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境界線

 4月末、メガネをかけたおじさんとおにいさんが、手を繋いで境界線を行ったり来たりした。このニュースが世界上を駆け巡った。70年近く閉鎖されていた境界線なのだから、イケメンのお兄さんと喜ぶことがお仕事の美人が出てくればいいのになあ、とTV画面を見ながら思った。
 考えてみれば境界線ってなければ困るけど、かなりやっかいな代物だ。島根県と鳥取県の県境は写真のような石碑?で示されている。出来たときはインパクトがあったと思うが、今は誰もふり向かない。この両県、お隣同士だけど行政府が違うので、当然予算の申請や使い方が違う。例えば、鳥取県ではシニアのボランティアをネットワーク化し、イベント参加をメールで呼びかけ、まず集まる。島根県はイベントごとにプロジェクトチームが作られ、助成するから申請書を早く提出してほしいとメールが来る。企業支援についてはもっと複雑で、手続きも認定プロセスも違う。
 
日本は海に囲まれていて安全だ、と子供の頃教わったけど、今は誰にも見えにくい国境。侵入を過剰に恐れている。ご存知のように島根県は竹島が県内地域だから特に敏感だ。移住者県民の私でさえ、韓国や朝鮮半島で応援旗に描かれたりするだけで、ちょっとこれは何?と思ってしまう。

 我が家でもお隣との境界線がある。雑草が進入するから、時々抜いているけど、許可なく花を植えてはいけないな、とそっと思う。自然に花の根が伸びてあちら側で咲けばきれいだけど(微笑)

 連休が終わったら例年のように初夏、とはならず、低温の日が続くから大谷君の試合を中継があるたび観戦する。そして気がついた。水平だと思っていた境界線は、ライト、レフトのポールという垂直のものもあると。打ち上げられたボールがこのポールでファールかホームランか区切られる。

 そうこうしているうちに娘からラインが入る。「ご飯食べなさいと言っても朝からストライキ」とは孫娘の反抗らしい。ご丁寧に反抗の様子が動画で追加。親子に立ちはだかる心の境界線だ。これは水平?垂直? 今は母親になったこの娘にも過去にはよく抵抗された・・・を思い出したけど、それを今彼女に言えば火に油を注ぐだけ。「反抗されるのは辛いねえ、“時が解決する”ことをイヤというほど学んだけどね」と薬にもならない言葉を返す。そういえばセクハラかそうではないかの境界線もまた難しいと突然思い出す(苦笑)。
まもなく38度線のDMZ(非武装地帯)がどうなるのか、“時が解決する”のではなく、選挙の公約やこれからの票をめぐって結論が出そうだ。日本海側に住む私としては、北からミサイルや核爆弾が飛んでこないことを祈っている。
ゆうこの山陰便り          №171


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