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黒歴史を消せ! 今すぐやっとくデジタル終活

「まだまだ若いのに亡くなってしまうなんて」

死は、ある日突然やってきます。
わたしも20代の頃。ルンルンで秘境の露天温泉に行く最中、色々な偶然が重なり遭難。
運よく助かりましたが、一歩間違えたら餓死したり、熊のエサになって死んだりしたかもしれない経験をしました。
そしてあまりにも死が身近であることに驚いたものです。

また、遭難途中「このまま死んだらどうなるんだろう」という自問と同時に頭の中によぎった思いはこれでした。
「死んだ後、家にあるパソコンの中身を見られたくない!」
そういった過去の経験もあり、今回の記事では、パソコン(以下PC)、スマートフォン(以下スマホ)上のデータ閲覧防御方法をお伝えします。
それに付随するいざという時必要なデータ保存対策も確認していきましょう。



PCやスマホはプライバシーの煮こごり

昨今、個人のPCやスマホの中にはプライバシーが凝縮されています。
明るく楽しい思い出もあれば、暗く悲しい思い出もある。
デジタルデータであるSNSの書き込みやサイトのブックマーク、写真、動画なども当然、喜ばしいものもあれば隠しておきたいものもあるはずです。
では、そういったデータはもし自分が死んだときどうなってしまうのでしょう。

私が死んだら誰のもの?

まず、自分が死亡したときに持っていたPCとスマホが誰のものになるのかというと、相続人です。
そのため、例えば親友と「自分が死んだらPCとスマホを破壊してもらう」と約束していたとします。

ですが、親友には所有権がないのでその約束はかないません。
しかも恐ろしいことに、個人のプライバシー権は生前のみが対象。
PCやスマホに残っていたデータ・写真・日記などの著作権が発生するものも相続人が引き継ぐため、相続した人が見放題。
自由にできるのです。

遺言書は万能なガーディアン

そこで登場するのが遺言書。
実は、遺言書に親友へPC、スマホを遺贈するように指示する、処分してもらう旨を書くなどしておけば大丈夫なのです。
また、業者に頼む場合は、遺品整理などを事前に依頼する「死後事務委任契約」という契約があります。
これによって処分を専門家に依頼するといいでしょう。

ここで、すべての問題はクリアになったと思われますが、遺言書を書いたり、死後事務委任契約をしたりといったことにはお金もかかるし大変という方もいらっしゃるでしょう。
そのため続いてはカンタンにできるPC、スマホのデータ閲覧防御方法をお伝えします。

PCのデータを守る

PCは、相続人が遺族の場合、生前の記録を思い出がわりに見たいとアクセスしようとする可能性があります。
また、クレジットカードの支払いやネットバンクなどの預金等デジタル資産がらみでアクセスする相続人もいるでしょう。
では、インターネットの閲覧履歴や見られたくないファイルなどはどうすればいいのでしょうか。

Windows
「僕が死んだら」という、PCの利用者にもしものことがあった時、指定したデータを消去してくれるソフトウェアがオススメです。ソフトの制作時期は古いですがWindows11で使用した方の口コミがあるため、現役で使えるソフトと思われます(念のためお持ちのOSバージョンとの相性をご確認ください)。
これで消したいファイルを指定すればあなたのパソコンはより安心なものとなり、必要なデータだけが残ります。

Mac
現状、指定したデータを消去するツールはないようです。
そのため、ファイルを相続人が興味ないようなフォルダに隠したり、相続人が解明できないようなパスワードをかけたりして死守しましょう。誕生日など、容易に特定できるものはおすすめしません。

スマホのデータを守る

プライバシーが凝縮したスマホ。機能もツールも多岐にわたります。
SNS、アプリ、動画、画像、ファイル。
個別にこれとそれだけを消す、というのは難しいのが現状です。
ならばいっそ永久にロックが解除されないようにして、精密機器という名の文鎮になってもらうのが手早いでしょう。では、実際にそれは可能なのでしょうか。

Android端末
・NTTドコモ  端末ごとの設定のため基本的にロック解除不可。 
・au      端末ごとの設定のため基本的にロック解除不可。
・ソフトバンク サポートセンターで確認できず。

以上により、ロック解除されないためにはパスワードを死守しましょう。
記念日などは避け、相続人が想像できなさそうなものがいいでしょう。

iPhone
指紋認証は、火葬前なら遺体の指紋を取ってロック解除される可能性があるため、安心せずこちらもパスワードを強固なものにしましょう。
アンドロイド端末と違って、アクセスキーを設定していなければ、死亡証明書があっても基本的にはAppleでロック解除されません。
ですが、もしかなり複雑な手続きを経由することができるなら、ロック解除は不可能ではないので、相続人の執念次第となります。
参考)https://support.apple.com/ja-jp/102431

詮索防止用に死後必要になるデータを残しておく

生前の交流が疎遠なほど、遺族はより故人のことを知りたいと思うものではないでしょうか。
また、遺産相続や故人の身辺整理のために情報が必要なのも事実。
その対策としてもっともよいのはエンディングノートを書いておくことです。
また、遺族が必要なものをUSBメモリに残しておきましょう。

例えばこちら。

  • 顔写真

  • ネット銀行口座、株取引口座

  • デジタル資産関連

  • クレジットカード情報

  • 友人知人の連絡先

顔写真
ご葬儀を執り行う際に遺影の画像が必要です。
親族の手元に近影がない場合、顔写真のデータがアクセスされやすいのです。
履歴書の写真でもいいので、バストアップの写真を一枚残しておきましょう。

ネット銀行口座、株取引口座
ネット銀行や株取引口座がある方はアクセス方法を記載しておきましょう。
遺産に関わるためです。

デジタル資産関連
暗号資産や各種ポイント、マイレージ、キャッシュレス決済関連情報も遺産問題に関連してくるので残しましょう。

クレジットカード情報
サブスクのサービスや会員制のサービスなど、定期的に引き落としのかかるものを遺族が調べる可能性があります。
あらかじめ記載しておくと、カード明細を細かくチェックされずにすむかもしれません。

知人友人の連絡先
遺族がアドレス帳を見たくて調べる可能性があります。
交友のありそうな知人友人に葬儀の連絡や死去の連絡をするためです。
そのため、あらかじめ自分が死んだときにそれを伝えたい人を記載しておくといいでしょう。
そうすれば、思わぬ人に死亡報告が行く、逆に伝えたい人に連絡が届かないということも避けられます。

必要な情報開示は、不本意な詮索防止にも役立ちます。
思い立った時から対策をしておく。
残すもの、消すものを決めて。
そうすれば、いざというときに
「ああ、パソコンの中のあのデータ」
「あの時撮った画像」
「重課金したソシャゲ」
「X(Twitter)の病み垢」
など、走馬灯とともに恥ずかしさと後悔に打ちのめされずにすむのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
親しき中にも礼儀あり。たとえ家族や近しい相続人であったとしても。
PCやスマホの中身はプライバシーが凝縮した煮こごりのようなもの。
電車で何気なくでもPCやスマホをのぞかれたら、あまりいい気分はしないですよね。
それと同じです。
思い立ったが吉日。
この記事をお読みいただいた目の前の「あなた」が、この記事をきっかけにデジタル終活に興味をお持ちいただければ幸いです。


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