躁転でいちばん嫌なのは暴言を吐くこと

 数ある躁転のエピソードの中でもいちばん嫌だと思うのはキレて暴言をはくことである。かっとなると抑えられない。そして多分相手がいちばん言われなくないだろう言葉を浴びせかける。どうも私は一番言われたくない言葉を見つけ出すのが得意みたいで、ひとを怒らせたり泣かせたりするのはお手の物だったりする。
 躁転のときはツンとスイッチが入ったら止まらない。ただ感情に任せて相手の心に突き刺さるだろう言葉を吐きまくる。ひと言ふたことで済む場合もあれば執拗に責めたてる場合もある。感情的ではなく冷静な場合もある。ただどちらにしてもやってはいけない事に変わらない。
 それから私にはもうひとつ得意技がある。それは捨て台詞である。去り際にぺっと吐いていく悪態である。
 「まああんたみたいにしょうもない男とばかり付き合っているブサイクなボンクラには百万回言ってもわからんよな。ごめんなアンタには難しすぎたなホンマにごめんな」みたいな長いのから「しょーもな」みたいな短いものまでよりどりみどりである。
 でもキレる理由なんて全然些細なことだったりする。自分にとってものすごく大切なものだとか家族や恋人を侮辱されたみたいな、あーそれはキレるよな、というやつではなくて話をしている最中に相手がストローで飲んでいた飲み物がズルズルという音をたてたからみたいな、もうしょうもなさ過ぎてどうにかなってしまいそうな理由だったりすることもある。
 勿論誰だってこんなことを言われたらカチンとくるよなっていう場合もある。でも普通は聞き流すよねとか我慢するよねっていうことを我慢できない。我ながら本当に嫌だなって思うし、一体この特性のせいで何人の人たちを傷つけてきたのだろうと思うし、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
 私の暴言がいまでも頭から離れないという人もいるかもしれないしトラウマと化している人もいるだろうと思う。そういうことを思い出すたびに本当に自分は罪深いことをしたんだなと思うし猛省する。でもきっと許されることはないのだろう。
 すぐにキレることも暴言も治療を受けていればほぼ大丈夫なのではないか。私はだいぶ改善されたみたいで、いまではごくたまに父親にキレる程度である。あ、それでも駄目ですか?でも父親とは少なくはない因縁があるから勘弁してほしい。
 ところでちゃんと治療を受けているのにすぐにキレるし暴言が収まらないっていう人はいるのかな。
 もし私は怒りやすいとか、カッとなって抑えが効かなくなりがちだと自覚されている方は一度精神科や心療内科を受診してみるというのもアリかもしれないと思ったりもする。もしかしたらそれは性格の問題ではなくて病気かもしれない。治療すれば完治はしなくても今よりはよくなる可能性があるかもしれない(あくまでも可能性ですが)

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