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#034 「問題」と「課題」の違い

問題と課題

今回は軽めのネタで。

診断士2次試験の勉強の際に必ず注意するように言われるのが、設問で聞かれているのが「問題」なのか「課題」なのかを間違えない、ということです。

この「問題」と「課題」という言葉、余り区別せずに使っていることも多いかもしれませんが、少なくとも診断士試験においては明確に意味が異なります。
また、普段の仕事においても、これらの意味を明確に使い分けることができると、今注目している話題が何かをはっきりさせることができ、仕事をスムーズに進めることができるようになります。

「問題」とは

「問題」とは、「望ましくない状態」のことを言います。

「望ましくない状態」なので、そこには、何かしらの「望ましい姿」があると思って良いです。
例えば、「今日、お昼ごはんに牛丼を食べる」ことが望まれる場合、「財布の中に100円しかない」というは問題になります。100円では牛丼は食べられないからです。

ちなみに、Google 翻訳で「問題」を英語にしてみると、第一候補として "Problem" を提案してくるようです。特に違和感ないですね。

Google翻訳-問題

「課題」とは

「課題」とは、「望ましくない状態を無くすためにやるべき事」のことを言います。
「望ましくない状態」=「問題」なので、「問題を解決するためにやるべき事」と言い替えても良いです。

「問題」は、一般的に「〜でない」という言葉で表現されるのに対し、「課題」は「○○する」という言葉で表現されることが多いです。

「牛丼食べたいのに財布に100円しかない」という問題に対する課題としては、「職場の知り合いに500円借りる」とか、「小銭を持ち歩かなくて良いように携帯にキャッシュレス決済のアプリを入れておく」とか、「そもそも普段から財布の残金を気にするように心掛ける」といった内容があげられるかと思います。

ちなみに、Google 翻訳で「課題」を英語にしてみると、"Task" という訳が表示されました。この訳、「やるべき事」というニュアンスがはっきりしていてわかりやすいと思います。

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問題と課題の違い

先日行われた診断士2次試験においても、問題と課題を意識して使い分けることは非常に重要です。
例えば、「D社の財務上の課題を100字で述べよ」みたいな設問があった場合、問われているのは「課題」なので、「自己資本比率が低いこと」などと回答してしまうとあまり点数は期待できません。
ここでは、「課題」であることを意識して、「自己資本比率を上げるために不要な固定資産を売却して負債を減らす」などと書く必要があります。

日常の業務においても、今自分が意識しないといけないことが、問題(Problem)であるのか、課題(Task)であるかを分けて考えることができると、仕事をスムーズに進めることができるようになります。
例えば会社で業務改善を行うような場合、まず現状をきちんと観察して問題を明確にしたうえで、その問題を解決するための課題を検討する、という流れを意識できると良いです。

加えて、課題の設定を行う際、事前にその問題の本質をきちんと掘り下げて考えておくと、より質の高い課題を設定することができるようになります。

例えば、
・どれだけその問題をシンプル・簡単に解決できるような課題を設定できるか
・小手先の対応ではなく、その問題の根本原因を解決するような課題を設定できるか
・目先の問題だけでなく、他の問題もあわせて解消できるような課題を設定できるか
・そもそもその課題設定は実行可能なものなのか

などなど、きちんと順序立てて考えることで良い課題を設定することができれば、業務のアウトプットが変わってくるように思います。

まとめ。

(1) 「問題」とは「望ましくない状態」のことをいいます。英語だと「Problem」という単語が意味が近いと思います。例えば、「工場の5Sができていない」「営業利益が低い」といった、「〜でない」という言葉で表現されます。
(2) 「課題」とは、「望ましくない状態を無くすためにやるべき事」のことを言います。英語だと「Task」という単語が意味が近いと思います。例えば、「5Sを徹底するために掃除の時間を設ける」「営業利益を上げるために商品の付加価値を上げる」とった、「〜する」という言葉で表現されます。
(3) 何かしら業務の改善を行う場合、まず現状をきちんと観察・認識して、解決すべき「問題」を明確にし、その問題を解決するための「課題」を明確にする、というステップで取り組むと、議論が発散しなくて良いです。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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