マガジンのカバー画像

ギリシャ神話と医学

39
ギリシャ神話の物語と身体の仕組みの相関性について読み解いています
運営しているクリエイター

記事一覧

ギリシャ神話 ハルモニアーとカドモスの結婚とデュオニソスの誕生

ハルモニアー

軍神アレースと美の女神アフロディーテの娘。
調和を意味する。

アレースの回で書きましたが、ハルモニアーは陣痛時分泌されるオキシトシンを象徴する。
オキシトシンは脳下垂体後葉から分泌され子宮収縮、乳汁分泌を促すホルモン。幸せホルモンでもある。

そして、結婚相手カドモス。
ゼウスにさらわれたエウローパの兄弟です。
カドモスは脳下垂体後葉から放出されるバソプレッシンと言う抗利尿ホルモ

もっとみる

ギリシャ神話 軍神アレースと副腎とストレス

アレース

最高神ゼウスと婚姻の女神ヘーラーの子。軍神。
戦争の災厄を司る神。

美と性の女神アフロディーテの恋人であり、アフロディーテとの間に、ハルモニアー(調和)、デイモス(恐怖)、ポポス(敗走)を生む。

人間であるディオメーデースにさえ敗北したり、巨人兄弟アローアダイに青銅の壺の中に13カ月幽閉されたりと余り良い話はない。

さて、戦いとは何か。
生体内の炎症やストレス反応をさしている。

もっとみる

ギリシャ神話 戦いの女神アテーナーと骨

アテーナー

ゼウスの子。都市の守護者であり戦いの女神。

アテーナーの生まれ方は独特です。
ゼウスの頭から生まれた。
ゼウスが妻を飲み込んで、ゼウスの体内で成長したのがアテーナー。

アテーナーは脊椎を指す。
間脳ゼウスを割るように生じた。

アテーナーの名前、グラウコーピス・アテーナー。
輝く瞳を持ったもの、さらには梟の貌を持ったものを意味するとされる。
梟の特性は夜行性で首が上下左右約180

もっとみる

ギリシャ神話 伝令神ヘルメースと補酵素NAD

伝令神ヘルメースは最高神ゼウスとプレアデスのマイアの子である。

ゼウスは司令塔である間脳、プレアデスは小腸細菌や消化酵素などつまり分解者にあたる。

マイアはその長女。様々な分解過程の初期行程に関わる。
生体は血糖値を一定に保つように様々な機能を持つ。間脳の司令下で血糖が維持される。

マイアは小腸粘膜ではマルトース(麦芽糖)をグルコースにまで分解するマルターゼに相当。

また、エネルギー代謝の

もっとみる

ギリシャ神話 エロースとプシュケー赤血球の生成と役割

エロース(キューピッド)と妻プシュケー

エロースはアイロス=鉄であり、ラテン語キューピッドはラテン語クプロム=銅です。
鉄と銅が酸素運搬の要のヘモグロビンの生成に必須。

さて、プシュケー。
魂、心、息です。
象徴しているのは赤血球。
赤血球は酸素運搬体、故に息とつながる。
この赤血球の生成過程がプシュケーの試練と関わる。

プシュケーとエロースが結ばれるまでには様々な困難がある。

まずプシュ

もっとみる
ギリシャ神話 愛と美と性の女神アフロディーテと第六感ーいろはにほへと

ギリシャ神話 愛と美と性の女神アフロディーテと第六感ーいろはにほへと

前回アフロディーテの誕生からその本質を考察した。
愛と美と性の女神たる所以。

マグマから湧き出す水素ガスがその根源であり
生命の発生、繁殖を支えた。
このような特性をもつアフロディーテが生体内でどのように活動するのか。
まずはアフロディーテと行動を共にするエロースとの関係から探りたい。

エロース
恋と性愛の神。
アフロディーテとアレースの息子とも言われるが、本来は原初神ガイアらと共に誕生し、全

もっとみる
ギリシャ神話 愛と美と性の女神アフロディーテの秘密

ギリシャ神話 愛と美と性の女神アフロディーテの秘密

ギリシャ神話に登場する愛と美と性の女神アフロディーテ。

出自

クロノスによって切り落とされたウラノスの男性器にまとわりついた泡(アプロス、aphros)から生まれ、生まれて間もない彼女に魅せられた西風が彼女を運び、キュテラ島に運んだ後、キュプロス島に行き着いた。

