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勉強することの大切さを甥に教えようとしたけれど

 義妹夫婦が家に来た。ちなみに義理の妹とはいっても私よりも7歳年上である。そんな義妹夫婦には6歳になる息子がいてこの子が滅法可愛い。そしてこの子は小学一年生なのだけれど勉強が嫌だという。
 まあ勉強が好きだという小学一年生は少ないだろうし私も勉強は好きではなかった。でも一応、なんで勉強が嫌いなのかと甥に訊くと勉強は難しいからだという。どこが難しいのかと訊くと…なんていう千日手になりそうな会話は早々に打ち切ったが、一言でいえばサッカーやゲームの方が面白いということだろう。
 じゃあお母さんとお父さんはなんて言っているのか気になったがそれはあえて聞かずにおいて、私は私なりに無い知恵を絞ってこの子に勉強の大切さを教えてあげたくなった。この子のためにというよりは何かいいことを言って自己満足に浸りたい気分になったからである。
 勉強しないとおばちゃんみたいな頭の悪い人になっちゃうよと言ってしまえば簡単なのだが、その答えで本当にその子ががむしゃらに勉強しだしたらそれはそれで私が傷つく。そこで無い知恵を捻って考えた。そして思いついた回答がこれ。
 「甥の家のクルマのタイヤの数はいくつって尋ねたらAさんとBさんは2つって答えた。 それはAさんもBさんもクルマを正面か真横からしか見たことがないから。 Cさんは3つって答えた。 Cさんはクルマを斜めからも見ることができたから。 Dさんは4つって答えた。 Dさんはクルマを全部の方向から見たことがあるから。 でもEさんはAさんとBさんと同じでクルマを真横からしか見たことが無いのに4つって答えた。 Eさんはクルマに人が乗ってまっすぐ走るためにはタイヤが4つ必要だって考えることが出来たから。」
 そして更に、
 「タイヤは2つしか見えなくてもいい。でももしかしたら2つじゃなくて3つかもしれないし4つかもしれない。そうやって疑問をもつこと。自分の目に見えることだけが全てだと思わないこと。いい?君が見ている世界は真っ暗な洞窟のなかを松明で照らしているようなもので云々」
 これが勉強をすることの意味だって甥に言ってみた。すると、甥曰くわけが分からないとのこと。そうか、残念。私にはこれ上手い説明が思いつかない。でも義弟は感心してくれたので1勝1敗の引き分けである。
 人に何かを教えるというのはとても難しいということを甥から教えられた5月の連休であった。
 

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