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我が腕時計観:腕時計は口ほどにものを言う


腕時計遍歴

はじめに言うと、僕は人より腕時計が好きだと思う。小学生のとき、進研ゼミの努力賞で手に入れた腕時計は、文字通り故障するまで自分の左腕を占有する存在だった。初めての腕時計はデジタル式で、サッカー観戦に行けば45分、というより、電光掲示板で表示してくれないロスタイムを計り続けるものだった。

そんな僕が、唯一腕時計を腕にはめていなかったのは、高校生の時だった。月の小遣い5000円は授業中寝ないためのカフェオレ代(ブラックコーヒーはまだ飲めなかった)と、小腹を満たすためのゼリー代に消えていた。受験生の時に祖父母からもらった臨時の小遣いの使い道として5000円のALBAが選ばれるまで、腕時計を買う余裕はなかった。


モデルは違うがALBAの腕時計。視認性の高さから受験生の時に活躍した。
現在ではなぜか母親が身につけている。

大学入学後は資金に余裕が出てきたため、腕時計を2本購入している。1本目はUNDONEというブランドがドラえもんとコラボした時の腕時計。ちなみに日本国内限定かつ、150本限定。これだけ聞くと、とんでもなく高い時計に聞こえるけど価格は39600円。


現在では金属ブレスレットに付け替えて使用

もう一本は実用性に振り切ったもので、G-STEELというシリーズの腕時計。公式ストアだと44000円となっているが、通販などでの実売価格は25000円ほど。一応旧モデルの扱い。

僕はこの2本は大学生が無理なく持つには最高の組み合わせと思っている。もちろん本物の腕時計愛好家からすればあまりに足りないし、機械式を1本も持っていないのに腕時計好きとか言えるのか問題はあるのだが、その辺は後段で少し触れたい。

腕時計の存在意義

スマホの偉大さ

ここまで僕自身の腕時計遍歴を紹介してきたが、現代で腕時計の必要性はどんどん下がってきているのはどうしようもない事実である。

しかし、「腕時計は現代で必要なツールではない」というのは表現が違うと思う。こういった現代で不必要になったツールのほとんどは、スマホとその周辺サービスによって存在価値が奪われたものである。今でも「時間を知る」という需要は無くならないし(むしろタイパ志向で需要は増している)、電卓にそれまで求められていた正確に素早く計算するという需要も消えたわけじゃない。

