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これからの障害者の除外率制度はどうなる?除外率制度や最近の動きを解説

企業では、障害者を雇用する障害者雇用率が定められています。しかし、業種によっては障害者雇用が難しいこともあり、除外率制度が設けられていました。

除外率制度は、平成14年の障害者雇用促進法改正により廃止する方向性が示されましたが、特例措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされてきました。それに伴い、平成16年4月と平成22年7月にそれぞれ一律に10ポイントの引下げが実施されています。

障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定のために法定雇用率を設定しています。現在の民間事業主の法定雇用率は2.3%です。

しかし、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種については、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)を設けていました。除外率は、それぞれの業種における障害者の就業が一般的に困難であると認められる職務の割合に応じて決められています。

しかし、この除外率制度はノーマライゼーションの観点から、平成14年法改正が行われ、平成16年4月に廃止されています。しかし、経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされてきました。

そして、平成16年4月と平成22年7月に、除外率が設定されている業種では、それぞれ一律に10ポイントの引下げを実施しています。

しかし、それ以降は引き下げや縮小の具体的な動きがありませんでした。今回、このような議論が再び行われていることや、企業全体の実雇用率 が上昇する中で除外率設定業種の実雇用率についても上昇傾向にあることを踏まえ、除外率が再び一律に10ポイント引き下げる見込みがでてきています。

最近の障害者雇用の状況や施策を見ても、厳しくなることはあっても、緩和されることはありません。雇用率を達成することも大切ですが、企業に貢献する障害者雇用を進めることができないと、企業としては雇用することへの負担を一層感じるようになってしまうでしょう。

ピーター・ドラッカーは、組織の目的は人の強みを活かすものだと述べています。障害者雇用でもこの視点を持ち、能力を活かすことができる業務を創出することを考えていくことが、今まで以上に求められています。


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