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7901 マツモト 老舗アルバム屋の未来予想図

①企業情報

福岡県北九州市門司に本社を置く、創業90年以上の老舗印刷会社。
創業以来卒業アルバムを中心に文集やパンフレット、 その他一般商業印刷等、幅広い印刷物を取り扱っています。 最先端の技術を取り入れ、常に業界を牽引してきた九州地方を代表する印刷会社です。

企業ロゴ

7901(東証STD)
時価総額:38.2億
株価:10,030
発行株式数:381,300株
売上高:2,242百万 ※2023.04実績
営業利益:12百万 ※2023.04実績
設立年:昭和7年
代表取締役社長:松本  大輝

~北九州市門司区~
門司港レトロの観光事業で脚光を浴びている。門司港駅(1914年(大正3年)築)の付近から第1船溜り周辺にかけては、旧門司三井倶楽部(1921年(大正10年)築)、旧大阪商船ビル(1917年(大正6年)築)、旧門司税関(1912年(明治45年)築)などの歴史的建造物が集まっている。旧九州鉄道本社(1891年(明治24年)築)を転用した九州鉄道記念館などの観光施設や、出光美術館ホテル、商業施設も立ち並んでいる。関門海峡エリアは、美しい日本の歴史的風土100選に選ばれ、門司港駅をはじめとするレトロ地区の施設群は経済産業省近代化産業遺産に認定されている。

門司港の美しい夜景

私も何度か観光で訪れましたが、歴史的建造物の数々から西洋の雰囲気も漂い、また明治大正期に官庁街として賑わい、接待用の料亭が軒を連ねた清滝界隈は石堀が続く路地、格子戸のある木造家屋、どこか懐かしい雰囲気の路地裏を歩くと、そこには心癒される空間が広がっています。
また近年ではアートの街としても脚光をあびているんです。


②印刷市場規模と会社業績

日本印刷産業連合会統計

日本印刷産業連合会が各省庁の統計データをまとめた「年次動向」によると、印刷出荷額は次のように推移していることがわかります。

  • 1951年から1991年:成長

  • 1992年から1998年:停滞

  • 1999年以降:衰退

印刷産業は90年代にピークを迎え、その後は下降を続けています。2019年の出荷額は80年代前半と同等となり、かつてGDP(国内総生産)の約2%を占めた出荷額は1%まで落ち込みました。

市場規模シミュレーション

昨今の印刷業界、とりわけ商業印刷の分野は、高速化を続けるインターネットと新たなテクノロジーの台頭により、マーケティング手法やプロモーション活動の変化を受け、平成から続く縮小傾向は今なお続いている。さらに、コロナ禍で人々の生活様式、働き方が大きく変わる中、さらなる変化のあおりを受けつつある。

この概況について、専門家は「2006年は約7兆円あった市場規模も、2014年までに年平均で2.7%ほど減少しています。2026年までこのペースが続くと市場規模は4兆円にまで縮小し、単純計算で20年の間に3社に1社はなくなることになります」と話す。

では、マツモトの業績でみるとどうでしょうか。

株探決算情報(過去最高実績)

印刷産業の活況時であった90年代がピークであり、その後は徐々に下方傾向にあり、先の印刷出荷数推移と相関する形となっている。
特に2021-2022にかけては、新型コロナウイルス拡大影響を受けて個人消費の落ち込みにより産業自体がマイナス成長に転じておりマツモトも例外ではない。

IR_BANK(利益率推移)

③株価の急騰

2022年6月8日大引け後(15:00)に決算を発表し、22年4月期の最終損益(非連結)は12.8億円の赤字(前の期は3.8億円の赤字)に赤字幅が拡大したが、23年4月期は0.4億円の黒字に浮上する見通しとなった。

 直近3ヵ月の実績である2-4月期(4Q)の最終損益は8.5億円の赤字(前年同期は3.1億円の黒字)に転落したが、売上営業利益率は前年同期の20.8%→24.2%に上昇した。
3,000円だった株価は6/28に年初来高値である21,450円まで高騰し、年初来安値から約12倍となった。
しかし驚くなかれ、1994年上場時の株価は36,000円ありました。
バブル崩壊後とは言え、業績もピーク時だったので納得かも。

7901 マツモト(週足)株探チャート

需給状況でみてみると、急騰前の信用買い残/売り残+貸付残で見る限り締まっているとは言い難いが、「思惑」があってなのか、急騰を見越していたの如く大口投資家は細かく集めていたのだろうと推察できる。 
後にこの「思惑」であろう事象が判明する。

IR_BANK(需給グラフ)

④新たな事業展開

2022年10月に公式 X(旧:Twitter)にて新事業であるWEB3.0サービス開始を開示した。
後日、開発サービスコードネームを「忍(SINOVI)」に決定したと発表。
株価急騰の「思惑」とはこのことだったのか…🤔

2023年1月25日、SinoViサービス開始について「サービス内容」と「サービス開始時期」に触れる適時開示が出された。
どうやらコンテンツをNFT化する機能と、NFT化されたコンテンツを交換するマーケットプレイス機能を兼ねそろえ、NFT化したコンテンツを販売するサービスとのこと。 
ん?NFT?なんのこっちゃ?

