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物々交換

早いもので、もう5月。

時折、降り続く雨と太陽が顔を出す日と入れ替わり立ち替わりで
花芽も増えているけれど、雑草も半端ない。

いつもは、5月の中頃か6月あたりに
草刈りをするのだけれど
今年は、もう少し早くやりたい…と思うくらい
雑草の背が伸びていて
オリーブ畑の奥の方まで行くのも
掻き分けていかないと前に進めないほどになっている。

「俺がやってあげるよ。」

意気揚々と、そう言ってくれたのは
お隣さんに出入りしている、動物愛好家の兄ちゃんだった。
理由は、「飼っている馬の餌にしたいから。」
至極簡単。
それでもそれを、ありがたいことだと思う。
なぜなら、毎年、草刈りを頼むのに
それなりの金額がかかっていたからである。
4ヘクタール弱の土地は、人の手によって処理できるものでもなく
トラクターなどの機械が必要になってくるから
いつも、頼んでやってもらっていた。
馬の餌の為に草を刈ってくれるなら
物々交換ではないけれど、
お互いにWin-Winという事だ。
交渉は二つ返事で成立する。

お金の存在しなかった遠い昔は、
きっとこのようにお互い得になるような事をして
助け合いながらやっていたんだろうと思う。

そんなふうに生きれる事を
なぜか「豊か」だと思ってしまう。

沢山収穫出来たから、それを分け与え
その代わりに
別の自分ができる事を提供する。
それで生きていくことができるのなら
それに越したことはない。

少しずつ、お互いが慣れてくると
いろんな事を教えてくれる。
今はまだ、
与える…というよりか、
与えてもらっていることばかりなような気がするけれど
自分もいつか
誰かの得になれるよう
今はいろんな事を受け取っている時期だと
思うことにしよう。

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