見出し画像

#050 プロマネのお仕事(序章2) - PMBOK とは

画像1

今回は、「プロマネのお仕事」の第2回。
具体的な仕事の進め方に入る前に、PMBOK という、世界中で使われているプロジェクトマネジメントの教科書を紹介したいと思います。

PMBOK とは

PMBOK とは、"Project Management Body of Knowledge" の頭文字をとったもので、プロジェクトマネジメントに関する先人達のノウハウをまとめた本のこと。「ぴんぼっく」と読みます。
要するに、世界中の優秀なプロマネさんがどういう仕事のやり方をしているかをまとめたもの、ですね。

かっこいい言葉で「ベストプラクティス」などということもあります。
「PMBOKはプロジェクトマネジメントのベストプラクティスを集めたものです!」なんて言うと、ちょっとドヤ顔できます。おすすめです。

PMIという団体について

PMBOKを発行しているのは、PMI(Project Management Institute - プロジェクトマネジメント協会)という非営利の団体。
Webサイトはこちら。本部がアメリカにあることもあり、英語です。

Project Management Institute | PMI
https://www.pmi.org/

日本にも支部があります。

一般社団法人 PMI日本支部
https://www.pmi-japan.org/

入会費 $10 + 本部年会費 $129 + 支部年会費 $50 、合計 $189 を支払うことで、個人で PMI の日本支部会員になることができます。
(日本支部には入会しないで、本部会員だけになるのであれば、支部年会費の $50 は不要です。)

会員になるにあたって、会費以外の資格は特に必要ないようです。

PMBOK の入手方法

PMBOK は以下の方法で入手できます。

画像3

(1) PMI の会員になり、PDF をダウンロードする。
PMI 会員であれば、PMBOK 全文の PDF ファイルを無料で入手できます。英語版・日本語版、どちらもあり。
詳細は上の PMI の Web サイトを参照して下さい。

(2) 書籍版を購入する。
Amazon や PMI のブックストアから書籍版が購入できます。PMI 会員だと割引あり。
Amazon のリンクは以下です。最新版は第6版になります(2020年2月現在)ので、間違って第5版を買わないようご注意下さい。

PMBOKガイド 第6版(日本語)
https://amzn.to/2tPAZAM

ただ、最初から PMBOK 全文が必要になることは無いと思いますし、正直、内容が複雑でわかりにくいので、もしこれから PMBOK を勉強されるのであれば、PMBOK のエッセンスを解説した参考書を読む方が良いと思います。

以下におすすめの本をあげておきます。

図解入門よくわかる 最新PMBOK第6版の基本
https://amzn.to/3aNypM1
プロジェクトマネジメント標準 PMBOK入門: PMBOK 第6版対応版
https://amzn.to/2RAu2wp

PMBOK には何が書かれているのか

以下、PMBOK に書かれている内容を1枚の図で表してみました。
わかりやすいように、「10の知識エリア」「5つのプロセス」によるマトリックスでまとめられており、表の各セルに「具体的に何をすればいいのか」が書かれています。
(以下の図で空白になっている部分については、次回以降詳しく説明していきたいと思います。)

PMBOK_知識エリア

「知識エリア」というのは、プロマネに必要なテクニックを10の分野に分けたもの、
「5つのプロセス」というのは、プロジェクトの進行に応じて、各フェーズにおいてどのような作業が必要になるかを分けたもの、です。

例えば、上の図の(A)の部分には、「コスト」に関して、プロジェクトの「計画」フェーズにおいてやるべきこと、具体的には、
・コストの見積り
・予算の設定

などが含まれます。

同じように、(B)には「品質」に関して「監視・コントロール」フェーズでやるべき、
・品質管理
活動が、(C)には、「コミュニケーション」に関して「実行」フェーズでやるべき、
・情報の配布
に関するテクニックが書かれています。

ほかの白いセルにも、それぞれいくつかのテクニックが書かれており、その内容を参考にしながら業務を進めることで、プロマネとして上手くプロジェクトが運営できるよう設計されています。

だんだん自分にもできそうな気がしてきたのではないでしょうか。
まさに PMBOK はプロマネにとっての虎の巻、だと言えると思います。

PMBOK の難しさ

しかし、この PMBOK には大きな問題があります。とにかく内容が多くて、一つ一つが複雑なのです。
ちなみに、PMBOK 第6版のペーパーバックは何と769ページ。持ち歩くだけでも一苦労です。
そこに書かれていることをすべてきちんとやろうとしても無理です。

過去にプロジェクトマネジメントを導入しようとしたが上手くいかなかったケースというのは、ここに書かれていることをすべてきちんとやろうとしてしまったために、途中で挫折したケースが多いのではないかと思います。現実の場面においては、「上手く手を抜くこと」が重要です。

次回以降について

さて、次回以降、この PMBOK の各知識エリアを詳しく見ていこうと思います。

しかし、上でも書いたとおり、全部きっちりやることは無理。
特に中小企業においてはその必要もありません。

原子力発電所の制御システムの開発と、中小企業の社長の奥さんが新しくネット販売を始める場合とでは、求められるプロマネの仕事は異なるはずです。
PMBOK で書かれたそれぞれの内容に優先順位をつけ、効果の大きい取り組みに絞って、できるだけ簡単なやり方で取り組むことが重要です。

次回以降の詳しい説明では、5-6人規模の、小・中規模のプロジェクトで役に立つプロマネの仕事の進め方についてまとめてみたいと思っています。

中小企業においては、常にリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)には限りがあります。プロマネと言っても専任でその仕事だけをすれば良いわけではなく、日常業務と掛け持ちでやらなければいけないことが多いでしょう。プロジェクトに参加するメンバーも、そのプロジェクトに100%時間を割けるわけではないと思います。
こうしたリソースが限られた状況の中でもすぐに効果が出るプロマネの進め方について、私のノウハウをまとめていきたいと思います。

5-6人といっても、中小企業においてはかなり大きなプロジェクトのはずです。
このくらいの規模のプロジェクトがきちんと回せれば、大抵の業務には対応できるのではないかと思います。

まとめ。

(1) PMBOK とは、Project Management Body of Knowledge の頭文字をとったもので、「ぴんぼっく」と読みます。プロジェクトマネジメントに関する先人達のノウハウを体系立ててまとめた知識体系です。

(2) PMBOK は、1987年にアメリカのプロジェクトマネジメント学会(PMI)によって初版が発行され、その後改訂を繰り返し、現在は2017年9月に発行された第6版が最新版になっています。PMBOK の PDF 版は PMI の会員であれば無料で入手可能。書籍版は Amazon 等で購入することができます。

(3) PMBOK は、「10の知識エリア」と「5つのプロセス」のマトリックスに体系立てて整理されており、これまでの QCD 管理ではカバーできなかった、プロジェクトマネジメントに必要なマネジメントのテクニックがまとめられています。具体的な内容については、次回以降この note で紹介していきたいと思います。

----------
(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?