ただ、ほとんどの一般人にとってはそれ専用のツールを用意するほどではなかったということ。というかスマホすごすぎ。AIに聞いたらここら辺が代替可能とのこと。

  1. 時計: スマートフォンには時計アプリが搭載されており、時刻を確認できます。

  2. 目覚まし時計: 目覚まし時計アプリを使用して、アラームや目覚まし機能が利用できます。

  3. 電卓: スマートフォンには電卓アプリが組み込まれており、計算が可能です。

  4. カレンダー: カレンダーアプリを使用して、予定やイベントを管理できます。

  5. カメラ: スマートフォンのカメラ機能を使用して写真や動画を撮影できます。

  6. MP3プレーヤー: スマートフォンで音楽プレーヤーアプリを使用し、音楽やポッドキャストを再生できます。

  7. 地図とナビゲーション: スマートフォンのGPS機能と地図アプリでナビゲーションが可能です。

  8. 書籍リーダー: 電子書籍アプリを使用して、スマートフォンが書籍リーダーとして機能します。

  9. メモ帳と手帳: スマートフォンにはメモ帳アプリやカレンダーアプリが搭載されており、手書きのメモや予定を管理できます。

  10. ライト/フラッシュライト: スマートフォンのLEDフラッシュを利用して、ライトや懐中電灯として使用できます。

  11. ウォレット/支払い手段: モバイル決済アプリを使用して、スマートフォンを支払い手段として利用できます。

  12. 温度計/気象情報: 天気予報アプリを使用して、気温や気象情報を確認できます。

  13. 健康トラッキング: スマートフォンには歩数計や健康トラッキングアプリがあり、フィットネスや健康状態をモニタリングできます。

  14. 単位変換器: 数多くの単位変換アプリがあり、長さ、重さ、通貨などの単位を簡単に変換できます。

  15. ラジオ: インターネットラジオアプリを使用して、スマートフォンがポータブルなラジオとして機能します。

  16. 録音機/ボイスレコーダー: スマートフォンの録音アプリを使用して、ボイスメモや会話を録音できます。

  17. 言語翻訳器: 翻訳アプリを使用して、スマートフォンが即座に言語を翻訳する手段となります。

  18. スキャナー: ドキュメントスキャンアプリを使用して、スマートフォンがスキャナーとして機能します。

  19. ゲームコンソール: スマートフォンには多くのゲームアプリがあり、手持ちのデバイスでゲームを楽しむことができます。

  20. テザリングモデム: スマートフォンを使用して、他のデバイスにモバイルホットスポットを提供し、インターネットに接続できます。

  21. パスワードマネージャー: スマートフォンにはパスワードマネージャーアプリがあり、安全にパスワードを管理できます。

どれだけの需要をスマホが一手に引き受けているかがよくわかると思う。

腕時計は機能面では勝負にならない

だが、専門の機器というのはスマホに対して明確に有利に立てている点がある。それは機能性だ。カメラは非常にいい例で、これだけスマホが普及した世の中でも、オリンピックの中継をスマホでするようなテレビ局はない。本家のカメラであれば画質も良いし、スーパースローも手ぶれ補正も何もかもスマホのカメラを凌駕している。むしろエントリー部門をスマホが引き受けてくれることで、これらのメーカーはどんどん高機能化へ舵を切っていけている節まである。時計は時計でも、100m走のタイムを計るような場面では専門の機器が活躍している。

その一方で、腕時計が「機能面」においてスマホを上回る要素があるかと言われれば、全くない。時間を測るといっても腕時計の方が正確とはならないし、ストップウォッチやタイマーも変わらない。しかもほとんどのスマホが1時間以上の計測にも対応するのに反して、僕が持っているG-STEELは1時間以上の計測ができない。アラームに至ってはスマホの圧勝である。スピーカー部分はどう考えてもスマホの方が大きい。

唯一機能面で勝負になる箇所といえば時間を「素早く」確認できる点だが、せいぜい2秒ほどの差にしかならない。ぶっちゃけいらない。

その2秒がとんでもなく重要な職業(レフェリー)とか、スマホを持ち込むこと・見ることができない場所で時間を確認したいとかいうニッチな需要(病院勤務者、高所作業者)など、腕時計がフィットする場所はもちろんある。だが、多くの一般人にとって腕時計は生活に要らない、という事実をここでは確認したい。

価値観を映す鏡としての腕時計

腕時計は明確にファッションである

機能面で勝負にならないのなら、腕時計の存在意義はファッションにしか求めることはできない。

〘名〙 (fashion) 衣服や髪型などについて、ある時代・年代に広く世間に共通して行なわれる、ある特徴や雰囲気を持った型。単に「服装」「服飾」の意でも用いられる。モード。

https://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-122310

腕時計の歴史を遡ると、ファッションととしての腕時計の歴史と、実用品としての腕時計の歴史との両方が存在する。

9世紀の初め頃から、高貴な女性用の装身具として、ブレスレットをつけた宝飾品のような1個づくりの腕時計が存在したようで、最も古いものは、ナポレオン皇帝が1806年に、皇妃ジョセフィーヌのためにパリの時計宝飾師二トーに創らせたものであったと言われていますが、時計のサイズが小さくて視認性に劣り、精度も悪かったので、懐中時計と違って普及はしませんでした。

多くの国を巻き込んだ1914~1918年の第一次世界大戦は、腕時計の普及を促す大きな契機となりました。すでにモールス信号や音声信号といった無線技術による戦争の指揮・伝達が導入され始めた戦場では、戦略を遂行する上で腕時計が不可欠でした。

(相当程度中略)こうして、腕時計は、より実用的な道具として、あるいは手首でファッション性やステータスをアピールする装身具として、社会に認知されるようになります。

先ほど、実用性の面ではもうスマホに勝てないことを説明した。となれば、今後の腕時計はますます装飾具、ファッションとしての役割が強調されていくことは間違いないように思う。

腕時計「だけ」が持つ特異性

ここから、ファッションとしての腕時計を語る上で最も注目すべき要素がある。それは「価格の幅」である。腕時計は価格の幅がとてつもなく広い。

例えば、先ほどスマホに代替されているものの中で紹介した電卓だが、「電卓 最も高価」で検索したところ、どんなに高くても10万円台で落ち着く。

「常識外の高級電卓」と銘打って発売されるものでも3万円台である。

一方時計ともなると27億円である。

まあ、これは宝石ブーストをふんだんに使用したものなので、電卓にも宝石散りばめればおんなじものを作れそうではある。そういったものを取り除いても、腕時計の価格はとんでもなく高い。億単位の時計がビュンビュン飛び交っている。

これは1点もののオークションだから高くなる、という批判をかわすために、今度は公式サイトで値札がつけられているものを見る。しかも今は円安なので国内メーカーで。しかも本数限定モデルも外しちゃいましょう。

