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初めての剪定


ぽかぽか陽気の2月の初め。

日中は、15度くらいまで気温が上がるオリーブ畑は、すっかり春の陽気。
もう既に剪定をし始めていた周りに刺激されて、とうとう、やる気になった。

剪定をするのに、一番気になることは、気温の差。
特に、風向きの関係で、いきなり冷え込む日がやってくる可能性があるうちは、
オリーブの木に悪影響を与えてしまうから、先を読まないといけない。
春になったら安定するかと言うと、ここ数年のトスカーナでは、3月から5月になっていきなり冷え込んだ年もあったりで、安心はできない。
だから、ぽかぽか陽気の続く今、少しでもやっておいた方が良いんではないかと思ったのだ。
「3月くらいまで待ってもいいんじゃない?」フィレンツェの友達はそう言ったけれど、
マレンマ地方は、フィレンツェと比べて随分南に位置するし、
データで処理するより周りの動きに従ったおかげで、収穫時期を選ぶのに難無きを得た昨年の経験があったから、ここは素直に右に倣えをしておいた方が良さそうな気がする。

「これがね、凄く良いのよ。私たちみたいに背が低いとね、特に。」
お隣のおばちゃんが、剪定用の高枝切り鋏みたいなのを教えてくれて、早速買いに行くと、
「オリーブの剪定にも、もってこいなのよ。」と、お店のシニョーラもお勧めしてくれた。
決して安くはないけれど、安物買いの銭失いになるよりかは、いい。
あまり重くなく肢が長いおかげで、さほどの力を入れなくても、そんなに太くない枝ならスイスイと剪定出来た。
テコの原理というやつだな…と、昔、理科かなんかで習った事を思い出した。
小学生や中学生の頃に習ったことの多くは、すっかり忘れてしまっているのだけれど、
大人になっても、役に立つことを勉強していたんだな…と思う。

とはいえ、普段使わぬ筋肉を使ったものだから、
たったの数本剪定しただけで、膝が笑うが如く、腕が笑った。

ああ、明日は、筋肉痛だな…

ひとり愚痴るが、それはそれで、
散髪した後みたいにスッキリしたオリーブの木を見て
今年は立派な実がつきますように…と祈るのである。

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