たまには俺にもストレス発散させてくれよと夫がキレた
「なんでわたしの気持ちを分かってくれないの」
「精神障がい者のつらさなんて誰にも分かりっこない」
こんな気持ちになることは精神障がい者のみならず誰にだって頻繁にあるだろう。
わたしもしんどい時にはどうしてもこういう考えかたをしてしまう。
でも、いまはこのような考え方をしないように心がけている。
どんなに遅くても必ず終電で帰ってくる夫が連絡もなく遅い時間に帰宅したことがあった。ウチの夫は連絡もせずに終電より遅く帰ってくることは絶対に無かったので不安になった。
その日はめずらしく21時を過ぎても23時を過ぎても帰宅しない。仕事が忙しくて今日は終電まで帰れないなんていうことも、誰かと飲みにいっていて会話に熱が入ってしまい家に連絡するのがどうも間が悪くてしづらいということだって当然あると思った。
ところが、0時を過ぎても連絡がない。さすがに心配になった。LINEを見ても既読すらついていない。電話を鳴らしても出ない。事故にあったのかもしれない。とにかく夫の身に何かあったのは間違いない。こんな時はどうしたらいいんだろう、父に連絡しようか。
不安でしかたなくて、このままだとわたしもメンタル的にまずいことになりそうだと思いながら何をしたらいいのか分からず不安や恐怖心と闘っていると、3時ごろに夫が帰宅。
なんでこんなに遅くなったの?いままでどこで何をしてたの?誰と一緒にいたの?なんで連絡くれなかったの?わたしがどれだけ心配していたかわかってる?
こんな具合にわたしは夫にむかってワーッとまくしたてた。夫は何人かの同僚と羽目を外していたと言った。でも夫のシャツから女性の匂いがするのに気がついて、女の人と一緒にいたんでしょ!なに考えてるのよ!といった具合にさらに激高してしまった。
すると夫がいままで見たことのない表情をみせながら「いい加減にしろ!たまには俺にもストレス発散させてくれよ!」と怒鳴った。そして「いつもお前の面倒見るのがどれだけ大変か分かってくれよ」と言って、わたしの顔をじっと睨んだ。
わたしはびっくりして何も言えなくなってしまった。夫の剣幕に怯えたからというよりも夫がわたしに向けて放った言葉が強烈過ぎた。
わたしはそれから夫に何て言ったかあまり覚えていないけれど、すっかり意気消沈してしまった。
「そうだよね。あなたの言うとおりだよね。ごめんなさい」というような事を言って夫に謝ってベッドに入って泣いた。夫の言葉が頭の中をぐるぐると廻った。
夫はさすがに言い過ぎた、良くないことを言ったと思ったのか、すぐに私に謝ってきた。でもどう考えたって夫が放った言葉は彼の本音だし間違っていない。そうか、わたしがあんなことを言わせたんだと思った。
それから数日間は夫と気まずくなってしまい、わたしは体調を崩してしまった。
でもその時に思った。分かって欲しいとばかり言う前に、自分は一体どれぐらい相手のことを理解しようとしているのか、理解しているのか。
大変なのは障がい者の自分だけじゃない。わたしの保護者になって色々と面倒みてくれている夫も同じくらいか、時としてそれ以上に大変なことがあるのだろう。わたしにはあまりにも思いやりがなかったと思った。
いまは夫婦で「相手の気持ちは分かりっこない」だから「分かってくれないといって相手を責めない」と考えるようにしている。
「分からない」からこそ「コミュニケーションに手を抜かない」そして「出来るだけ正直に話し合う」イライラするぐらいなら「相手がしてくれるのを待たない。こうして欲しいと言う」こうするように夫婦で話し合って決めた。
夫もその方が気楽になったみたいだし、相手の気持ちを分かろう分からなきゃと考えながら過ごしていた頃よりもいまのほうが上手くいっているように思う。
でもあの日たぶん夫は浮気したんだと思う。そんな気がする。
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