右から2つ目がグランドセイコーの限定モデルを除いた一番高い腕時計。753万円なり。

そうすると、一番高いもので753万円。だいぶ安くなった(そんなことない)。

価格の幅と機能の見合わなさが、その人の価値観を映し出す

このように、腕時計は100均から高級車が買えるほどにまで価格の幅がある。この価格の幅が人々に選択肢を与える一方で、どれだけ腕時計の価格があがろうとも、やっていることは全く変わらないのだ。

個人的には25000円あれば腕時計としての機能は十分に満たすことができると考えている。腕時計が持ちうる機能は大体この辺。

  1. ワールドウォッチ

  2. 電波式

  3. ソーラー駆動

  4. ストップウォッチ

  5. タイマー

  6. アラーム

  7. 防水機能

この7つ以外の機能を腕時計に搭載することは現実的ではない。あったとしてもマニアックすぎてその道の職業でない限り使うことはないだろう。そして、この7つの機能を全て満たす時計のラインが25000円前後で買えるG-STEELというわけ。

これより安い時計は7つのうちどれかの機能を削っている可能性が高いし、これより高い時計を買ったところで機能は何も増えない。はっきり言えば25000円以上の腕時計はブランド料、材料費(宝飾)、デザイン料に対してお金を支払っているという認識を持つべき。

毎日身につけるものだからこそ価値観が映る

しかも腕時計は、大抵の場合毎日同じものを身につけている。言い換えると、あなたの身につけている腕時計は毎日身につけていても苦じゃないデザインをしているのだ。

さらに踏み込むと、25000円より高い腕時計はデザイン料の占める割合が高くなってくる。つまり、そのデザインに対して積極的にお金を出していると言える。デザインそのものにお金を出し、かつ、1つしか身につけないものだからこそ、その人の個性が最も現れるといってもいいと思う。


僕の持つ腕時計から僕の価値観を考えてみる

I'm Doraemon FRIENDSHIP:スタイリッシュさと遊び心

この時計、このような宣材写真を見ると、だいぶキャラクターものの印象を受けると思う。しかしこの時計、普通に身につけているだけじゃまずわからない。

実際、僕はこの腕時計を身につけて学校にもバイトにも行っているし、内定式もこれを身につけて行った。それで大丈夫ということはこの先もおそらくほとんどの場面で大丈夫ということなのだろう。

この腕時計の説明文はこんな感じ。

ドラえもんとのび太の永遠の友情。のび太の隣にはいつだってドラえもんがいる。お互い最高のパートナーである2人が描かれたデザイン。シンプルなホワイトダイアルには、夜になると発光する加工を施し、ドラえもんとのび太の姿が浮かび上がってくる。その姿はまるで、永遠に輝く友情を表すかのような美しさを見せてくれる。

普段なシンプルなホワイトダイアル、でもよく見るとキャラクターものらしい遊び心。スタイリッシュさと遊び心、僕が目指す価値観にピッタリハマってくれている時計です。

GST-W110-1AJF:超実用主義と護り


この腕時計を一言でいうなら「超実用主義」。先ほど説明した通り、腕時計に必要なものを全て含んだものの中で一番リーズナブルな価格設定。しかもメンテナンスフリーで使える。1つ目の腕時計充電切れを起こした時の代打性能も十分。腕時計を使う男性は全員予備枠として買っても損しないのではと思う。

もう1つの特徴は耐衝撃性を重視するからこそ生まれた堅牢なデザイン。これを身につけていると心の不安定さをカバーしてくれている気がする。メンタルコンディションがすぐれない日は優先して身につけているモデル。

将来的に買いたい時計

将来的に買いたい時計も1つだけ挙げておく。

SBGY013:「白銀の御神渡り(おみわたり)」

現時点で115万円するので、買えたとしても5年後か10年後かにはなってしまうけど、自分の目指す価値観にはピッタリハマっているのかな、と思う。

自分はポケモンでいえばこおりタイプだとよく言われるし、自分の名前ってすごくざっくりいうと「めでたい道」って意味だし。御神渡りは氷の裂け目が神様の通り道と考えられていたことからつけられた名前だけど神様の通り道ならめでたいと言っていい気がする。

しかも、この時計はスプリングドライブといって、機械式時計のような機構を持ちながら、クォーツ式を取り入れているので時間が比較的正確に出る。

機械式時計の欠点は時間が正確ではないところで、僕が機械式に手を出そうとしなかったのは実用主義の観点から気に入らなかったから。でもこれなら僕の欲しているスタイリッシュさと実用主義の両方を同時に満たせて、しかも自分の名前にちなんだネタが使えるという遊び心つき(最後は強引だけど)。これは理想的な時計だとサイトを見た瞬間に思った。

というわけで、今回はここまで。

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