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■育児

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鳩を笑う

鳩を笑う

子連れで出掛けると、どうしても機動力が落ちる。一人の時はすんなり通過できる横断歩道の信号に、二度も三度もひっかかってしまう。

ところが、この前外出した時、差し掛かった信号が次々青になりスイスイ渡れる、という出来事があった。たったそれだけで、なんて爽快な気分になれるのだろう。

「ごまヲが良い子だから信号が全部青になる」

幼い頃、父方の祖父の運転する車に乗せてもらうと、時々言われたものだった。子

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心が折れた3月

心が折れた3月

2024年3月は心の折れる音がした月だった。

家族全員で2回も風邪を引いた。
たかが風邪ごときで・・・と侮ることなかれ。Iターンの地方移住家族にとって風邪は天敵だ。
実家は遠い。近所に親戚はいない。咳が苦しそうな鼻の詰まった子供をどこに預ければ?
人と会う予定も、楽しみだった旅行もキャンセルして、夫と子供の看病に追われた。
趣味に打ち込む時間や心の余裕がない。一人になれる場所がない。ボリボリお菓

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「子供産むのも悪くなかったかも」と思うとき、「子供なんか産むんじゃなかった!」と思うとき

「子供産むのも悪くなかったかも」と思うとき、「子供なんか産むんじゃなかった!」と思うとき

ふと、書き留めておこうと思い立ったので筆を取りました。

出産したのは2022年の冬。noteでも何度か書いているように、地方移住先での、里帰りではない、立ち合いなしの出産でした。

これまでの経緯や移住の話などについて、詳しくは前の記事を読んでみてくださいね。

「子供産むのも悪くなかったかも」と思うとき親(特に母)の気持ちが分かるようになった

実家の母は、結構重いタイプの母で。わたしは小さい

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パートの面接に落ちたこと

パートの面接に落ちたこと

実は昨年末、パートの面接に落ちてしまった。

ある方から「ここ、あなたに合っているのでは?」とすすめていただいた求人。

これまでの経験と照らし合わせて響き合うところがあった。

元々の情報は正社員だったが、アルバイトとパートも募集しているという。

しかも週二~三日からOKとあって、俄然やる気が出たのだ。

仕事をすれば子供を預ける口実ができ、自分の時間も増えるのでは…という魂胆もあった。

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水面下で

水面下で

2024年になって早くも半月が経つ。

日記にも書いてきた通り、先週は怒涛の一週間だった。

夜中に子供が何度も嘔吐して救急外来へ。便秘が原因と思われたが、翌日には下痢をして小児科へ連れていった。

その夜、今度は夫が激しい腹痛と嘔吐、悪寒に見舞われ、数日間身動きがとれなくなった。

二人とも胃腸炎との診断で、夫のほうはウイルス性の可能性があると告げられたようだ。

二人暮らしだった頃なら、ただ夫

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大都市で生きていくための知恵

大都市で生きていくための知恵

以前、これまで大都市(特に東京)で生きていく人生しか描けていなかった、ということを書いた。

子供の頃のことを思い返すと、東京へ買い物に行った折など、家族(特に母)からいくつかの「大都市で生きていくための知恵」を授けられていた。今回はそれらについて書いてみようと思う。

●人混みを横切るには斜めに歩く
最初に教わったのはこれではないかと思う。

我が家がよく買い物に出ていたのは新宿だった(だから今

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首都圏の旨味

首都圏の旨味

長いこと、自分は田舎出身の田舎者だと思って生きてきた。

家を継ぐとか、お墓を守るとか、ともすればそういう「古い価値観」にからめとられそうになる場所としての、田舎。

だから母は、娘であるわたしが田舎を抜け出せるよう、自らを犠牲にした、というような言い方をすることがあった。例えば、あまり父方の実家になじませないとか、地元ではなく東京の学校へ進学するように仕向けるとか・・・

だから、実家から東京の

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いまはカンダタでもいい

いまはカンダタでもいい

仕事をしていないなら、子供はある程度家で面倒を見てくださいよ、サービスの長時間時間利用は遠慮してくださいよ、という空気がある。そしてその空気をちゃんと読むように迫られている気がする。

例えば、一時保育や、子育て支援サービスの利用相談に行ったとき。

「週二回利用されているのは、やっぱりお仕事されている方ですねえ」

「まるまる一日預けられるのは、お仕事されている方になりますね」

『仕事をしてい

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二十年の時をこえて

二十年の時をこえて

散歩中、ベビーカーで子どもを眠らせ、つかの間の自由時間に開いた本の一ページでこの一首を見付けた時、思わずこみ上げてくるものがあった。そうだよな、わたしが今していることを、三十年以上前、母もまたわたしに対してしてくれていたんだよな。ごく当たり前の気付きではあるけれど、おむつ替え、授乳、寝かしつけ、だっこ…育児がとてもとてもそれだけでは書ききれないほどたくさんの仕事の積み重ねによって成り立っていること

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カラスのこと

カラスのこと

一ヶ月くらい前から、もうすぐ一歳になる子供が窓から夕暮れ時の南の空を見て「あった、あった」というような言葉を発するようになった。どうやらカラスが飛んでいるのをわたしたちに教えてくれているつもりらしい。

最初に気が付いたのは子供のおばあちゃんにあたる母で、「すごいねえ、カラスがきたって教えてくれたんだね」と褒めそやしていた。正直半信半疑だったのだけれど、よく観察していると確かにその通りであることが

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早朝のたより

早朝のたより

朝四時。日の出前のこの時間、外ではカラスが鳴き始める。子供を起こさないようそっと寝床を抜け出し、大好きな冷たいカフェオレ(豆乳オレのほうがローカロリーなのは知っているが、やっぱり牛乳で作ったカフェオレのほうが美味しい)とノートパソコンを持って洗面所へ。風呂の入り口にバスタオルを敷いて腰掛ければ、あっという間に「自分ひとりの部屋」の完成だ。リビングはいけない、漏れる光と物音で子供を起こしてしまうから

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じっとしている訳には

じっとしている訳には

今日は「東京に8年間暮らしてよかったこと、よくなかったこと」というタイトルの記事(近日公開)を書こうと思っていたのだが、末尾に載せようと思っていた文章が思いのほか長くなってしまったため、独立させることにした。

東京から地方移住してはやくも三年目、年が明ければ四年目になる。

地方移住後の生活は、楽しいこともあれば思い通りにいかないこともある。しかしそのどちらも、東京時代を否定する…東京を懐かしま

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育児で嬉しいこと

育児で嬉しいこと

育児は大変なことのほうが多いが、嬉しいこともある。

嬉しいことって、例えば。子供の成長?子供の笑顔?子供が寝ているときの自由時間?それらも勿論嬉しいのだが、最近一番心が踊る瞬間はこれだ。

うんち。子供がうんちをした時である。

いったい何を言い出すのか、とお思いの方もいらっしゃるかもしれないが、うんちで間違いない。まさにあの香りがただよってきた時、そして子供のおむつの隙間から覗いてまさにそのも

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最近の読書から 2冊

最近の読書から 2冊

学生時代などは、読んだ本、目を通した本のすべてについて何らかのコメントを残していて、我ながら当時のバイタリティには驚かされる。最近ではそんなこともめっきりしなくなり、書影をスマホカメラで撮影して残しておくだけでも精一杯の状態だ。

なのでこの記事は、最近読んだ本(どちらも通読はしていないし、拾い読み、読みさしなのだけれど)のなかでハッとさせられた部分だけでも書き残しておこうとするものである。

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