪いとか、ポーカーサイトや種目を変えるのはダサいとか言う言葉に惑わされないで欲しいです。
なぜならこれらの行為は自分の実力値を上げる行為と変数上は等価だからです。

ポーカーに自己実現を持ち込む弊害
・座学地獄にハマってしまう
・視野が狭まり環境を変えられない
・他者と無駄な比較をしてしまう
・SNSでイキり倒してしまう
・結果をドライに考えられない
・うまくいかないことがあると嫌になってやめてしまう

などがあると思っています。
特に最後のやめてしまうというのがバンクロール的には悪手で、勝てるフィールドがあるのに稼働しないというのが一番の機会損失なのは明らかですよね。

個人的には自己実現も投資と同様に色んな分野に分散したほうが良いのではないか、と最近は思っています。
一つの分野で自分が大きくなりすぎるというのは、あまり良い結果を引き起こさないものです。

自分の実力は変数の一部でしかない
自己実現は色んな分野に分散しても良い

最後はポエムっぽくなってしまいましたが、戦略記事とはまた違った内容でたまにはこういうのもありなんじゃないでしょうか。

ちょっとポーカーと投資を強引に結び付けてしまった感はあるような気がしていますが、もちろんこの記事は特定の投資を勧めるものではありません。
念のため。

評判が良ければ、またこんな感じの記事も書いてみたいと思います。
それではよいポーカーライフを!

基本的に無料記事を執筆していく予定です、少額でもサポートいただけると励みになりとても嬉しいです!