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【音源付き】初心者向け講座・キースジャレットの偉大さについて考える-オープンマインドとは何か-【Part.3】

【大好評キース・ジャレットのスタイル研究第三段】
今日も張り切っていきましょう!でもキース・ジャレットの話をする前に、今日はかなり脱線したい。突然だが、皆さんにお聞きしたい事がある。貴方の知り合いや友人に有名人はいるだろうか?

私の母親は、よく昔石田純一がテレビに映る度に、中学校のクラスメイトだったと豪語していた。本名は石田太郎で当時からモテていたらしい。あと母は、高校では坂本龍一がひとつ上の先輩で、大学ではデーモン小暮が同じ学部だったと言っていた。私の父はジャズピアニストの赤城ケイがクラスメイトだったようで、大学にいた時から彼の演奏を聞いていたようだ。

さて、そんな私はと言うと・・・何と有名人は沢山いる!(๑•̀ㅁ•́๑)✧ キリ!
アメリカの東海岸の有名な音大のジャズ科に行くと、日本のブルーノートにリーダーバンドで出るような有名人にレッスンを受けられる。私は彼らに週に一回個人レッスンを受けただけで、ジャズのレジェンド〇〇に師事と自分の経歴に書けるのである。自分のレジュメを良く見せたい方にはオススメだ(๑•̀ㅁ•́๑)✧ 彼らは私の事を忘れているだろうが、私は有名人の知り合いが沢山いるのである。ふふふ(●´ϖ`●)

これは自慢であるが、私が学士で通っていたボストンの音大では
ジェリー・バーガンディー
ビリー・ハート
ドニー・マッカースリン
ミゲル・ゼノン
デイブ・ホーランド
という凄い顔ぶれに主に個人レッスンやグループレッスンを習っていた。
(敬称略)今考えるとゴイス。(・・;)

今日はセシル・マクビー氏との思い出を少し話したい。

クラスメイトのトランペット奏者・マシモというイタリア系アメリカ人が、セシルの個人レッスンを受けていて、今度彼がアンサンブルを見たいから、ピアノを弾いてくれないかと頼んできた。私はセシル・マクビーという名前は良く聞いていたので、そんな大御所のアンサンブルレッスンを見てもらえるなら願ってもいないと思い、快諾した。

レッスン当日、セシルはとても精力に満ち溢れた印象を受けたが、年が大分いっている印象を受けた。おそらく90手前?しかし何とも若々しい革のジャケットとオシャレな帽子を着こなし、発する言葉もハッキリしている。
アンサンブルレッスンでは学生のベーシストに演奏を任せて、自分は話すのが主だったが、時折ベーシストに変わって手本を見せるときがあった。
猫背な前傾姿勢で、優しく弦を触るが、楽器の音が良くて、ビートがしっかりしていたのを覚えている。

アメリカに長年住んでいて、西洋の教育というのは、子供をほめて伸ばす、ネガティブな事は言わないという事を知った。私は、周りの学生があまりにも間違った行いをしていても、それをストレートに指摘しない講師を見たりする度にもどかしさを覚えたものだ。

しかしセシル・マクビーは違った。終始レッスン中は、不機嫌なのか、とても鋭い眼差しで各プレイヤーを睨みつけるように見ていた。ある時はドラマーに「私は今まで世界中の素晴らしいドラマー全てと共演してきた。だから言う、いまやったお前のドラムソロはドラムのソロではない」

教室の空気が一瞬に変わってしまた。今度は自分はなんて言われるんだろうと私は緊張してしまい、消極的な演奏をしてしまった。

それを察したのか、私の耳元で「I can't hear you!」(聞こえない!)と私に睨みを利かして言うのである。人間誰しもが本当の事を指摘されると滅入るものである。初回のレッスンはそういうわけで散々なものであった。私は落ち込んでしまった。しかし何度かマシモのアンサンブルを手伝っているうちに、彼にも顔を覚えてもらうようになった。とりわけ、セシルは私が日本人だと分かると、レッスン中に日本語で話しかけてくるのである。お世辞にも上手とは言えない日本語で(彼には内緒ね(・_・;))

私が思うに、アメリカ人の多くは、日本語とは全く異なる言語だと感じているのだろう。フランス語やスペイン語、ドイツ語を話すよりも、周囲から尊敬の眼差しで見られると思っているのかもしれない。それは海外の旅行先で彼女の前で英語を流暢に話し、格好良いところを見せつけたいという心理と同じなのかもしれない。(私は童貞だから知らんけど)

これはアドバイスだが、そんなアメリカ人に会ったら、なるべくオーバーリアクションで日本語を連発することである。「おー、はー、なるほどー、スシー、テンプラー」とでも言ってリアクションすれば相手は自分が上手に日本語で意思疎通できているところを周囲に見せつけられるので、気持ちよくなること間違いなしである。セシルは「ワタシハ、マイカイ、ナツ、イク、ニホンデス。」とか、他愛もない事をグループレッスン中に言ってくるので「え!すごーい!すし、てんぷらー」と私がリアクションしていたら、ある日からセシルは優しくなったような気がする。私も世渡り上手である。

ある日、いつものようにアンサンブルのレッスンを見てもらっていた時のことである。確かソニー・ロリンズのペントアップハウスだったと思う。私がソロを取り終わると、セシルがバンドの演奏を止めるのである。私は何か間違った事をしたのか不安に思ったが、彼は、一人でパチパチと無表情で拍手をした。そしてそのあとニッコリと私のソロがいかに良かったか賛辞を送ってくれた。「ワタシハ・アナタの・スキデス・オンガク」

私とセシルの良き思い出である。それから数日後、マシモと大学のカフェテリアで食事をしている時に、セシルが日本語を勉強しているのは日本人女性が好きだからだという話を聞いた。私の中で何かが壊れていった。


【完】



いやいや、終わってはいけない!なぜならキース・ジャレットの話をしていないからである。それから数年たって、私はインディアナ大学でキース・ジャレットのスタイル研究についてレポートを書くことになった。そして不孝の名盤チャールス・ロイドカルテットの「フォレスト・フラワー」について調べるのだが、何とセシルがベーシストではないか!どひぇぇぇぇ!(←はい、つながったーー!!)

セシル最高だよ。こんなに素晴らしいベーシストに私は習う機会が遭ったなんて。。。スシ、テンプラ(´;ω;`) 

恥ずかしながら、小生、キース・ジャレットは大好きだが、スタンダーズ以前の彼の音楽は聞かなかったのである。

しかし、このアルバムはキースにとって非常に意義のあるアルバムである。
このチャールス・ロイドバンドに入団後、彼の名前が世界中に知れ渡るのであるから。それはレオナルド・デカプリオという売れない俳優がタイタニックのヒットを機に超ハリウッドスターの仲間入りを果たしたのと似ている。

次回はヨーロピアンカルテットの事と真面目にキースのスタイル研究について音楽的な見地から解説していきたい。下ネタ厳禁・脱線厳禁である。
(たぶんね・・・(・_・;))


参考文献
・キース・ジャレットの頭のなか (著:中山 康樹)
・Keith Jarrett: The Man And His Music(著:Ian Carr)
ジャズピアニスト 二見勇気
Youtube - Yuki Senpai
Instagram - jazzpianosenpai
Twitter - 天才ピアニストゆうこりん ❤



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