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まつ毛もタオルも凍るノルウェーのアフターサウナ

トルコのハマムおばちゃんの次に思い出したのが、ノルウェーでのサウナ体験。

沢木耕太郎氏の深夜特急にかなり刺激をうけてのバックパッカーだったので、女一人旅にも関わらず、人の親切は、基本ありがたく頂戴するというスタンスで旅をした結果、いたるところで知り会いができ、住所の交換をした。

社交辞令という言葉はわが辞書にはないので(←誰かがいっていたのを気に入って使いまくっている)、いただいた住所を大切に保管し、本当にその家族がいる国にいくときは連絡し、よくお世話になったものだ。当時はメールの交換もしたが、いちいちインターネットカフェに行かなければいけないわずらわしさもあり、突撃で電話をしていたという。

中でも先日の記事でも書いた、ギリシャで出会ったノルウェー家族には本当に感謝してもしきれないほどの恩がある。
出会いと日本でのおもてなしの結果はこちら↓

ノルウェーの北に位置する北極圏最大の街「トロムソ」に住む家族は、ギリシャでもさんざんお世話になったばかりでなく、ノルウェーの自宅に泊めてもらい、なんだったらスカンジナビア航空勤務の旦那さんのおかげで帰りのオスロ行きは、安いフライトチケットもいただき、至れり尽くせり。

しかも、図々しく1週間半も滞在し、オーロラとビールを堪能させていただいた。

この家族の家には、なんと自宅サウナがあり、自由に入っていいといわれ、冷えた体を温めるべく毎日のように入らせていただいた。

ノルウェーの首都オスロではサウナに入ったあと海にそのままダイブするなんていうアドベンチャー的なサウナが流行っているが、わたしがノルウェーに滞在したのはオーロラを見ているくらいだから真冬。海にダイブしたら心臓麻痺で死んでしまう。

サウナでたっぷり汗をかいても、外に出た瞬間、かなりの勢いで体が冷えるというか凍るほどだった。

雪の上に座って少しクールダウンしようと、タオルを広げた瞬間、ピキーンとまっすぐに凍ってしまうほどの凍てつく寒さ。
そのバキバキに凍ったタオルの上に座ると、硬さと冷たさで1秒も座ってられない。

しかも、まばたきした瞬間、上下のまつ毛が凍ってくっつき、目があかなくなるおまけつき。

恐るべし寒さである。

体とまつげを解凍をするべくサウナにすたすたと戻る。

市街地に家があったのでサウナに入りながらオーロラ待ちもしていた。ご家族はオーロラなんて毎年みているから興味がなく、サウナに入りながらオーロラ待ちしてみればと言ってくれたので、それはなんと素敵な提案!とばかりにサウナに入りオーロラを待っていたのだが、そもそもこんな具合なもんで、外に長時間いられない。

ノルウェーお母さんが

「オーロラ出てるわよ。見ないの?」

とわざわざサウナまできて、声をかけてくれるも、寒くて出られない。
出たとしても瞬時にまつ毛が凍り、オーロラが見られないのだ。

ということで、サウナでオーロラ待ちはあきらめ、次の日からきちんと防寒対策をし、チビたちに家の中からオーロラパトロールをしてもらい、オーロラ合図があったら、外に一人で見に行くというかなり家族を使いまくったオーロラ観測をさせていただいた。

運がいいことに初日にオーロラ爆発なる、色とりどりのオーロラを見てしまったせいで、そのあと普通の緑色のカーテンには興味がなくなり、家族と一緒に温かい暖炉を囲んでビールを飲んで過ごしたノルウェーの日々。

ビアホールにビールを飲みに行った時も近くにいた人が
「おい、オーロラ出てるぞ」
とわざわざ教えてくれたのに、
「うん、寒いからいいの」
といったら
「ノルウェーにこの時期にきて、オーロラに興味がない観光客いないんだけどな」
と笑われた。

そんな昔話をしていたら、サウナの横に新たに小屋を作り、くつろげるベッドも置いたとの新情報をゲットしたので再訪したいと思っている。

ちなみにトロムソにはノルウェーの北端の街から沿岸急行線にのっていったのだが、この船の上からのオーロラが言葉にならないくらい美しかった。

オーロラが見えると、オーロラ出てるぞのアナウンスがある。もっている服を全部きて、皮膚も髪の毛もすっぽりおおった恰好で、海風が突き刺さる恐ろしく凍えるデッキからみたオーロラは、この世のものとは思えない幻想的な風景で、寒くて動けないのか、美しすぎて動けないかわからないほど心震える景色が広がっていた。

4Kだの8Kだのでオーロラは見られるから寒い中、別にいかなくてもいいだろと思う人もいるかもしれないが、これぞ百聞は一見にしかず。
オーロラは映像で見るのと自分の目で見るのとでは全然違う。
現に、なんと表現していいものやらわからないでいるくらいだ。

今度は夏に行くと約束したものの、やはりオーロラをまた見に行きたい。

「サウナの中からオーロラ見られるように屋根を改造し、開閉式、もしくはガラスにしてもらえないだろうか」

と提案したら、

「sounds good」

と乗り気なノルウェー家族。DIYが好きなお父さんだから本当にやりそうだ。

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