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精神科病院協会会長のインタビューに想う

昨日の記事が電子版で配信されていたので、Twitterで記事への反応を読んでみたが、現場の医師からは批判の声が出る一方、一般人からは『記事にしにくい本音をよく言ってくれた』と称賛されている。

曰く『綺麗ごとに価値は無く、現場の医師の言葉は重い』と。この老人のモノの見方が業界水準であると疑わない様だ。

30歳になるまで私は仙台の40km北にある地方都市に住んでいたが、ここには古いタイプの精神科医しかいなかった。患者に高圧的に接し、古くからのやり方を変えない。新しい治療法を学ばない・試そうともしない…それでも精神科の数が少ない為、いつも多くの患者でごった返していた。

市の中心部には入院施設も備えた大きな精神科病院があったが、そこの評判は最悪だった。患者を怒鳴りつける医師、すぐにベッドに縛り付け、多量の薬を投与する治療方針…刑務所より過酷と言われた時代とやり方が変わらない、そんな場所だった。

このような場所で、比較的新しい障害である『発達障害』に詳しい医師を見つけるのは困難だった。理解ある医師に検査をしてもらうためには、仕事を休んで何度も仙台の病院まで通院しなければならなかった。

この医師の苦労は知らないが、昔のやり方に囚われていると感じた。現場の医師や当事者・家族らがこのインタビューを批判しているが、『現場を知る医師の本音が聞けた』と称賛する大多数の意見に押しつぶされようとしている。奇しくも社会の側で患者の受け入れ態勢が出来ていないという彼の論に説得力を与えてしまっている。

世の中を少しでも良くしようと主張する人を『綺麗ごと』と断じ、冷酷な『本音』が称賛される…この国はずっとそんな雰囲気に支配されているように感じる。

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