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1981〜1985-2

その晩、Kから電話があった。
足を怪我してからバスと電車と自転車で
通学しているので
大手町駅にいたということだった。
「今日はあっかんべーしてごめん。
今度会ったら話さない?」
私は快諾して、少し話して受話器を置いた。

それから何日経ったか定かではないが、
私たちは学校帰りに会っていろいろ話した。
今の高校のこと、中学の同級生のこと、
進学するつもりの大学の学部、
他になんだったか。
大手町駅で私を見つけたKがバスに乗り込んで
Kの最寄りバス停までの十数分、
他愛もない話をしていたと思う。

そんなある日のこと、
いつものバスの隣の席で、
他愛もない話の途中でKは笑いながら言った。
「面白いなー!俺達付き合おか?」
「ええよ」
「おお、俺彼女できた!」
冗談みたいに私たちは始まった。

私は中学の時にずっと付き合っていたMがいたのだ
が、卒業してすぐに別れていた。
私とMが付き合っていたことは
同級生みんな知っていたことだったので
Kはそこも気にはしていたのだろうと思う。

さて付き合い始めた私たちは
学校帰りにバスで話すだけではなく、
Kの最寄りバス停で私も一緒に下りて
話の続きをしたりと
少しずつ距離を縮めていった。
しかしながらそもそもKを友達としてしか
見ていなかった私の心には
違和感がじわじわと広がってきた。

やっぱり友達としか見られないんだよね。

思い始めると何気ないことが気になり始め
だんだん一緒にいても楽しくなくなっていった。

K、私のこと好きって言ってくれてないよな。
なんかノリっぽい始まりだったもんな。

そして考えた挙げ句、
私はひとつの決断をした。























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