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ハイボールと、クリームコロッケと、小学校の先生がやりたい「絵空事」

「運動会のダンス、みんなで考える会みたいなのやってみたいんだ〜!ま、難しいと思うけどね〜!」

そんな話をしてくれた先生がいた。1月の土曜日。13時。渋谷で。お通しで出てきたクリームコロッケをつまみにハイボールを飲みながら。


クリームコロッケって、おつまみになるんだよね。時々お通しで出るお店あるけど、そのたびに「なんてハイボールに合うんだ〜!」って感動しちゃう。だから、お店で見かけると頼みたくなるんだけど、1巡目の注文では頼まない。2巡目でもまだ頼まない。3巡目、今だ!と思うんだけど、お腹いっぱいになってしまっている。そんなことが多くてなかなかありつけないクリームコロッケ。それでもキンキンのハイボールと熱々のクリームコロッケのコラボを叶えたい。次見つけたら1巡目で頼もうって心に誓うのだけど、同じことをしてしまう。だからお通しで出してくれるお店にいつも感謝している。ありがとう、お通しのクリームコロッケ。今度こそは単品で頼むぞ。

そんなことを私はしみじみ考えられる、穏やかな会話ができる時間と空間だった。その雰囲気は、一緒に飲んでいる先生が作ってくれていたんだと思う。

その先生とはオフラインでのイベントで出会ったのをきっかけにやりとりし始めて、「いつか落ち着いた頃にゆっくり話したいね〜!」と言っていて、ついに実現したのが出会ってからちょうど1年くらい。先生たちが「落ち着く頃」なんて夏休みや冬休みしか無いのである。そこにだっていろんな予定を入れたいはず。そんな「数に限りのある落ち着く頃」を私に使ってくれることに感謝しかない。

その先生のこと。出会ったオフラインのイベントでも感じたことだけど、「教員やっています」と言われなければ「渋谷のオフィスで、アパレル系か美容系の会社の企画とかしている人」と思ってしまいそうな、そういう外見をしている。つけているネックレスも「アラサー女子が一度は憧れるアレ」。話す内容も服のこと、美容のこと、趣味のこと。

教員ではない自分をしっかりと生きている、そんな先生と話す心地よさと進むハイボール。だから私も「教育」ではなくしみじみと「クリームコロッケ」に思いを馳せてしまった。反省はしていないし、むしろ結構ポジティブなきもち。

でも、進むにつれて出てくる「先生」の顔。

「体育の学習指導要領の位置付けとか、教育的な価値とか、なんかそういう崇高な話になっちゃうとツライ。運動会の表現を作ることも指導することも、意味がすごくあると思ってやってる。だって子どもたち、生き生きキラキラしてるんだもん。でも、それだけじゃダメなんだとしたら、自分は先生って仕事は向いてないのかなとか、考えちゃうなあって。」

「それぞれの好きなこととか、ちょっと得意なこととか、いくら考えても楽しいことを楽しくシェアしあえるようなことができたら良いよね。自分にとってはそれはダンス。だから、運動会のダンスをみんなで一緒に考える会とかやってみたいんだ。」

「ま、難しいと思うけどn「え、やればいいじゃん!」

最後まで聞けず食い気味に言っちゃった私。黙っていられなかった。めちゃくちゃ楽しそうじゃん。あと、やってほしい人は絶対いる。求めている人が絶対いる。そう思った。

あとあと、一旦叶えてみて欲しかった。小さく叶えてみることできっと「ああこういうことがしたかったんだ」とか「これは意外としっくりこないけど、ここはもっとやってみたいな」とかきっと頭と心に湧いてくる。

私は、そういう「教育のためな気がするんだけど、なんか、それをそれらしい言葉で整理できない。でも、自分はこれは先生のためだと思うし、だからゆくゆくは子どものためだと思う。何よりそれをやることが自分のためで、それを考えるとワクワクが止まらない。」そんな人のお手伝いがしたい。

というわけで、やってみた。4月の日曜日。

運動会表現を考える会。新宿で。レンタルルーム借りて。お菓子とかドーナツとか食べながら。わいわいとみんながコミュニケーション取れるくらいの人数でやりたかったから10人ちょっとで。

参加してくださる方々には、最初にこうやって伝えておいた。

オープンチャットで最初に伝えたこと

「すごいこと」とか「権威性」とかじゃなくて
自分の経験や楽しいを、助けてほしい人にシェアする

なんか手札が増えたな〜
これでなんとかなりそうだな〜

そんな気持ちでレンタルルームから出られることを目標に。

お菓子食べながら ワイワイやりながら

ダンス得意な先生がいてアドバイスをする。
育休中の先生がいて経験した表現の手札をシェアする。

若手で表現担当になった先生が教わりながら作る。
ああでもこうでもないと言いながら一緒に作る。

こんな隊形移動やったことあるよ〜って

終わってからもらった感想

育休中の先生から
不安だった先生から

「自分には何もない」と思っていたけど
誰かのためになって、子どものためになって
強みにして良いのかも、価値にしても良いのかも

そうやって思ってもらえた1日を作れたのは、キンキンのハイボールを飲みながら、熱々のクリームコロッケを食べながら、先生の「好き」や「思い」にゆるやかに触れたあの時間があったから。

「今度打ち上げやろうね。ゆきこちゃんを連れていきたい餃子やさんがある!」

こうやって次の約束がつながっていく。もしかしたら新しい企画の旗が立つかもしれない。立たないかもしれない。でも、いつかきっと、つながっていく。

あなたの叶えたいことも、言ってみることからかもしれない。
酒飲み場の絵空事も、まずは空に描いてみることからかもしれない。



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