#097 プロジェクトマネージャの資格を取得しました
こんにちは。中小企業診断士の多田と申します。
先週12月25日(金)は、今年10月に開催された「情報処理技術者試験」の合格発表日でした。
昨年の「ITストラテジスト」に引き続き、今回「プロジェクトマネージャ」の区分を受験し、無事合格することができました。
IPA とは
この「情報処理技術者試験」を主催しているのは、経済産業省所管のIPA(情報処理推進機構)という独立行政法人です。
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/
資格試験を通したIT人材の育成、情報セキュリティ対策に関する諸々の施策、等を行っています。
今回受験した情報処理技術者試験も、技術者に目標と刺激を与えることで、技術の向上を計ることを目的の一つとしています。
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験:試験の概要
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_08gaiyou/_index_gaiyou.html
プロジェクトマネージャ試験とは
今回私が受験した「プロジェクトマネージャ」試験は、この IPA が主催する情報処理技術者試験の1つ。
情報処理技術者試験は、認定するスキル毎に全部で13の区分に分けられており、
(以下の図はIPAのWebサイト https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html より抜粋)
プロジェクトマネージャ(通称PM)は、これら試験の中で「高度試験」というカテゴリに分類されています。
IPA による説明に、
高度IT人材として確立した専門分野をもち、システム開発プロジェクトの目標の達成に向けて、責任をもって、プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画)を作成し、必要となる要員や資源を確保し、予算、スケジュール、品質などの計画に基づいてプロジェクトを実行・管理する者
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html
と書かれているように、ITシステム開発プロジェクトを遂行するプロジェクトマネージャとしての知識と経験をテストする試験です。
今回の試験の合格率は、受験者約1万人に対して15%くらいとのこと。
試験の概要
プロジェクトマネージャの試験は、午前2科目、午後2科目の合計4科目で行われます。
・午前I(50分): 主に一般的な IT 分野の知識について。4択 x 30問。6割で合格。
・午前II(40分): 主にIT分野全般とプロジェクトマネジメントに関する知識について。4択 x 25問。6割で合格。
・午後I(90分): プロジェクトマネジメントの知識と実務に関する記述式。3問中2問選択、基準点以上で合格。
・午後II(120分): 出題テーマにあわせて、プロジェクトマネジメントに関する自分の経験を記述する論文試験。2問中1問選択。A〜Dランクで判定され、Aランクなら合格。
午前 I に関しては「科目免除」という仕組みがあり、決められた条件を満たしていれば受験が免除されます。
私は、昨年の高度試験に合格していることもあり、午前1は免除でした。朝早いのはもともと苦手ですし、最後に2時間の論文試験があることを考えると、この試験がないだけでだいぶ楽になります。
午前 II は、IT に加えてプロジェクトマネジメントに関する試験が加わります。このnoteでもこれまでまとめてきた「PMBOK」や、IPAが発行している「共通フレーム」等の問題が入ってきます。
午後からは専門性が強くなってきます。
午後 I は、企業の事例を読んでそのプロジェクトマネジメントの課題やプロマネの意志決定の意図を記述式で答える試験。
基本的には与件文からプロジェクトの状況をきちんと把握し、該当部分を抜き出して解答すれば正解できる問題です。
特に意地悪な問題は無いので、きちんと状況把握ができればそんなに難しくないと思うのですが、回答数が少ないので、1問間違えると一気に得点を失ってしまう、緊張感のある試験です。
3問のうち、最も難しい1問を試験開始直後に見極めて解答から外す判断力も重要です。
最後は午後 II 試験。問題文にはキーワードやテーマしか書かれておらず、そのテーマに従って自分の経験を論文にまとめなければいけません。
私は「問1」の「未経験の技術やサービスを利用するシステム開発プロジェクトについて」を選択し、私が過去実際に見聞きした「Webサイトの再構築プロジェクト」を例に挙げて2,000〜3,000字程度の論文を書きました。
知識と経験の両方を問われる試験
この試験が特徴的なのは、やはり午後 II の論文試験だと思います。問題文には、「あなたが携わった新技術を利用したシステム開発プロジェクトにおける…」のように書かれており、実際に受験者が経験したプロジェクトに対するマネジメントの経験を論文にまとめる必要があります。
実際にそのプロジェクトに関わった証明書を提出するわけではないので、書く内容は「作り話」でも構いませんが、2時間という限られた時間で題意に沿った大量の文章を書こうと思うと、やはり実際に経験していないことを書くのは相当難しいのではないかと思います。
ちなみに、同じようにプロジェクトマネジメントの実力を測る試験として、PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)が行う PMP 試験があります。
PMI® 試験・資格について|一般社団法人 PMI日本支部
https://www.pmi-japan.org/pmp_license/
こちらの試験に関しては、受験をするための条件として、3年以上のプロジェクトマネジメントの実務を行っていることの証明書(第三者の署名が必要)の提出が必須となっています。
プロジェクトマネージャは、単に知識を持っているだけでは不十分で、その知識を現場にあわせて適用していく実践的な経験を有していることが重要であることの表れだと思います。
今後に向けて
今回合格した「プロジェクトマネージャ」試験は、何らかの独占業務(その資格を持っていないと行うことができない業務)を与えてくれるわけではありません。
そのため、資格があるからといって、特に新しい仕事が増えるわけではありません。
ただ、ありがたいことに、今年に入ってから、この note をご覧になった方から「自社のプロジェクトマネジメントについてアドバイスを頂きたい」というお問い合わせが増えてきています。
今回、この試験を受けることで、体系的に知識を再整理することができたのに加え、これまで自分が関わらせて頂いた経験の棚卸しを行うことができました。こうした知識や経験を今後の業務に活かしていきたいと思います。
まとめ。
(1) 中小企業診断士としての自らの専門性を高めるために、IPAのプロジェクトマネージャの資格を取得しました。
(2) 今回受験した IPA の試験では、午後IIにおいて、PMBOKなどの知識を実際のプロジェクトの現場でどのように活用してきたかの経験を問われます。プロジェクトマネージャとしての実力を測る別の試験、PMP でも実際のマネジメント経験があることが重視されており、知識だけでなく、経験が重要なプロジェクトマネージャという業務の特性が表れていると思います。
(3) 今回、この試験を受けることで、体系的に知識を再整理することができたのに加え、これまで自分が関わらせて頂いた経験の棚卸しを行うことができました。こうした知識や経験を今後の業務に活かしていきたいと思います。
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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)
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