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デザイン抜群のフィルムカメラ・ローライ35の奥深い話と、最近見かけた希少モデル

ランニングやハイキングに、昔の小さなフィルムカメラ・ローライ35シリーズをよく持っていきます。
小型軽量でデザインが良く、使って楽しいカメラです。

ローライ35S

このシリーズはオリジナルの「ローライ35」(1967年販売開始)に始まり、明るいレンズが付いたローライ35Sや機能を簡素にしたローライB35, ローライC35などいくつものモデルがあります。機能的にはローライ35Sが「高級モデル」とされる一方、ファインダーや内蔵機構の作りがよいと言われるのがオリジナルモデル。特に、初期に製造された「ドイツ製」です(途中から製造がシンガポールに移行)。

ローライ35シリーズには、カラーリングによル区別もあります。ブラックとクロームの2タイプが出ているのです。上に載せたのがクローム、下は(別モデルですが)ブラックタイプです。大分と印象が違いますね。

ブラックのローライB35

どちらが好みというのは人次第でしょう。値段的には、発売当初からブラックの方が少し高く設定されていたそうです。塗装の手間などが余計にかかったのでしょうか。詳しいところは知りません。今でも同じモデル・同程度の状態ならブラックの方が高値が付いています。

つい数日前、この「ドイツ製ブラックのローライ35」の中でも珍しい個体が中古カメラ店の販売ページに出ていました。「ドイツ製ブラックで、さらに初期型のローライ35」です。

ここまで来ると「なんのこっちゃ」となりそうです。ドイツ製ローライ35には、作られた時期によって細かな違いがあるのです。よく知られているのが、底面のカバーを開けるレバーが「扇形」か「俵形か」というところ。初期型タイプは「俵形」になっています。

俵形のレバー

もうひとつ、よく見ないとわからないのですが、前面の上部に掘り込まれた「Rollei35」ロゴが、初期のものは若干細字になっています。本当に小さな違いです。でも、個人的には細字の方がスッキリしていて好みです。

ローライ35シリーズには機体に製造番号が刻まれています。3000201番からが一般販売されたものだそうです。このうち、何番までがドイツ製なのか、俵形のレバーなのか、細字ロゴなのかはわかりません。どのシリアル番号がクロームでどれがブラックかもわかりません。どこかにそんな資料やまとめサイトが存在するのかもしれませんが、私は見たことがありません。

自分の感触では、大まかに303万台ぐらいのものまでは俵形、細字であることが多いように思います。でも、必ずそうなのか、304万台や305万台になると扇形、太字になるのかは何とも言えません。この点、M型ライカの方が「シリアルXXXX番まではこんな特徴がある」という区別がはっきりと知られています。

ここで、最近見かけたカメラ店の販売モデルの話に戻ります。私がこれまでに目にした「ドイツ製初期型」のローライ35は、色がクロームのものばかりでした。でも今回出ていたのは、ブラックでシリアル番号301万台というものだったのです。

もちろん底面レバーは俵形で、前面のロゴは細字でした。写真では、外観はかなりきれいに見えます。惜しいのは、レンズの状態。「レンズは全体にクモリもしくは劣化症状が有り」と記載がありました。

ローライ35のドイツ製は、カメラ店だと7万円とか8万円の値が付いていることが珍しくありません。その中でもこの個体は希少性が高いものです。売値は132000円となっていました。レンズの状態が良ければ、さらに値が上がっていたことでしょう。

このカメラ、店のウェブサイトに掲載されて2日後には売れていました。この個体の貴重さ、珍しさを理解してそれだけの金額を支払う価値があると思った方がいるのですね。

ちなみに、レンズにテッサー40mm/f3.5が付いたドイツ製のローライ35では、たとえばこんな写真が撮れます。この記事のトップに出した写真もこれです。小型だけどしっかり写るカメラです。

滅多に出てくることがない、珍しいローライ35。かなりの値段ですが、こういうタイプもあるんだと知れただけでも興味深いところです。どこかでひょっこり掘り出し物があったりしたら、手にしてみたいものです。



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