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山ペンギン 49 ふるさと?の山にたけのこ取りに行こう。

たけのこを食べたいというまるがりたさんの希望をかなえたく、イマドのふるさとの山に来ている。

当たりまえなのだが、たけのこは竹やぶに生える。ところが、イマドのふるさとは木はあっても、竹がない。

山奥に入っていき、いつぞやの氷室のあった場所まで来た。
「ここイマド君が生まれた場所ー??」マリとユリがのぞき込む。
正確には女神がイマドの生まれた場所という「ウソ」をついた場所になる。

ヒマだというマリとユリがたけのこ見たさについてきている。フロリダに住んでいたらしい(幼少期だけだが)マリはともかく、ロシアでも中国よりにいたユリにとっては珍しくないのでは、と感じる。
「ウチも小さいときにすぐにアメリカに送られてるんすよー。」とユリ。
「英才教育のせいで、ほとんど外出もできなかったし・・。」共産主義あるあるかな・・・。いや、それは偏見か。

「あーし、たけのこの里でしか、たけのこってもの見たことないし・・・」
コンビニで商品見るものすら楽しそうだもんな・・・。なによりまるがりたさん本人もつれてくればよかったか。

「だめですよ。」トリ登場。「まるがりたさんを山に連れてきたら、あの鷲が・・・」
「杞憂なり。吾子すでに巣立ち、我一人遊飛し侍り。」
鷲がいつの間にか!しかもまた話している。
「たかむな求め侍りか。」たかむなて何?
「たけのこの古語だ。」中国人の劉さんが解答。
「お前な・・・。」劉さんがうなだれる。

鷲が案内する。「虚空より見るは易し。」たかむな=たけのこ発見。
ユリとマリが歓声を上げて手で周囲を掘る。
「小さく見えても、根にきっちり付いているから、やはり鍬は必要なんですよ。」
たけのこの根に鍬を入れたオレは、うかつにもたけのこをまっぷたつにする。
劉さんに殴られる。劉さんは深くためいきをついて、たけのこを包んで、
「何か汁物にしよう。」と持ち帰るようにする。

さらにいくつか鷲に見つけてもらって帰宅することになった。
もちろん、我々の弁当から、肉や魚が鷲に移る。

帰宅したらまるがりたさんが待っていた。
「うわーたかむな!」
「・・・宇宙人のまるがりたさんが知ってるのにな・・・」劉さんがうなだれる。
「まあ、まるがりたさんの脳内は自動翻訳機みたいなものですから。」
「ああ、多分先に筍とか笋という字が浮かんで言葉にするんだろうな。」
トリ2人も知っていることに打ちひしがれる。
「いちいち落ち込むなよ。お前が呆なのは最初からわかってることだからな。」劉さんが追い打ちをかける。

「あ、我々は長生きですから!いろいろ知識は集積できてるんですよ!」タカさんがフォロー。
だが、いくら長生きでも、違う銀河の一惑星に生えるイネ科植物の地下茎からの若芽のことなど、常識的に考えて知らないだろう。
「あの?ところでイネってなんですか?」
え?えと・・・。
「お前・・・。稲はこの星のアジアの人間の主食だろ・・・。」さすがにワシさんが驚いて振り返る。

「情報ってなんでこんなに偏ってるんですかね・・・この情報を知らなかったのは自分でも驚いてます。」タカさんも首をかしげていた。
劉さんがため息をつく。
「タカさん、コンビニ来るたび、おにぎり買ってませんでしたっけ・・・。」

たけのこはイマドがひとかけら吸い物にした。あとはゆでておき、冷凍保存するようだ。

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