彼女が島に上陸すると愛と美が生まれ、それを見つけた季節の女神ホーラたちが彼女を飾って服を着せ、オリュンポス山に連れて行った。

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 クレタの牡牛と光受容体

ヘラクレスは、クレタ島の王ミーノース王を罰するためにポセイドンに送り込まれたクレタの牡牛を生け捕りにした。
この牡牛は怪物ミノタウロスの父親であり、美しいが猛々しく、極めて凶暴であった。
ヘラクレスはミーノース王に協力を求めるが拒否され、結局素手で格闘してこの牡牛をおとなしくさせ、アルゴスまで連行した

クレタ島はクリエイトな場所、つまり眼、視覚領域を指し、怪物ミノタウロスは眼の網膜(迷宮)にある

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 地獄の番犬ケルベロスとカテコールアミン

ケルベロスはオルトロスの兄貴分であり、3つの頭を持つ犬の化け物。
ヘーラクレースは冥界に入ってハーデースから「傷つけたり殺したりしない」という条件で許可をもらい、ケルベロスを生け捕りにした。
その際、ペルセポネーを略奪しようとして「忘却の椅子」に捕らわれていたテーセウスとペイトリオスを助け出した。
また、地上に引きずり出されたケルベロスは太陽の光を浴びた時、狂乱して涎を垂らした。その涎から毒草のト

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 黄金の林檎とグリコーゲン

巨人アトラスの娘達(夜の女神ニュクスの娘ともいわれる)ヘスペリデス(複数形)が守る黄金の林檎をもってくる命令を受けたヘラクレス。
ヘスペリデスの居場所を知らないヘーラクレースは水神ネーレウスと取っ組み合い、これを捕まえた。
ネーレウスは怪物や水、火などに変身して逃れようとしたが、ヘーラクレースが捕らえて離さなかったため、やむなく場所を教えた。
黄金の林檎は百の頭を持つ竜ラードーンが守っていたが、ヘ

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 ゲーリュオンの牛と光受容体ロドプシンー人は見た目が9割の理由

ゲーリュオーンは、メデューサがペルセウスに殺されたときに血潮とともに飛び出したクリューサオール(メデューサとポセイドンの子、天馬ペガサスの兄弟)の息子。
三頭三体の怪物。
怪女エキドナとは兄弟。

大洋オーケアノスの西の果てに浮かぶ島エリュテイアに住んでおり、常人は行き着くことができなかった。そのゲーリュオンの飼う紅い牛を求めに行く。

アフリカに行き着いたヘーラクレースが太陽の熱気に怒り、太陽神

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 アマゾーン女王の腰帯とメラトニン

エウリュステウスの娘アドメーテーがアマゾーン女王ヒッポリュテーの腰帯(アレースの帯)を欲しがったために、これを持ってくることを命じられた。
ヘーラクレースはアマゾーンとの戦いになると考え、テセウスらの勇士を集めて敵地に乗り込んだが、交渉したところ、ヒッポリュテーは強靭な肉体のヘーラクレース達を見て、自分達との間に丈夫な子を作ることを条件に腰帯を渡すことを承諾した。
ところがヘーラーがアマゾーンの一

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 ディオメーデースの人喰い馬と腸内細菌と短鎖脂肪酸

トラーキア王ディオメーデースはアレースの子で、旅人を捕らえて自分の馬に食わせていた。

ディオドーロスによれば、ヘーラクレースは逆にディオメーデースを馬に食わせてしまい、馬は生け捕りにした。
またアポロドーロスによれば、ヘーラクレースが馬を奪った後にディオメーデースが軍勢を率いて馬を奪還しようとしたため、ヘーラクレースは若衆の従者アブデーロスに馬の番をさせて戦いに出かけた。
しかしヘーラクレース

もっとみる

ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 エリュマントスの猪退治 窒素の循環

ヘラクレスはエリュマントス山に住む人食いの怪物、大猪を生け捕りにした。この猪は月の女神アルテミスが放った怪物とされる。
生け捕り自体はさしたる問題なく片づいたが、このとき、ヘーラクレースはケンタウロスのポロスに助力を求めていた。
ポロスが預かっていたケンタウロス一族の共有していた酒をヘーラクレースが飲んだ事により、ケンタウロス一族と争いになった。
その戦いで、誤って武術の師であるケイローンにヒュド

もっとみる