見出し画像

【グラジオラスの花束 〜心の影絵〜「山下瞳月」】6話


「陽〜!!こっちこっち!」

今までの文化祭は大して楽しくなかった。
一緒に回る人もたまたまそこに居ただけのクラスメイトだったから。
なんならダンス以外、面倒なイベントだった。

「瞳月〜!髪型可愛いね。ダンス仕様?」
「へへ笑  ありがとう笑」
「そういえば実は去年、ダンス観てたんだよ」
「うそ!」
「ほんとほんと!私たち生徒会は2階席があったからそこから観てたよ」
「え〜.....恥ずかしい」
「瞳月が1番輝いてた!笑」
「なんで笑ってんの?😑絶対思ってないじゃん」
「ほんとほんと!笑」
「でも今年は美羽が居るからなぁ」
「美羽?」
「うん、今年転校してきた子。表現力すごくて毎日圧倒されてる」
「へぇ.....雑誌にも取り上げられるほどの実力の瞳月が危機を感じるなんてね.....」
「いじってる?笑」
「褒めてる!笑」
「だからちょっと不安。負けないようにオーラ保たなきゃ」
「瞳月なら大丈夫だよ」
「そうかな.....」
「だって私が付いてるから」
「ふっ.......頼りないなぁ笑」
「え!?見てよ、この筋肉!バイトで鍛えたんだから!」
「本屋で?笑」
「はい、全国の本屋さん敵に回しました〜」
「笑笑  あ!クレープ食べたい!」
「いいよ〜、私も食べたかった所」
「何味?せーの」
「いちご!」「ハムチーズ!」
「ね〜ハムチーズ?笑」
「あ〜!美味しいの知らないんだ〜」
「だって生地甘いのに合わないよ」
「合うから売ってるんだよーだ」
「え〜......」
「1口食べてみなよ」
「.....分かった」
「渋々やね〜笑」
「私のもあげる」
「味知ってるよ笑」
「違う!シェアしたいの!」
「そゆことね!」
「クレープ.....♪クレープ.....♪」
「ふっ笑  クレープの歌?笑」
「うん笑」
「瞳月ってほんと可愛いね」
「やめて」
「照れちゃって笑」
「照れてない」
「反抗期だ」
「うるさい」
「あ、ねぇねぇ舞台見に行かない?」
「舞台?」
「舞台を観た人は願いが叶うって噂が毎年あるんだよ」
「陽って意外と噂とか好きだよね」
「うん、なんかワクワクするじゃん」
「たしかに」
「ほら行こっ!」
「待って〜」
「笑笑  早くしないと間に合わないよ!笑」
「飲み物!飲み物買お!」
「たしかに喉乾いてきた」
「何がいい〜?タピオカもあるし、ミックスジュースとか普通のソフドリも売ってるよ」
「........」
「........陽?」
「ん?あぁごめん」
「聞いてた?」
「聞いてた聞いてた」
「何か考え事?」
「いいや。瞳月楽しそうだなって」
「うん楽しいね」
「瞳月が楽しそうで嬉しい」
「なに急に笑」
「別に?笑」
「こわ笑  タピオカにする?」
「あり!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?