内田ユキオ "ユッキー"

本と音楽、映画、落語、ロードバイク、革靴が好き。 マニアじゃないけど、こじらせ気味。 …

内田ユキオ "ユッキー"

本と音楽、映画、落語、ロードバイク、革靴が好き。 マニアじゃないけど、こじらせ気味。 新潟県佐渡生まれ、横浜育ち、東京在住。

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写真家が自転車に恋をして #01

写真は自転車の喜びを、自転車は写真の楽しさを、深めて広げてくれると思うのだけれど、意外と両立するのが難しいです。 ロードバイクを快適に乗ろうとすると、速さと効率を求めるようになり、カメラの重さと大きさ、それを入れておく場所に悩まされることになります。 ストップ&ゴーが最も負担になるから、気になったところで足を止めてぱちぱち撮るというのも、実際には難しくて。 自転車が好きになってからまだ時間が経っていないので、出会いや気持ち、思いついたこと、試してよかったアイテムなどを忘れて

    • 軽蔑されてもいい

      500mlのコーラを買って、最後まで美味しく飲めたのは遠い日のこと。でもそれを渇望していた自分が懐かしくて、やっぱりまた買っちゃいます。 渇望っていい言葉だな。 GODardが神とされるのは名前のせいじゃない 今はどうかわからないけれど、8.90年代にサブカルに興味を持つとゴダールは乗り越えなきゃいけない壁で、最高傑作は「気狂いピエロ」か「勝手にしやがれ」のどっちかという風潮がありました。 どちらもタイトルが超かっこいい。いろんなところでパロディを見かけ、ポスターはオシャ

      • 近未来を舞台に描く過去

        A24の新作「CIVIL WAR」 日本での公開は10月のようです。いまノリに乗ってるA24で観客動員の記録を作ったそうだから超話題作。 テーマはメジャーだけれど視点はマイナーというか、すごくパーソナルで小さな声を丁寧に拾って、映像と音楽によってそれを際立てていく、というのがA24のスタイルに思えます。あなたのための映画ですよと語りかけてくる感じ。 本作もまさにそういった作りになっています。 ネタバレにならない程度に書くと、近未来のアメリカを舞台に、アメリカの州が対立し

        • 光と闇の、街と人

          Netflixの新作「エリック」 事前に内容を知らないで見たほうが楽しめると思ったので迷わずスタート。 すぐに80年代の治安が悪かった頃のニューヨークが舞台で、当時の社会を現代と対比させることで描きたいことがあるんだとわかります。 ハッピーで温かい古き良きコダックみたいなルックから始まり、シアンが強くてシャドウが多いアニー・リーボヴィッツみたいなルックが混じるようになり、カラーパレットとともに場面ごとに見事にコントロールされていて、映画「ジョーカー」を見たときのよう。これ

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        写真家が自転車に恋をして #01

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        記事

          懐かしむには近すぎて、憧れるには遠すぎる

          カルチャーの黒歴史みたいに言われていた80年代ですが、煌びやかな過剰さに憧れを抱く若い世代が増えているようです。 ださカッコいい〜! いささか窮屈になってきた現代から見て、表現に対して自由で寛容だった時代が懐かしく感じられる点でも再評価されているんでしょうか。 不適切バンザ〜イ! 余談ですが、電気グルーブの石野卓球さんがラジオにゲストで出ていたとき、最も80年代的だと思う曲としてKAJA GOO GOOの「君はToo Shy」を選曲して流していました。 邦題からしてダサい

          懐かしむには近すぎて、憧れるには遠すぎる

          自転車のレスキュー

          自転車に乗るなら保険はマスト ロードバイクはかなりスピードが出るから、自分の身体の安全について考えることも大事だけれど、対人保証が無制限の保険に入ったほうがいいよ と先輩に言われて、最初の車両を買ったとき同時に加入しました。今は義務になっているはず。 au損保のバイシクルというプランに加入していて、ロードサービス(何かあって走行不能になったとき車両をピックアップして指定の場所に運んでくれる)が頼めるのは知っていたけれど、お守りだと思ってました。 まさか発動する日が来る

          自転車のレスキュー

          故郷の佐渡を走る #03

          どの自転車を持っていくか決めて、カメラを決めたら、ACROSをカスタムして登録するところから始めました。 故郷を走りながら写真を撮るのは、対話のようなものであって、刻々と変化していく自分の気持ちを残しておく意味があるので、RAW現像なんてもってのほか。 天候に恵まれなかったら色鮮やかな写真は撮れないかもしれないけれど、佐渡の険しさは撮っておきたい。 クラシッククローム、クラシックネガ、ノスタルジックネガ、エテルナブリーチバイパス、どれも秋の佐渡と相性は良さそうだけれど、それ

