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【映画評】「スリーパーズ」 正義が揺らぐとき

"すべてのスリーパーたちへ"

ロレンゾ・カルカテラ『SLEEPERS』

1950年代のLA、夏ー

”ヘルズ・キッチン”と呼ばれる低層スラム地区で、実際に起こったとされる事件

4人の白人の少年たちが、ほとんど偶発的に思いついた悪戯が、彼らの運命を大きく狂わせる

少年院へ送られる4人

結果的に少年院へ送られることになるが、かれらはこのとき、これから自分たちの身に起こる凄惨な未来を見通すことは不可能だった

看守たちによる昼間の徹底的な暴力と、挿入を含む陰惨な性的虐待の夜

抵抗することは許されず、逆に抵抗すればさらに暴力の予兆と兆候は激しさを増し、かれらが少年院で知り合った混血の少年リゾは「殴るところがなくなるまで」殴られて死んでいった

罪をつぐなうため、だから矯正施設に入ったが、かれらはここで生涯死ぬまで消すことのできない深い心の傷を負い、その傷が運命を示唆することになる


時は流れ、少年だった4人は青年へと成長する

ひとりは地方検事に
ひとりは新聞記者に
のこるふたりは、マフィアへー


マフィアへと成長したふたりは、”ヘルズ・キッチン”界隈でも恐れられるような、暴力衝動を抑制できない病的で凶悪なマフィアへと変貌をとげ、ある夜、かれらが夕食をとろうとカウンターに腰掛けたときに、この物語は大きなうねりを見せる

”あいつ”だ。ノークスだ
あの、くそ野郎めー

レストランで偶然居合わせた少年院の主任看守だった男に、自分たちが誰なのかを正面から問いただし思い出させた後、ためらうことなく、全弾を撃ち込むようにして射殺し、レストランの勘定を丁寧に支払って去っていく

ほどなく彼らは警察に拘束され、裁判の準備が進むなかでー

地方検事の男と新聞記者の男は、この事件の発生後しばらくして街の外れの暗がりで落ち合い、煙草を吸いながら、二人だけの密談ーある”計画”を練り始める

”冴えない検事”マイケル役のブラッド・ピット

”ヘルズ・キッチン”を裏で支配し続ける老いたマフィアの王
少年院で撲殺されたリゾの実兄ー現役のマフィアの王
幼少期から4人を見守り続ける神父
アルコールと薬物中毒の弁護士
新聞記者の幼馴染の恋人
無名の市井のひとびと、町の歴史と空気、暴力をふるう者とふるわれる者
LA、”ヘルズ・キッチン”-

被告側の重要な証人として裁判に出廷する、聖職者役のデニーロ
この陰惨で重厚な物語を、脇でしっかりと支えている

それら全てが、この4人の少年院で起こった陰惨な真実を認めたときに、正義とは何なのかという疑問をつきつけて、この物語の幕は落ちる


原作はロレンゾ・カルカテラの「SLEEPERS」
少年院に入った過去を持つものへの隠語で、かれはこの物語は「時代と都市を変えた事実」と主張しているが、NY州はこれを前面否定

ラストシーン




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