大切なのは、何が大切か忘れないこと
ある子は、朝、お母さんと離れるときに不安顔。泣き出して、行きたくないと言う。ここにいるから大丈夫だよの声を聞き、おそるおそる部屋の中へ。周りの様子を見つつ、ここは安心できる場所なんだと思えると、少しずつ笑顔が見え、ぽつぽつと話し始めてくれる。
ある子は、何かを作ることが大好き。その子が作ることが大好きな気持ちを尊重し、困ったときはサポートする。全体でお話を聞くのは少し苦手だけど、もう疲れちゃったと言えること、自分なりにリフレッシュできる方法を持てていることはすごい。
ある子は、自分がやりたいことをどんどんと。今はこれを楽しんでいるんだよね、こうやって工夫しながらやってるのはすごいねと見守る。他の友達も自然に関心をもって、何してるの?そうなんだ、おもしろいねと受け入れる。
「子どもを大切にする」ってどういうことなんだろうと考える。
子どもが過ごす場所、育っていく場所、そういう場所を作ってる側の人たちは、子どもを大切にすることを何よりも大切にしなきゃいけないと思う。
でも、この「大切にする」ということが抽象的で、掲げられてはいるけれどどういうことなのかがわからなくて、実現されていない環境もあると思う。
大切にする。
「尊重する」とも言い換えられる。
好きなこと、嫌なこと、得意なこと、苦手なこと、やりたいこと、やりたくないこと、感じてること、思ってること。「子どもだから」じゃなく、一人の人としてそれらを尊重すること。
嫌なことでも、やりたくないことでも、やらなきゃいけない場面もあるかもしれない。でも可能な限りで、嫌なことに無理やり向かわせるのではなく、嫌さが少しましになるような、できれば楽しくなるような工夫を考えたい。
子どもを一人の人として尊重するには、大人側の余裕が必要なようにも思う。
40人学級をほぼ1人で見ていたときは、「尊重して」と言われたとして絶対無理だった。個々を尊重するよりも、大勢を「まとめる」力が必要だった。まとめながらも個々を尊重できる人もいるのだと思うけれど、相当経験を積んでいないと難しい。
人に優しくしてもらった経験があれば、人に優しくできる。尊重された経験があれば、誰かのことも尊重できる。
現場の子どもたちを見ているとそう思うし、そういう循環を作っていきたい。
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