          故郷の佐渡を走る #03

          故郷の佐渡を走る #00

          佐渡観光の概要 電車がなく、バスの本数も少ないため、佐渡観光はバスツアーかレンタカーが一般的です。 レンタサイクルもありますが、店を拠点にして十数キロ圏内を巡るというような楽しみ方に向いていないと思います。100kmを走れるなら,今回のぼくのように自転車で回ることは可能です。 ショートカットするにしても島を一周するプランになるでしょう。 佐渡観光はビュッフェのようなもので一品料理ではなく、金山だけ見られればいいや、たらい舟に乗れれば悔いはない、なんて人は少ないはず。一周し

          故郷の佐渡を走る #00

          故郷の佐渡を走る #02

          横浜に住んでいた小学生のときニコンを手にして写真を始めて、高校生のときに憧れだったキヤノンを手に入れ、写真の道に進む夢を抱きつつも挫折して上京した。いつか趣味として写真をまた始めようと思いながら、七年間ほどカメラを手にすることもなかった。 ニコンを抱えて島に渡り、キヤノンを置いて島を離れた、ということになる。 母を早くに亡くして、父は無口だったから、幼い頃のことは多くを知らない。上野から夜行電車に乗って、船も今とは全く違ったはずだけれど、ネットにある情報と一致しない。家の事

          故郷の佐渡を走る #02

          故郷の佐渡を走る #01

          ロングライドの大会が開催されることもあって、サイクリストにとって佐渡は有名なようだ。 自転車と一緒にフェリーで島に渡り、信号が少なく海に沿った200kmほどの周回コースを走る。途中にふたつの厳しい坂があり、その引き換えに得られる絶景がある。 達成感を求めて一日で走り切るにせよ、観光を絡めて宿泊するにせよ、"日本が凝縮されている"と言われるほど変化する景色と文化を感じられる。 季節や気候にもよるけれど、素晴らしいライド体験だと思う。 YouTubeにもたくさんの動画がアップ

          故郷の佐渡を走る #01

          #08

          ステイケーションとか呼ぶらしいけれど、自分の家の近くに泊まって非日常のバカンス気分を味わうことが一部で流行っているとか。 見慣れた街が違って見えるのでしょうね。 飲み過ぎて終電を乗り過ごしたわけでもないのに、興味があって新宿のビジネスホテルに泊まったことがあります。「ロスト・イン・トランスレーション」より前のこと。 窓を開けたら深夜一時過ぎなのにスポーツジムの明かりが見えて、ランニングマシンの上で走っている人がいて、奇妙な感覚でした。 翌朝はそこが新宿にも思えなかった。

          #07

          テレビのチャンネルを変えていて「あれ、これ見たことがあるぞ。なんて映画だったかな?」と考えていて、ユアン・マクレガーが出たところでわかりました。 ユアンは好きな俳優として名前が上がることは少ないけれど、映画を自分で選んでいるというのか、娯楽大作とマイナーながら良質な映画のバランスが最高。 洗練されているのに野生的でもあり、やや童顔なので映画に独特なムードを加えます。日本で公開されているものは全て見ていて、とくにこの映画の2010年ごろには好きな作品が多い。 懐かしくなって

          #06

          GRについて語るとき、我々の語ること といった内容のコンテンツが欲しくて、ネットを探してみたけれどちょうどいいのがなかったので、新しく連載を始めることにしました。 熱心なファンでありながら、ちょっと俯瞰した目線で書けたらと思っています。 GRはモデルごとに外観に大きな違いがなく、アクセサリーで飾るのにも限界があり、GR自身で撮るのが難しいこともあって、ブツ撮りのバリエーションが少ないので、そこに遊び心を持ち込みたいです。

          #05

          もしも写真がキメラのつばさだったなら 写真はタイムマシン それを見ればいつにでも戻ることができる と言われることは多いけれど、いつにでもじゃなくてどこにでも行けたらいいな、行けるんじゃないか、と思ってきました。 だから旅先で撮るとき、その場所ならではの雰囲気、風や匂いなど肌で感じていることも残せるようにしてきたつもり。 写真はありのままを写すんだから、そういうことが残って当然 と考えていた時期もありますが、あるときそれが簡単じゃないと気づきました。ガイドブックに載ってい

          #04

          ロバート・フランクも、そのフォロアーであるスティーブン・ショアも、車でアメリカを移動しながら代表作を撮っていったわけだけれど、日本の広さを考えたら自転車がちょうど と思ったところまでは良かったけれど、走って、止まって、降りて、撮って、という繰り返しでペースが掴めず、100km/dくらいが限界。 カメラをたすき掛けするともうちょっと楽になるものの、何かあったとき大丈夫かな・・・という不安が増して、走ることに集中できません。 自転車のほうが見つけやすい被写体、歩きじゃないと見

          #03

          写真にトレンドはあるか? 追うか、追わないかは別にして、仕事にしているからには流行に鈍感ではいられません。趣味だったらもっと敏感だったはず。 トーンに流行があるのは間違いないです。 ハイコントラストモノクロみたいに主流だったものへの反発から生まれることもあれば、アメリカンニューカラーのように機材の変化によって自然と生み出されていくものもあります。クロスプロセスやブリーチバイパスみたいに作り手側の模索から生まれることもある。 望遠レンズの時代から、広角レンズの時代への変化