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獣臭が鼻腔を通り抜けヤクになった気分になる嗜好品

昨日までのブータン旅行記はこちら

最近、アジア圏にしか旅行に行ってなかったせいか、あれもこれもおいしいと感じていた海外旅行。しかし、ブータンにいたっては、ついてからまだ本気でおいしいと思ったものに出会わない。

ヨーグルトケーキバタークリームケーキドライポーク、そし。

嗜好品は、たばこの好き嫌いがあるように人それぞれであるからして、ドマがわたしにあわなかったからといって日本人みんながあわないということもない。老若男女に愛されるブータンのドマは、きっと日本人でも、キターーーと感じる人がいるはず。

残念ながらノーキターーーだったため、他なる嗜好品はないか、と友人宅を物色していたら、友人のお母さんが何かをなめている。

「何食べてるの?」と聞いたら

「チュゴよ。あ、これなら食べられるかもね。ドライチーズだから」

ドライチーズ・・・それはもうすでに体験済み。
そのときのお話はこちら

かなり渋い顔をしていたら

「これは柔らかいから、いけるわよ」

というもんだから、よせばいいのに試したくなった。

最初はガッチガッチの固さで、なにが柔らかいのだと思いつつ、なめなめしていくと確かに口の中の溶け具合が早い。
ただ、やはりなめてもなめても甘さは感じず、乳臭さが鼻腔を通り抜け、身体の隅々まで染みわたり、自分がヤクになった気分になる。

100個くらい食べ続けたらみんながいうミルクの甘味を感じるのだろうか。

ちなみに一番ハードなのがこれ。ヤクから絞り出した乳でチーズを作り、布で縛って水をぬく。カットして紐に通して乾燥させ、囲炉裏で燻す。するとこんな褐色のチーズが出来上がる。

燻すっていうと、我が故郷の郷土料理「いぶりがっこ」を思いだして、おいしそう!に聞こえるのだが、どっこい、まったく味がしない。固すぎて、歯が折れそうだし、あごがはずれそうになる。


色もサイズもさまざまでお気に入りのお店を見つけるのが一苦労だと友人はいっていた。とかなんとか言いながら、ドマと同じようにドライブ中になめなめするのに欠かせないらしく、いつも買い求めていた。

若干ソフトなチュゴは確かに食べやすいが決しておいしいとは言えない。なめた後は、お口直しの水が必須。なんだったらコーラとか味のあるものが飲みたくなる。

とはいえ、なんでもかんでも渋い顔して、ブータンの料理が全部食べられないのも申し訳なく、やわらかめの初心者に優しいチュゴを小さくカットしてもらい、たまになめさせていただいた。

それがみんなの目には、わたしのブータンでのフェイバリットと勘違いされ、帰る日に紐でつるされたチュゴ5セットを袋詰めしようとしたので丁重にお断りさせていただいた。

郷に入らば郷に従えとはよくいったもので、従っただけで帰国したらおいしい日本食が待っているし、バラマキ土産的に配ったとしても口が肥えた日本人たちが気に入るわけがない。

今思えば、ネタ的に1本持って帰って試しに食べさせればよかったと後悔。好きだという人がいるかもしれないし。

今後、おいしいと感じられるブータン料理に出会えるのだろうか・・・次につづく


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