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3位の男

とにかくキレやすい男だった。

通行人と肩がぶつかってケンカし、店に入れば店員を怒鳴りつけ、テレビを見ては演者にキレていた。

私に対してもよく怒っていて、言い方が気に入らないとか男と喋っていたとか、いつもいつも責められた。

少しでも反論すると、突き飛ばされたり物を投げられたり家具を壊されたり窓ガラスを割られたり。
当たりはしなかったが、私の顔面スレスレを本気のグーパンがかすったりもした。

怖かったので、いつしか「ごめんなさいごめんなさい」と連呼するようになったが、それはそれでムカつくらしかった。


そんな彼とのエピソードである。

とある日のこと。
私の帰りが遅くなった。

遅いと言っても23時くらい。
しかも飲み歩いていたわけではなく、女友達の家で衣替えの手伝いをしてたら遅くなっただけだ。
もちろん連絡もしてあったし、彼の帰宅前には辿り着いていた。
しかし私より遅く帰ってきた彼は、すでにブチギレモード全開であった。
『何時だと思ってんだ!女が出歩いてんじゃねー!』

とっさに「あ、これはマズイ」と思った。

キレると暴れるタイプなので、家の中はいつもグチャグチャだった。
もちろん割れた窓ガラスの修理費を払うのは私である。ちなみに家賃を払ってるのも私である。

ヤバイ、また家が破壊される!と思った私は、咄嗟に外に逃げた。

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