NFTについては、これを機に情報収集をしました。
詳細は別の記事でまとめています。
マツモトも先の市場拡大をみてこの流れにうまく乗ったわけですね。


⑤SinoViリリースと海外進出

2023.5.19 WEB3.0 http://SHINOVI.IO officially open

サービスリリースと共に順次公開されたNFT作品の数々
 1. Crypto Shinovi
 2. SUSHINOBI寿忍
 3. Ukiyo-e KI Art
 4. KatoHugetsu花兎風月

事前の反響もあってか、どの作品も短期間で完売となり盛況振りが伺える。

ShinoVi NFT作品

 ▪️ポータルサイト「NFT電子の巻」運用開始

NFTのNFTによるNFTのための認知度拡大を目的としたポータルサイトの運用をスタートした。

  • NFTコミュニティやプロジェクトについての認知を広げる

  • NFTをまだ知らない人にNFTの基本情報を届ける

  • NFTの知識・理解を底上げする

  • NFT販売プラットフォームであるShinoViの解説

  • NFT販売プラットフォームの運営による正しい知識の拡散

 ▪️海外進出

海外進出においてもスピードを緩めることなく、欧州から事業拡張を着実に進めている印象。
直近でも国内外でのブロックチェーンイベントに出店されている。
・10/25-26 スペインで開催のヨーロッパのブロックチェーンイベントに出店
・10/25-27 幕張メッセ開催のブロックチェーンEXPOで出店

2023年10月13日
欧州市場でのBookNFTサービスの開始について、プレスリリースを発表
BookNFTの利点としては、トレーディングができるという点。
数が限定されているため、欲しい人同士で回し読みを行うことができる
また、収益の一部は直接著者へ行くことでにより、お気に入りの作者の方への支援につながる。
web3.0だからこそのメリットを最大限生かすサービスである。


Shinoviサービス開始後、様々なクリエイターが作品を出品されています。
「NFT電子の巻」サイト上でインタビューが掲載されていますので、ぜひご覧になってください。 
其々の熱い想いが伝わるはずです。


⑥Vtuberの登場

なんとマツモト専属Vtuberのデビューも決定
名前は「舛花みなみ」
可愛ええ(*''ω''*)

企業戦略の一つとして、「舛花みなみ」の活躍、
そして、
真マツモトプランの今後の行方が気になるところです。

24/4/16更新
3/31付けで活動終了となってしまわれたそうです。
どんな世界観になるか面白そうな戦略だっただけに残念です。


⑦コラボレーション

shinoViのリリース後、SNS上でのプレゼント企画などを通じてNFT普及の動きも見られている。


残念ながら私はすべて落選しました😭


⑧今後の展望

10月初旬にX(旧:Twitter)のスペースで行われたEDO-1PROJECT1周年イベントにゲスト枠で登壇し松本社長はこう仰っていました

1.web3.0事業展開のきっかけ
 今まで会社の基軸であった印刷事業は国内の仕事に留まっていたため、海外進出をしたかった
2.NFTの狙い
 インバウンド需要増を見込んで地方創生の一環で観光NFTを普及させたい、日本の地方には面白さがたくさんある
3.NFTの販売をする中で、価値を高める施策は?
 アートの海外進出
 日本の絵画は値が付かない→認知度が無い
 NFTを通じて日本の才能あるアーティストの価値を高めていきたい

やはり根底にはグローバルな思想があり、web3.0の個人情報や利益を独占しない「非中央集権型」のメリットを最大限に活用し、日本カルチャーを世界に発信するアイデアやそれを基にしたビジネスモデルを描いていると感じ取れた。

また、2023年4月期決算説明会にて、中長期経営ビジョンについても言及している。
Web3.0事業を軌道に乗せ、
営業利益を2026年:1.5億、2033年:15億 という具体的な数値目標を掲げてビジネス転換を目指している。

2023年4月期決算説明資料より抜粋

⑨結び

9/14適時開示にて、株式分割1→3の発表
値嵩で中々購入できなかった方も、流動性が上がり事業に魅力を感じている株主の新規参入にも期待がもてる。

 ▪️卒業アルバム制作のオートメーション化

人はより複雑な業務・創造的な業務を行い、単純な流れ作業はできる限り機械やコンピュータが行う、そのような世界を目指しています。

マツモトは卒業アルバム制作のオートメーション化により力を入れ、 最新設備への投資や開発の方を進めています。

11000 Inkjet Press

 ▪️WEB3.0事業について

今後のNFT普及には不透明感さもありながら、世界規模の大きなマーケットに発展することを見据えた上での新規事業展開。新たな取り組みと世界進出を牽引する『未来の役員候補』の採用にも力を入れており、創業90年以上続く「老舗」から大変革を実行する正に発展の途上段階といえるだろう。今後のマツモトから目が離せない。



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