見出し画像

1987-5

Kの返事を待つ間に
私はタロット占いに行った。
港に大きな船が来ていて
その中でいろんなイベントをするというので
行ってみたのだ。

占い師は言った。
この方とは一旦友達に戻った方がいいです。
そうすればやり直すことができます。

「今、元に戻りたいって手紙出してるんですけど、それを取り消した方がいいんですか?」

占い師は頷いた。

帰ってから私は、Kに電話をした。
「あの手紙のことなんやけど」
「あー、あれから考えてて」
「それ、一旦取り消して友達に戻りたい」
「ええっ!?なんで?」
「理由はどうしても言えないけど、そうしてほしい」
占い師に言われたからなんて言えるハズないやん。
とりあえず電話を切る。

しかし後々考えて、
これは痛恨のミスかもしれないと気づく。
理由言えないって聞くと
普通新しい男できたからって思うよね?
私は自分の浅はかさに頭を抱えた。

その後、友達だからという理由で電話をしても
風呂に入るからとガチャ切りされ、
通学途中にばったり会っても
じゃあな、と去られる。
卒業前に手紙も出してみたけど、
もちろん返事が来るはずもなく
本当の本当に、私たちは終わった。

立ち直るのにはしばらく時間がかかった。
元気になっていくのはいいのだが、
Kとのいろんなことを
少しずつ忘れていくのが辛かった。
忘れたくなくて小説を書いて
大学の友人に読んでもらったら
読み終えてから泣き出したので
私の方がびっくりした。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?